MN Santos, M Gaspar, CC Monteiro (IPIMAR),K Erzini (Univ. Algarve)
呼称目合70, 80, 90, 100mmの刺網の網目選択性試験をメルルーサMerluccius merlucciusを対象に南ポルトガル沿岸で実施した。魚の羅網状態を「刺し」と「絡み」に分類すると,「刺し」による選択性には二峰型曲線が当てはまり,相対漁獲効率が最も高くなる体長階級が目合ごとに求められた。一方,「絡み」によって漁獲された魚の体長範囲はすべての目合で似通った。目合が小さいほどCPUEは高いが,ポルトガル水域における本種の最小成熟サイズを考えると,80mm目合の刺網の使用が資源を持続的に利用するために適当であると考えた。李 琪(中国海洋大),朴 哲志,木島明博(東北大院農)
エゾアワビ孵化幼生を対象としてマイクロサテライト座(MS座)の遺伝様式を明らかにし,家系判別の把握への応用を検討した。その結果,幼生からキレックスによりDNA抽出ができ,1個体のトロコファー幼生で15MS座以上が分析できた。調べた6MS座はすべてメンデル遺伝に従い,性連鎖や遺伝子型間の受精率差は認められなかった。4家系を対象に6MS座を用いて遺伝的距離を計算し,近隣結合法で描いたデンドログラムから,各家系の区分が明確になされ,これらのMS座がエゾアワビ幼生の家系判別に有効であることが示された。阿部真比古,橋本奈央子,倉島 彰,前川行幸(三重大生物資源)
培養したアマモ幼体を用い,光合成および呼吸量を測定し,生育限界水深を明らかにしようとした。アマモの日補償点は光合成活性と太陽放射の日変化を基にした群落光合成理論を改良し,推定した。その結果,アマモ幼体の日補償点は水面の5.7%と推定された。また,限界水深も推定した。本研究で得られたアマモの限界水深と様々な海域での生育水深を比較すると,よく一致し,本研究で用いた数学モデルの有効性が確かめられた。丁 達相,海野徹也,黒田健司,林 稀彦,中川平介(広大院生物圏),姜 柱賛(釜慶大),森島 輝,荒井克俊(北大院水)
クロダイより4つのマイクロサテライトマーカーを単離し,メンデル遺伝の様式を雌雄1対1交配群で確認した。これらのマーカーを用いて西日本および韓国麗水で捕獲した野生6集団と,広島湾に放流した放流種苗および放流後の種苗の計8集団の遺伝的変異性,集団構造を解析した。放流種苗の平均ヘテロ接合体率は野生集団と同値であったが,マーカー座あたりの平均アリル数は低かった。固定指数および遺伝的距離から,西日本と韓国麗水集団間には地理的分化が生じている可能性があるが,西日本のクロダイは遺伝的に均質であると思われた。中山慎之介(京大院農),益田玲爾(京大フィールド研セ),竹内俊郎(海洋大),田中 克(京大院農)
マダイ仔魚のミズクラゲからの逃避行動の発達過程を,高度不飽和脂肪酸で栄養強化したワムシ・アルテミアを給餌した区(HUFA投与区)と,栄養強化していないワムシ・アルテミアを給餌した区(HUFA欠乏区)とで比較した。HUFA投与区の仔魚では,孵化後18日目以降,ミズクラゲからの逃避能力の発達が認められたのに対し,HUFA欠乏区では実験期間中,同様な発達が認められなかった。沿岸加入期にマダイ仔魚がミズクラゲのパッチに遭遇すれば減耗を被りうること,またそれ以前のマダイの餌環境が劣っていればさらに重大な減耗となりうることが示唆された。森 久就(岐大教育),中川雅弘(日栽協),征矢野清(長大水),古屋康則(岐大教育)
雌は11月に卵黄形成を開始し,4月に成熟して妊娠し,6月に出産した。ビテロゲニン合成は卵生魚と同様エストラジオール-17βにより制御されることが示唆された。17,20βジヒドロキシ-4-プレグネン-3-オン(DHP)は,卵成熟だけでなく妊娠にも何らかの役割を持つ可能性が示唆された。雄は6月に精子形成を開始し,11月に成熟した。血中11-ケトテストステロンは本種の精子形成を制御する主要な雄性ホルモンであることが示唆された。DHPは精子形成の後期に何らかの機能を持つことが示唆された。大村百合(名大院生命農),都築和美,杉浦真理子(名大農),植松一真(広大院生物圏),塚本勝巳(東大海洋研)
