Fisheries Science 掲載報文要旨

ノコギリガザミ属の繁殖制御と親個体管理技術の進展(総説)

Gaudioso S. Pates Jr., Mercedes Maceren-Pates, Emilia T. Quinitio, Fe Dolores Parado-Estepa,
Pedrita A. Caballero
 ノコギリガザミ属 (Scylla spp.) は,アジア諸国等において商業的に重要な種である。SEAFDEC/AQDによる種苗生産技術の開発にもかかわらず,養殖の急激な拡大は天然資源への重大な脅威となっている。親個体のパフォーマンスが稚ガニの品質に影響するため,これに影響を与える要因について様々な研究が行われているが,知見は断片的である。本総説ではノコギリガザミ属の繁殖研究や親個体の飼育技術の進歩を概観するとともに,飼育下で親を効果的に管理する手法の改善に向けた研究の一層の促進を目的としている。
(文責 筒井直昭)

91(6), 1089−1101 (2025)
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日本の資源量指数を用いたニホンウナギの資源評価の更新

田中栄次
 1894−2010年のデータを用いた東アジアにおけるニホンウナギAnguilla japonicaの資源評価を更新するために2011−2022年のデータを追加し同一モデルで資源評価を行った。base caseの結果では2023年の資源量(1+)は2.1万トンで環境収容力の28%と推定された。2022年におけるシラスウナギの漁獲実績は60トンで,シラスウナギのみを漁獲する場合の持続生産量129トンより低かった。

91(6), 1103−1111 (2025)
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流路水槽実験に基づくマグロ延縄の釣針,餌,餌付釣針の流体力学係数

Bo Zhang, Liming Song, Yuwei Li, Yukun Qi, Linhui Wang, Meng Zhang, Hailin Hao
 流路水槽を用いて,マグロ延縄の2種類の釣針,3種の餌,それらの組合せについて水平・垂直方向の流体力学係数を調べ,流速と迎え角に基づく非線形経験式を導出した。(1)釣針の抗力係数と揚力係数はレイノルズ数の上昇とともに低下し,レイノルズ数2455−4364の範囲で安定化した。(2)餌種間で抗力,揚力係数に差があり,イカは低い抗力係数と高い揚力係数を示した。(3)餌付釣針は餌なし釣針よりも抗力,揚力係数が低かった。本研究の結果から,イカ餌付釣針は水平吊下げ方式,イワシ,サンマ餌付釣針は14/0番のサークルフック垂直吊下げ方式で装着し,延縄展開時の効力低減と沈降加速を図ることを推奨する。
(文責 山川 卓)

91(6), 1113−1135 (2025)
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深層学習によるサケOncorhynchus ketaの年齢自動予測の性能に与える入力画像サイズの重要性

宮島(多賀)悠子,鈴木健吾,高橋昌也,平林幸弘,大井邦昭,井上誠章
 入力画像サイズが,サケ鱗画像と畳み込みニューラルネットワークを用いた年齢自動予測モデルの性能に与える影響を調べた。679×679ピクセル以上では正答率が最大で94.7%と高い水準を示したが,画像サイズが小さくなると正答率は急激に低下した。480×480ピクセル以上では目視査定と同様に一貫して,第一休止帯より外側の領域に注目して年齢を予測したが,このサイズ以下では休止帯への注目は弱かった。これは画像の圧縮により隆起線の詳細情報が失われたためと推察され,高精度な年齢予測には入力画像サイズの選択が重要であることが示された。

91(6), 1137−1152 (2025)
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台湾海峡南西部における漁業資源の季節的構成特性と人為的利用の影響

Po-Yuan Hsiao, Wen-Hao Lee, Kuo-Wei Lan
 本研究は,湧昇と季節風の影響で高い生産性と生物多様性が知られる台湾南西部海域において,漁業活動が海洋生態系に与える影響を検証したものである。台湾南西部海域の2014−2019年の漁獲データを基に,Ecopathを用いて夏期と冬期の生態系モデルを構築した。季節により主要種は異なるが,漁獲圧を2分の1に減らした場合,主要種やキーストーン種の資源量に対し,概ね正の影響が確認された。一方で,生態系全体の物質循環量や多様性は低下しており,現状の漁獲強度は生態系の許容量を超えている可能性が示唆された。
(文責 石川智士)

