関野正志(水研セ東北水研) |
有明海に分布するシカメガキ(クマモトオイスター)は,天然生息域では絶滅したのではないかと考えられていた。近縁種であるマガキとの外部形態に基づく識別の難しさから,その資源状態を把握することが困難であったが,種識別を可能にする分子遺伝マーカーを用いた調査により,危機的な資源状態にあるという考えが誤りであることが分かってきた。本稿では,本種に関する研究を紹介し,その天然資源保全への理解と意識を高めることを目的とする。
Vladimiru S. Troynikov, Matthew T. Koopman (Mar. Freshwater fish. Res. Inst., Australia) |
本研究では,漁具の選択性が魚類個体群の成長曲線パラメータ推定へ与える影響の補正方法を示した。漁具選択性,体長に対する保持関数及び確率的成長モデルを考慮したモデルを最尤法によってデータにあてはめることにより,補正に必要なパラメータを求めた。これにより,異なる選択性を持つ漁具によるサンプルを合わせて扱うことが可能になる。かけまわし漁業によって漁獲されたタイガーフラットヘッドから集められたデータを用いて解析を行い,成長推定の偏りが資源量推定に与える影響について議論した。
(文責 松石 隆)
Alain Ponsero (Rés. Nat. Baie de Saint-Brieuc), Laurent Dabouineau (UCO BN), Jeremy Allain (Rés. Nat. Baie de Saint-Brieuc, France) |
北西フランスのサン・ブリュー湾で伝統的な漁業が永年行われているヨーロッパザルの資源評価と分布調査を実施し,クリギング法を用いて空間的な構造を分析した。その結果,加入域は平均潮高域に限定されており,その後の稚貝の能動的移動により分布が変化していった。年間死亡率は約 60%,体重生産は 7.4 g/m2~14.5 g/m2(AFDW)と見積もられた。2006 年秋に,殻長制限は 30 mm から 27 mm(2.5 歳に相当)に改定され,これよって漁獲対象資源量が 2 倍になることがモデルより示された。
(文責 松石 隆)
山田浩且(三重水研) |
伊勢湾のイカナゴ資源を対象に,1991~2003 年における親魚資源尾数,総産卵数および加入資源尾数を定量的に評価した。期間中の総親魚資源尾数は 4.8~376.4 億尾,総産卵数は 0.5~22.2 兆粒,加入資源尾数は 33.6~1,028.3 億尾の範囲で推移した。親魚資源尾数が増大すると,総産卵数はしだいに飽和水準に近づく傾向を示した。同時に,単位産卵数あたりの加入資源尾数は減少する傾向を示した。これらのことから,総産卵数の決定過程および初期減耗過程の双方において密度依存性が存在することが示唆された。
山下秀幸(水研セ開発セ), 塩出大輔,東海 正(海洋大) |
東シナ海における日本の延縄漁船によるアカアマダイの漁獲量は急激に減少している。小型魚保護の観点から漁獲開始サイズを制御するために鯛縄針 10, 11, 12, 13, 14, 16 号を用いた操業実験の結果からアカアマダイに対する釣針の選択性について検討した。SELECT 解析法により,相対上顎長(R=上顎長/釣針幅)に対するマスターカーブ s(R)=exp (-14.42+8.85R)/(1+exp [-14.42+8.85R])を推定した。50% 選択の相対上顎長と選択レンジそれぞれは 1.63 と 0.25 であった。
児玉圭太,大山政明(国環研), 李 政勲(国環研,長大院生産), 赤羽祥明(千葉水総研セ), 田島良博,清水詢道(神奈川水技セ), 白石寛明,堀口敏宏(国環研) |