シラスウナギ,淡水ウナギおよび降りウナギの網膜桿体細胞の増殖機構について,組織学的並びに免疫細胞化学的に比較し解析した。1)外境界膜付近に一列に並ぶ錐体細胞に対し,外顆粒層を占める桿体細胞の核およびその外節層がウナギの成長および加齢に伴って顕著に増加する。2)淡水ウナギの網膜では,増殖細胞核抗原(PCNA)抗体に対する免疫陽性細胞が外顆粒層のみならず内顆粒層にも多数みられ,桿体前駆細胞が内顆粒層から派生している可能性が高い。本結果より,ウナギの生涯にわたって網膜桿体細胞は増殖し続けることが示唆された。中尾実樹,藤木和浩(九大院農),近藤昌和(水大校),矢野友紀(九大院農)
スクレログルカンを腹腔内投与したコイの頭腎から,比重遠心法で白血球画分を調製し,抗体と補体で感作したヒツジ赤血球(EAC)に対するロゼット試験によって各白血球画分の補体レセプターを検出した。その結果,顆粒球および単球/マクロファージが,C3とMg2+依存的にロゼットを形成した。一方,非投与コイの頭腎白血球はロゼットを形成しなかった。以上の結果から,コイ頭腎の好中球と単球/マクロファージに,哺乳類のCR3に相同な補体レセプターが発現することが示唆された。鵜崎直文,甲斐正信,青山裕晃,鈴木輝明(愛知水試)
貧酸素水塊が発達する浅海域の底面にステンレス製のかごを用いてアサリを飼育し,死亡率とグリコーゲン含量の変化を調べた。5および6週間にわたる2回の実験において,累積死亡率はそれぞれ99%, 57%に達した。グリコーゲン含量は実験期間中ともに有意に低下した。しかし,貧酸素水塊の影響がない海域で飼育されたアサリには大きな死亡率の上昇やグリコーゲンの低下は認められなかった。よって,グリコーゲン含量は貧酸素水塊の影響を受けたアサリの生理状態を表す指標になると考えられた。山本民次(広大院生物圏),KJ Flynn (Univ. of Wales),高山晴義(広島水試)
広島湾においてAlexandrium tamarenseによって毒化したマガキの毒量レベルのデータに対し,2-コンパートメント-1-トキシン・モデルを適用した。このモデルはA. tamarenseの細胞密度の変化からカキの毒量を予測するものであり,モデルは水温の変化を考慮した場合としない場合について走らせた。実測値に対する適合性は,植物プランクトン細胞の毒含量に水温をリンクさせない場合に最適であった。リスク・アセスメント解析により,このモデルが広島湾のマガキの毒化状況を示すのに十分な精度を有していることが分かった。田中礼士,杉村逸郎,澤辺智雄,吉水 守,絵面良男(北大院水)
養殖エゾアワビの各成長段階に伴う消化管内細菌叢の変化を調べた結果,付着藻類を摂餌する孵化後80日程度の個体までは飼育海水の菌叢と極めて類似し,好気性菌群により形成されていたが,人工配合飼料を投餌され始めた個体ではアルギン酸分解性を有するnon-motile fermenter (NMF)が主要菌種となり孵化1年以後では消化管内細菌群の約60%を占めた。また,これらのNMF分離株をコロニーハイブリダイゼーション法に供試したところ,その96%がVibrio halioticoliと同定された。河邊 玲(北大フィールド科セ),河野孝史,中野紀彦,山下成治,平石智徳(北大院水),内藤靖彦(極地研)