91(6), 1153−1174 (2025)
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体長ベース資源評価手法における生物学的基準点の精度評価

Wiwiet Teguh Taufani, 松石 隆
 本研究では,体長ベース資源評価における生物学的基準点(BRPs)の精度を評価した。ELEFAN法を用いてBRPs(F0.1, Fmax, F0.5)を推定し,ブートストラップ手法によりその精度を検証した。さらに,必要なデータ量と調査頻度を分析した。その結果,信頼性の高い推定には,12か月以上の連続調査,または2年間にわたる2か月ごとの調査が必要であり,いずれも7,000−8,000のデータが求められることが判明した。本研究は,標本設計の最適化に貢献し,持続可能な資源管理に有用なデータの確保を促進するものである。

91(6), 1175−1187 (2025)
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2024年能登半島地震を引き金とする海底地すべりによる富山湾のベニズワイガニ資源への影響

三箇真弘,南 宏樹,笠谷貴史,篠原雅尚,中澤征太郎,勘坂弘治,中島一歩,北川慎介,大場隆史,前田経雄,辻本 良
 2024年能登半島地震により,富山湾で海底地すべりが発生した。ベニズワイガニ資源への影響を調べるため,生息密度や捕獲数を調査した。曳航式深海用ビデオカメラでは,震災前の2023年には23.7個体/1000 m2であったが,震災後の2024年には12.6個体/1000 m2に減少した。桁網調査においても,震災後に採集密度が減少した。小目合かにかご調査では,過去10年間の1かご当たりの採捕数が18.9−42.0個体の範囲であったが,震災後に5.55個体に減少した。富山湾のベニズワイガニ資源は,海底地すべりとそれに伴う混濁流によって影響を受けたと考えられる。

91(6), 1189−1202 (2025)
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ハンドウイルカ(Tursiops truncates)の個体群間におけるDNAメチル化に基づく暦年齢推定モデルの差異

入江 葵,前田ひかり,田辺 敦,佐原弘益,野崎玲子,近藤秀裕,金治 佑,上田真久,村瀬弘人
 日本の太平洋沖に生息するハンドウイルカを対象としたDNAメチル化(DNAm)頻度に基づく暦年齢推定モデルを構築した。歯牙より暦年齢を査定した28個体について,最良の年齢推定モデルは,推定暦年齢=7.7086+3.2756×GRIA2_CpG4−2.2931×CDKN2A_CpG1 (R2=0.86,歯牙より査定された年齢との絶対平均誤差=2.74歳)となった。本モデルと既報モデル(サラソタ湾,アメリカ)について標本を相互に入れ替えて結果を比較したところ,どちらのモデルでも標本を入れ替えた場合に年齢推定の精度が落ちた。同種においても集団特異的なDNAmに基づく年齢推定モデルを適用した方が推定精度は高くなった。

91(6), 1203−1215 (2025)
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異なる体サイズおよび水温条件下で絶食させたニジマスの脾臓肥大

山田良希,亀谷美恵,泉庄太郎,秋山信彦
 ニジマスでみられる絶食による脾臓の肥大過程を明らかにするために,異なる体サイズおよび水温条件で脾臓組織と血液性状を観察した。絶食させた場合,体サイズや水温に関係なく顕著な脾臓肥大が起き,組織学的にはリポフスチン様色素をもつ赤血球やメラノマクロファージ,ヘモシデリンが特徴的にみられた。血液性状では平均赤血球容積が小さく,平均血色素濃度が高い場合がみられた。これらの結果から,絶食が赤血球の老化と脾臓への密集を引き起こすことで脾臓が肥大し,赤血球生産と破壊のサイクルを変化させる可能性が示唆された。