東京湾産シャコの資源量を規定する生活史段階と影響因子を探索するため,産卵量および幼生と稚シャコの密度指数の経年変動を調べた。産卵量と幼生密度は 2004 年と 2007 年に高く,稚シャコ密度は 2007 年のみ高かった。幼生の着底は 8 月末に始まると推定され,早期産卵盛期由来の幼生が着底していない可能性が示唆された。貧酸素水塊により稚シャコの空間分布が制限されていた。以上の結果は,生活史初期の死亡率に年変動があること,および湾内の環境状態が幼生と稚シャコの死亡率に影響し当歳の資源量を規定することを示唆する。
ペドロソ・フィオナ・ラサナス(愛媛大連合農), 深田陽久,益本俊郎(高知大農) |
ブリ肝臓におけるインスリン様成長因子-I(IGF-I)とその 4 つの結合タンパク質(IGFBP-1, 2, 3, 5)の組換えサケ成長ホルモン(rsGH)に対する応答を in vivo および in vitro で確認した。rsGH の腹腔内投与は,IGF-I, IGFBP-3 および IGFBP-5 の遺伝子発現量を増加させた一方で,IGFBP-1 と IGFBP-2 の遺伝子発現量を減少させた。肝臓の器官培養による試験でも,rsGH 添加によって IGF-I および IGFBP-1, 2, 3, 5 遺伝子発現量は同様の変化を示した。
酒井 猛(水研セ西海水研), 米田道夫(水研セ中央水研), 白石哲朗,時村宗春(水研セ西海水研), 堀川博史(水研セ中央水研),松山倫也(九大院農) |
トカゲエソは練り製品原料となる重要魚種であるが,従来分類学的混乱があり生物学的情報の整備は立ち後れていた。本研究では耳石切片を用いて成長を解析し,耳石の標示(透明帯)は 11~2 月に形成される年輪であること,雌の方が成長の良いこと,従来の鱗を用いた年齢査定法は成長を過大評価すること等を明らかにした。成長式は次式により示された。
雄:FLt=451 (1-e-0.172 (t+2.50)) (1.02≤t≤10.23)
雌:FLt=515 (1-e-0.151 (t+2.47)) (1.23≤t≤11.73)
相木寛史,高山雄彦,田丸貴士, 間野伸宏(日大生物資源), 島田正文(日大短大), 小牧 弘,広瀬一美(日大生物資源) |
山形県および同周辺地域に生息するホトケドジョウのサンプリング調査を行い,mtDNA 調節領域の塩基配列を決定して系統解析した結果,新たな地域集団(山形集団)の存在を確認した。本集団は山形県内陸部の最上川水系のみに認められ,他の地域集団とは遺伝的・地理的に分化していた。本集団の生息尾数は他の地域集団に比べ極めて少ないと考えられ,早急な保全対策が必要である。
海野徹也,梶原照之,塩崎 博(広大院生物圏科), 大河俊之(高知水試),丁 達相(韓国水産研究院), 大原健一(岐阜河環研) |
日本および韓国沿岸で得られた 12 海域のメジナについて,mtDNA 調節領域の塩基配列および 5 つのマイクロサテライトマーカー座から集団構造を解析した。12 海域 128 個体の mtDNA は,334 塩基中 132 の変異サイトが観察されたが,海域間の遺伝的分化は小さかった。一方,547 個体のマイクロサテライト分析でも集団の分化指数は小さくみつもられたが,階層型 AMOVA,ペアワイズ FST および主成分分析によって得られた微細な集団構造は,副分布域に生息する男鹿半島集団と半閉鎖的な海域に生息する瀬戸内海集団に対応していた。
阿部真比古(水研セ西海水研), 横田圭五(三重県農林商工部), 倉島 彰,前川行幸(三重大生物資源) |
コアマモの種子と実生を室内培養し,種子の発芽適温と実生の生長適温・上限水温を明らかにした。種子発芽は 15~20℃ で活発で,最大発芽率は 14% であった。実生の生長は 20~25℃ で良好で 29℃ でも生残したが,30~35℃ では草体が脱色・枯死した。以上からコアマモの生育限界水温は 29℃ と判断された。発芽と実生の適温は天然群落での発芽と実生出現時期の水温とほぼ一致し,上限水温は実生出現時期の水温より高かった。コアマモは夏季に長期間 29℃ を超えない海域へ分布を拡大する能力を持つと考えられる。