加速度ロガーを装着したニジマスの水槽内での遊泳運動を録画したところ,左右方向の加速度記録と尾鰭振動数が完全に同期することが確認された。さらにロガーを装着したニジマス2尾を大型網生け簀に放し,遊泳行動を記録したところ,尾鰭振動数は1.27±0.40と1.40±0.5Hzであった。振動数から推定した遊泳速度は0.48-0.58BL/secの間にあり,2.0BL/secを超えた遊泳はまれであった。加速度ロガーで遊泳速度と尾鰭振動数を同時に測定すれば,魚類の行動と移動速度をより高精度に記録可能になる。竹内一郎(愛媛大農),松政正俊,菊池 進(岩手医大)
岩手県のガラモ場に棲息する4種のワレカラ類のえらの微細構造の観察と塩分耐性実験を行った。その結果,ホソワレカラCaprella danilevskii等の3種のえらにはミトコンドリアが豊富なAISやBISと呼ばれる組織が観察された。同様の組織は汽水・淡水域に棲息するヨコエビ類からも報告されている。また,ワレカラ類4種とも塩分耐性は広い塩分耐性を持ち,実験開始後5日目の半致死濃度は13.0~18.8psuであった。小林健司,小檜山篤志,小瀧裕一,児玉正昭(北里大水)
無菌培養したPseudo-nitzschia multiseries細胞から抽出した全RNAを,渦鞭毛藻から分離した細菌の16S rRNA遺伝子をコードする領域の塩基配列を参考に作製したプライマーを用いてRT-PCRに付したところ,複数の増幅産物が得られた。これら増幅産物には無菌化前のP. multiseries培養液より分離した細菌を同様に処理して得られたものと同一の塩基配列を有するものが含まれていた。本結果は,P. multiseriesが細胞内細菌を持ち,同細菌が環境中の細菌に由来することを示唆する。松原 創,風藤行紀,井尻成保(北大院水),平井俊朗(帝京科学大),足立伸次,山内晧平(北大院水)
人為催熟された雌ウナギの血中テストステロン(T),エストラジオール-17β (E2)量および卵巣のステロイド合成酵素mRNA量の変化を調べた。血中TおよびE2量は卵巣の発達に伴い増加し,核移動期に最高値に達した。卵巣のコレステロール側鎖切断酵素および17α-水酸化酵素/C17-20リアーゼmRNA量は血中TおよびE2量と同様に変化した。アロマターゼmRNA量は卵黄形成中期まで増加し,その後わずかに減少した。以上の結果,核移動期における血中E2 量は,多量のTが産生されるために増加したと推察された。片野 修,中村智幸,山本祥一郎(中央水研)
ナマズとオオクチバスによるブルーギル捕食量を水槽実験によって調べた。1尾のナマズもしくはオオクチバスを収容した各々の水槽に,20尾以上のブルーギルを投入した。ブルーギル捕食量は,特大個体を除くナマズもしくはオオクチバスの体重と相関した。ナマズは1日あたりその体重の9.4%の重量のブルーギルを捕食したのに対して,オオクチバスは4.5%しか捕食しなかった。日本在来魚とブルーギルが混生した場合のナマズによる被食魚選択実験が今後必要であるが,ブルーギルを減少させるうえで,ナマズの放流が有効な手段となる可能性が認められた。奥村卓二(養殖研)
雌オオトゲハマアミを新潟県五十嵐浜で採集し,生殖周期を調べた。脱皮後の卵巣は,未熟な状態であったが,脱皮間期に卵黄蓄積が始まり脱皮前のD2期には卵黄形成が進んで発達した。雌が育房内で保育している幼生は,脱皮後には産卵直後の卵の状態であったが,脱皮間期になると孵化してノープリウス型の幼生になっていた。さらに,脱皮前のD1期には後ノープリウス型幼生になり,D2期に育房から放出された。卵巣発達および幼生発達が,母親の脱皮周期と強く関連していることが示された。吉 紅,アマド ダウド オム(広大院生物圏),吉松隆夫(九大院生資環),林 雅弘(宮崎大農),海野徹也,中川平介(広大院生物圏),浅野雅也,中川敦史(協和発酵)