李 政勲(国環研,長大院生産), 児玉圭太,大山政明(国環研),久米 元(長大水), 高尾雄二(長大環境),白石寛明,堀口敏宏(国環研) |
資源量低水準期である 2000 年代の東京湾産マコガレイの成長を調査し,資源量高水準期の 1970-80 年代に報告されている成長と比較した。その結果,2000 年代において成長の良化が認められた。この成長変化に影響する要因を検討するため,底層水温の長期変動および個体群密度の変化を調査した。2000 年代において,底層水温の上昇および個体群密度の減少の変化がみられた。しかし,これらの現象が成長変化に直接影響をおよぼしたかどうかは断定できず,さらなる検証調査が必要である。
渡部諭史(国際農研セ), 片山知史,児玉真史,張 成年, 中田 薫(水研セ中央水研), 福田雅明(水研セ北水研) |
アサリによる水柱と底質表面に含まれる有機粒子の利用を炭素窒素安定同位体比分析を用いて調査した結果,底質由来の餌が主餌料であることが示された。殻長 5 mm 以下の稚貝では,大型個体に比べて水柱由来の有機物の影響が大きかった。海底直上水の植物色素濃度と潮位変化速度との間には正の相関があり,潮汐による底質粒子の再縣濁と思われる変化パターンが見られた。アサリの安定同位体比には 10 m 程度の近距離の調査点間でも差異が見られ,水柱と底質由来の有機粒子の供給の比率には干潟地形が影響を与えると考えられた。
本多直人(水研セ水工研), 渡部俊広(水研セ本部),松下吉樹(長大水) |
エチゼンクラゲ計 12 個体の遊泳深度をポップアップタグや超音波発信器により調べるとともに,調査手法の妥当性を確認した。エチゼンクラゲは活発な鉛直移動を繰り返していた。遊泳深度は 0~176 m の範囲で,ほとんどの個体の平均遊泳深度は 40 m より浅かった。遊泳深度は秋の日本海南部よりも冬の日本海北部の方が深くなる傾向があり,基本的に深度範囲は海洋の鉛直構造に依存していると推測された。遊泳深度は日中よりも夜間の方が深かった。日中には午前より午後の方が浅く,夜間には前半夜よりも後半夜の方が深くなる日周性が確認された。
徐 賢珠,工藤秀明,帰山雅秀(北大院水) |
鱗分析と体サイズのバックカリキュレーション法に基づき,1984~1998 年に北海道石狩川と韓国ナンダエ川へ回帰したシロザケ-の成長パターンの時空間変動を明らかにした。その結果,石狩川系幼魚が沿岸から小型で直接オホーツク海へ移動するのに対して,ナンダエ川幼魚は日本海を回遊後オホーツク海へ大型で移動することが明らかとなった。シロザケ 4 歳魚の体サイズはベーリング海で 3 歳時に種内あるいは個体群間より個体群内で強い密度依存効果を受けることが示唆された。
インドラ・スハーマン,佐藤秀一,芳賀 穣, 竹内俊郎,遠藤雅人,廣野育生,青木 宙(海洋大) |
ティラピアにおける遺伝子組換え大豆油粕(GM SBM)と非組換え大豆油粕(Non-GM SBM)の利用性を比較した。GM SBM および Non-GM SBM を含む 4 試験飼料を作成し 12 週間給餌した。試験飼料間では成長率および飼料効率に有意な差は見られなかった。GM SBM 飼料区では,筋肉にカリフラワーモザイクウイルスプロモーター断片が見られたが,Non-GM SBM 飼料に変換すると,プロモーター断片は 2 日後には検出されなかった。それ故,GM SBM の利用性はティラピアにおいて non-GM SBM と同等であると推察された。
小谷知也,源河輝久,伏見 浩(福山大生命工), 林 雅弘(宮崎大農), Kristof Dierckens, Patrick Sorgeloos (Ghent University) |
植え継ぎ及び連続方式で培養したシオミズツボワムシの栄養強化後の脂肪酸組成を比較した。栄養強化は無強化区と Nannochloropsis oculata 栄養強化区,市販栄養強化剤区を設定した。どの区でも連続培養のワムシで脂肪酸含量が多くなる傾向があった。また,植え継ぎ培養のワムシでも対数増殖期にある活性の高いワムシで脂肪酸含量が多くなり,ワムシの栄養強化成績はワムシの活性に影響されると考えられた。
佐藤敦一(道栽水試,海洋大院),竹内俊郎(海洋大院) |
餌料中の DHA 強化レベルとマガレイの形態異常率との関係を調べ,餌料中の DHA 含量が本種の形態正常化に影響を及ぼす成長段階(発達ステージ)を検討した。実験は DHA 強化量を試験終了時まで低レベルで一定とさせた区を対照区とし,DHA 強化量の上昇時期をワムシ・アルテミア併用給餌開始期(15 日齢)に設定した区,アルテミア単独給餌開始期(25 日齢)に設定した区の計 3 区とした。その結果,餌料中の DHA 含量がマガレイの正常な形態形成に影響する成長段階は,D~E ステージ(15~24 日齢)と推察された。
阪尾寿々,藤本貴史(北大院水), 小林輝正,吉崎悟朗(海洋大), 山羽悦郎(北大フィールド科セ), 荒井克俊(北大院水) |
第一卵割阻止による人為四倍体は生存能力が極めて低く親魚が得られない。そこで二倍性配偶子同士の通常受精による四倍体親魚作出に向け,元となる四倍性始原生殖細胞(PGCs)の特性を調べた。その結果,サクラマス人為四倍体胚の生殖隆起内に vasa 陽性細胞が認められ,生殖隆起の細胞懸濁液に二倍体胚より大型で PGCs の形態的特徴を有する細胞が観察された。また一部では仮足の伸長が認められた。よって高い致死率の人為四倍体において PGCs の存在が示唆され,生殖系列キメラを介した二倍性配偶子産出の可能性が示された。
佐藤敦一(道栽水試,海洋大院), 高谷義幸(道栽水試),竹内俊郎(海洋大院) |
マガレイの形態異常出現に及ぼす餌料中のドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)の影響を調べた。D ステージの仔魚を用いて E ステージまで DHA と EPA の割合を変えて強化した餌料を給餌し,その後は市販強化剤で強化したアルテミアを全実験区に給餌した。DHA と EPA は仔魚の発達を同様に促進し,形態異常を改善したが,形態異常防除効果は DHA の方が EPA よりも著しく高かった。従って,本種の形態異常防除では,仔魚の発達速度を遅延させず,なおかつ D~E ステージの仔魚に高レベルの DHA を投与することが重要であると推察された。
深尾剛志,木元克則(水研セ西海水研), 山砥稔文,山本憲一(長崎水試), 吉田幸史(佐賀有明水振セ), 小谷祐一(水研セ西海水研) |
2007 年秋季に有明海で発生した粘質状浮遊物の原因生物と考えられる Coscinodiscus sp. の形態を観察した結果,Coscinodiscus granii と同定した。
室内において本種を培養したところ,粘性の高い凝集物の形成を確認できた。この凝集物はアルシアンブルーにより染色されたことから,透明細胞外重合物質粒子(TEP)であることが判明した。さらに,2 種のレクチン(FITC-Con A および UEA-1-FITC)を反応させたところ,UEA-1-FITC 処理した凝集物で強い蛍光反応がみられた。これは,凝集物中にマンノースやグルコースよりフコースが多く含まれていることを示し,フコースの凝集物の粘性に関与している可能性を示すものである。
柿沼 誠,池田真樹,Daniel A. Coury, 冨永紘志(三重大院生資), 小林一成(三重大生命),天野秀臣(三重大院生資) |
不稔性アナアオサ Rubisco 小サブユニット遺伝子(UprbcS1 および UprbcS2)をコードするゲノム DNA クローンを単離した。両遺伝子とも 180 アミノ酸残基の rbcS をコードしていた。各遺伝子は本藻種のゲノムに少なくとも 1 コピー存在し,UprbcS 遺伝子発現は光条件で変化した。UprbcS1 遺伝子プロモーターを用いることで,本藻種細胞内での緑色蛍光タンパク質の一過性発現がみられた。
小澤秀夫,渡部終五,落合芳博(東大院農) |