マダイ,クロダイにアスコルビン酸リン酸Mg (APM),α-酢酸トコフェロール(TA)強化飼料を投与した。APM強化で両種の体内のアスコルビン酸(ASC),α-トコフェロール(Toc)は増加した。TA強化で体内のTocは増加したが,ASCに変化はなかった。APMの強化によりマダイ脂質蓄積量の減少,両種の脂肪細胞の縮小,クロダイ血清TBA値の低下がみられたが,TA強化では影響はなかった。マダイでAPMとTAの強化で,乾出耐性が向上した。ASCは脂質代謝,抗酸化,活力向上,ビタミンE代謝への関与が示唆された。A. K. Biswas,竹内俊郎(海洋大)
光周期(3L:3D;6L:6D;12L:12D;24L:24D)および明期における給餌間隔の違いによるティラピアの成長と摂餌量に及ぼす影響を調べた。実験は平均体重3.5-3.6gの魚を用いて,6週間の飼育を3回行った。3L:3D;6L:6D;12L:12Dの各区を比較すると,制限給餌(5%),飽食給餌とも6L:6Dの成長および飼料効率が最も優れていた。24L:24D区は飽食給餌あるいは明期に2倍の飼料量を与えても12L:12D区に比較して成長が劣った。本実験結果より,魚の成長を光周期と給餌間隔を変化させることにより,制御できることが明らかとなった。吉田和歌子,國見 吏,藤浦道子,木村メイコ,埜澤尚範,関 伸夫(北大院水)
即殺ホタテガイの貝柱(閉殻横紋筋)から水晒しをしないで調製した肉糊は直接加熱(90℃, 20分)では弱いゲルを形成したが,10mM Ca2+を添加して坐り(25℃)-2段加熱をおこなうとミオシン重鎖が架橋され,ゲル物性は強化され,市販の魚類かまぼこ程度となった。貝柱肉糊の加熱ゲル形成過程を動的粘弾性の測定で調べると,魚類のアクトミオシンよりもミオシンの加熱ゲル化過程に似ていたが,坐りをおこなうとアクトミオシン型になった。一方,パラミオシンの影響は高温域での貯蔵弾性率と65℃付近での損失弾性率の増大に反映された。珠玖裕介,Patricia Yuca Hamaguchi,田中宗彦(海洋大)
クロカジキ筋原繊維タンパク質から透明で柔軟性のある可食性フィルムを調製した。本フィルムの機械的性質,水蒸気透過性,光透過率,透明性,溶解性,タンパク質溶出率,酵素消化率に及ぼすフィルム溶液のpHの影響を検討した。pH2-3および7-12でフィルムは形成され,等電点に近いpH4-6ではタンパク質が凝集するためフィルム形成が困難であった。フィルムの引っ張り強度はpH7で調製すると最も低く,pHを低くするか高くすると増加した。一方,引っ張り伸び率,水蒸気透過性,光透過率,溶解性,酵素消化性にpHの顕著な影響は見られなかった。落合芳博,黄銘志,福島英登,渡部終五(東大院農)
スケトウダラ普通筋からトロポミオシンをコードするcDNAをクローニングし,コード領域を含む1,168塩基の全配列を決定した。アミノ酸残基数は284で,分子量および等電点は32,588および4.55と算定された。本トロポミオシンは他動物種のα型のものと94-97%の高いアミノ酸同一率を示した。標品の示差走査熱分析の結果,44℃付近に単一の吸熱ピークが認められ,CD分析においても,この温度帯におけるaへリックス構造の崩壊が示唆された。毛 偉傑,渡辺 学,酒井 昇(海洋大)
2450MHzおよび915MHzの周波数で,20℃~80℃においてすり身の誘電特性を測定した。すり身の誘電特性は温度と塩の添加によって変化した。塩含有量の増加に従って,誘電率は減少したが,誘電損率は増加した。無塩すり身の浸透深さは加塩すり身の浸透深さよりも大きかった。マイクロ波で加熱する時,塩添加により表面加熱現象を起こす可能性があると思われる。また馬鈴薯デンプンとトウモロコシデンプンを加塩すり身に添加したところ,デンプンの添加率および種類はすり身の誘電特性に影響を及ぼさないことが分かった。趙 永済,金 泰辰,沈 吉輔,李 起奉(釜慶大)