魚類筋肉トロポミオシン(TM)の部位別安定性を調べるため,5 つの領域に相当する 30 mer のペプチド,すなわち N 末端側 Met1-Lys30,種間変異の多い領域 Asp84-Leu113,分子中央部 Val128-Ala157, Cys190 を中央に含む Leu176-Lys205 および C 末端側 Asp255-Ile284 を合成し,円二色性測定と示差走査熱量分析により熱力学的特性を比較した。その結果,いずれのペプチドも α-helix 含量は温度上昇とともに緩やかに減少した。安定性は Asp255-Ile284 が最も高く,Asp84-Leu113 がこれに次ぎ,分子内の安定性が不均一であることが示唆された。
鈴木敏之(水研セ中央水研), 神山孝史(水研セ瀬水研), 奥村 裕(水研セ東北水研), 石原賢司,松嶋良次,金庭正樹(水研セ中央水研) |
LC-MS/MS による下痢性貝毒ジノフィシストキシン 1(DTX1)の脂肪酸エステルの分析法を検討し,日本産二枚貝と Dinophysis 属有毒渦鞭毛藻についてエステル毒を分析した結果,二枚貝から 14:0, 16:0, 16:1 脂肪酸エステルが主要毒として検出されたが,高度不飽和脂肪酸エステルはほとんど検出されなかった。また,DTX1 の 7 位以外に脂肪酸が結合した毒は検出されず,存在しないことが LC-MS/MS 分析で初めて明らかになった。さらに,有毒プランクトンからは脂肪酸エステル毒は検出されなかった。
河野友希,佐藤 寛,井口聡子,永井宏史(海洋大) |
千葉県館山市坂田で得られたヒメイソギンチャク Anthopleura asiatica から甲殻類致死活性と強い溶血活性を示す分子量約 2 万のタンパク質毒素(bandaporin)を単離した。この毒素の溶血活性は試験された各種膜脂質のうちスフィンゴミエリンよってのみ特異的に阻害された。Bandaporin について分子生物学的手法を用いて全遺伝子配列ならびに演繹全アミノ酸一次配列の決定を行った。その結果,bandaporin はアクチノポーリンファミリーに属する新規なタンパク質毒素であることが判明した。
大迫一史(海洋大),齋藤洋明(中央水研), 翁 武銀(海洋大院),桑原浩一(長崎水試), 田中宗彦(海洋大) |
ハガツオ組織中に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)の存在状態を評価するために,魚体各部位の粗脂肪をクラス分けして粗脂肪,トリアシルグリセロールおよびリン脂質中の DHA 量を調べた。粗脂肪中の DHA 量はそれぞれ 19.2~27.6% および 16.3~28.5% で比較的多量に含まれていた。一方,筋肉トリアシルグリセロール中のそれは 8.2~16.0% であり内臓中(6.9~24.0%)と比較して同程度かむしろ低い傾向を示し,これまで報告のある回遊性のカツオ・マグロ類と異なる特徴を示した。
Jing-Ke Liu, Si-Ming Zhao, Shan-Bai Xiong (Huazhong Agr. Univ., Aquat. Product Tehnol. Res. Cent. Hubei Prov.), Sheng-Hua Zhang (Huazhong Agr. Univ., China) |
加熱調理がハクレンの揮発性成分および不揮発性成分に及ぼす影響を調べた。生,加熱調理および再加熱ハクレン魚肉のヘッドスペース試料についてそれぞれ 20, 34 および 34 の揮発性成分を同定した。加熱後,揮発性成分量が有意に増大し,生試料では検出されなかったアルデヒド,アルコール,ケトン,炭化水素,ヘテロ環化合物が生じていた。一方で,遊離アミノ酸が激減し,核酸量やペプチド量も有意に変化した。再加熱では,ほとんどの揮発性成分が減少し,核酸量およびペプチド量も変化した。しかしながら,再加熱調理は遊離アミノ酸にほとんど影響を及ぼさなかった。
(文責 潮 秀樹)