活魚を飽和食塩水で浸漬処理した場合に,筋肉の物理化学的性質に及ぼす影響について,メバルを用いて検討した。あらかじめ飽和食塩水による浸漬処理を行った後に締めることにより,即殺魚と比較して死後硬直は促進され最大硬直に至る時間は短縮したが,硬直指数の値はかえって減少した。また,浸漬処理時間が長くなるにつれ筋肉中のATP含量は減少し,それにともなって乳酸の蓄積が認められた。一方,浸漬処理により,筋肉の破断強度は上昇し,また筋原線維ATPase活性は増大した。久保田光俊,木下政人,竹内壱明(京大院農),久保田賢(高知大農),豊原治彦,坂口守彦(京大院農)
ヒラメマトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)の低温度下における結合組織タンパク質への作用を検討した。COS-7細胞を用いて作製した組換え体は,ヒラメ未変性 I 型およびⅤ型コラーゲンの三重らせん部分に対しては分解活性を示さなかったが,粗結合組織画分から低温下で I 型コラーゲンを可溶化する活性を示した。MMP-9のゼラチン結合領域に対する抗体を用いたウエスタンブロット分析から,ヒラメ筋肉中にMMP-9の存在が示唆されたことを考え合わせると,魚肉冷蔵中における結合組織脆弱化へのMMP-9の関与が推察された。境 正,植木暢彦(宮崎大農),D. M. S.ムナシンハー(鹿大連大)
0℃貯蔵ブリ肉中のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性およびマロンアルデヒド(MA)含量の変動を調べた。SOD活性およびMA含量は貯蔵期間中に大きな変動は認められなかった。さらに,0および-20℃貯蔵ブリ肉に0, 0.3, 0.6および0.9MのNaClを添加後,SOD活性およびMA含量の変動を調べた。NaClを添加した魚肉中のSOD活性はコントロールに比べ低く,逆にMA含量は高かった。また,魚肉中のSOD活性とMA含量には負の相関関係が認められた。Rutch Khattiya,廣野育生,青木 宙(海洋大)
ヒラメより2種類のCCケモカイン(JFCC1およびJFCC2)cDNAおよび遺伝子をクローン化した。JFCC1遺伝子は1.9kbで,91アミノ酸をコードしていた。JFCC1遺伝子の発現はマイトジェンにより誘導された。JFCC2は2タイプ(JFCC2-1, JFCC2-2)が認められ,それらの長さは1.9kbおよび1.8kbであった。JFCC2遺伝子はいずれのタイプも成熟型のmRNAが発現していなかった。JFCC2遺伝子は恒常的に発現が見られた。両遺伝子ともマルチコピーでゲノム上に存在していた。齋藤三四郎(ホーネン),越塩俊介(鹿大水),原田 宏(東農大応用生物),渡部一憲,吉田岳史(ホーネン),
手島新一,石川 学(鹿大水)
小谷知也(長崎県産業振興財団),萩原篤志(長大水)
シオミズツボワムシBrachionus plicatilis 3株(ドイツ,東京,ロシア株)の15, 20, 25℃での株間・内の受精率を調べ,水温の受精卵形成への影響を検討した。 交配は前培養水温が同じ株間でのみ行い,その水温下で交配させ,受精個体数から受精率を算出し,水温間で比較した。 株間・内で9通りの組み合わせのうち,7通りで温度の影響があった。株内交配で受精率が最も高くなる水温は,株で異なり,ドイツ,東京,ロシア株では,それぞれ25, 20, 15℃だった。水温の受精への影響は,雄より雌で顕著であった。福士暁彦(網走水試),今村琢磨(釧路水試),高橋玄夫(網走水試),板橋 豊(北大院水),鈴木敏之(東北水研)
現行の下痢性貝毒試験では,遊離脂肪酸(FFA)により過大な毒性値を与える場合がある。ホタテガイ中腸腺を凍結貯蔵した場合,日数の経過とともにFFA含量は著しく増加した。また,中腸腺をホモジナイズ後に凍結した場合,未処理凍結に比べFFA含量は高かった。FFA含量の増加はトリアシルグリセロール(TG)の減少と対応しており,凍結貯蔵中にTGが酵素的に加水分解されたものと推察された。これらの結果から,下痢性貝毒試験では生鮮試料を用いることによりFFAによる毒力の過大評価を防止できると考えられる。