91(6), 1217−1231 (2025)
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河川に来遊したニホンウナギAnguilla japonicaの骨化の進行状態および色素発達段階,耳石微細輪紋数との関係

久保園開人,望岡典隆
 河口域に来遊したニホンウナギの骨化状態を観察し,色素発達段階,淡水マーク外側の耳石微細輪紋数との関連性を検討した。河川加入時の個体の骨化状態は進行途上であることが明らかになった。観察した11箇所の骨のうち8箇所において骨化の進行と色素発達に有意な関連性が示され,淡水マーク外側の耳石微細輪紋数との間にも正の相関がみられた。骨化状態などからシラスウナギの色素発達段階はVA−VB2,VIA0−VIA1,VIA2−VIA4の3グループに大別され,それぞれ前期,中期,後期シラスウナギ期に区分することを提案する。

91(6), 1233−1246 (2025)
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日本海・東シナ海における浮魚類の環境DNAの網羅的解析結果と卵仔魚ネット調査の比較

日野晴彦,佐久間啓,北島 聡,児玉武稔
 環境DNA(eDNA)の有効性を検討するため,日本海・東シナ海において網羅的解析による浮魚類の在不在結果を卵仔魚のネット調査と比較した。eDNAにより検出された52種の在結果が妥当と判断された。浮魚類の在地点数はeDNAとノルパックネット(NP)で同程度であるのに対し,濾水量が最も多いボンゴネット(BG)で最高値を示した。eDNAによるイワシ類の在不在結果はBGよりもNPと強く相関したが,マアジ・サバ類・ブリではイワシ類のような相関が確認されなかった。eDNAのみで在結果を得た地点が確認され,従来のネット調査を補完することが示唆された。

91(6), 1247−1261 (2025)
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栄養利用に関する機能的役割の推定を目的としたアイゴSiganus fuscescens の腸内マイクロバイオーム解析

Samuel Mwakisha Mwamburi,John Paul Matthew D. Guzman,
小西佳代,野崎玲子,服部亘宏,小祝敬一郎,廣野育生,近藤秀裕
 草食性の魚類は,腸内細菌叢が多糖類の消化に重要な役割を果たすと考えられる。本研究は,アイゴSiganus fuscescensの腸内細菌叢組成を解析し,栄養利用における微生物の寄与を推定した。宮城,神奈川,および和歌山の天然個体,および和歌山の陸上飼育個体の腸内容物を対象に16S rRNA遺伝子配列解析を行ったところ,各地域から採取されたサンプルは異なる微生物組成を示し,配合飼料で飼育した場合にも組成の変化が観察された。一方,サンプル間でいくつかの属の菌が共通して見出され,その中には複雑な藻類多糖類を分解するものも含まれていた。

91(6), 1263−1275 (2025)
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魚食性海鳥の餌のモニタリングは近年の沿岸性糧秣魚群集のシフトを示す

綿貫 豊,大門純平,伊藤元裕,風間健太郎,ジャン-バプテスト・テイエボ
 北海道沿岸の島で繁殖するウトウは,2014〜2019/2020年には日本海でホッケ0歳/イカナゴやスケトウダラ0歳,太平洋ではサケ0歳/マイワシなど寒冷レジームに特徴的な魚種を雛に与えたが,日本海では2019/2020年以降温暖レジームに典型的なカタクチイワシに切り替えた。これは近年の日本海ではカタクチイワシが利用可能だったことを示すが,この間カタクチイワシ対馬暖流系群資源量の増加は報告されていない。本研究は魚食性海鳥の餌が地域の表層性糧秣魚群集の変化の即時的な指標として役に立つことを示す。

91(6), 1277−1284 (2025)
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ミナミノコギリガザミのメガロパと第1齢稚ガニの生残と成長に及ぼす底質とシェルター及びその配置の影響

Fui Yin Thien, Noorsyarinah Sanudin, 浜崎活幸, Rossita Shapawi, Audrey Daning Tuzan, Zarinah Waheed,
Annita Seok Kian Yong
 ミナミノコギリガザミのメガロパと稚ガニの生残と成長に及ぼす砂基質の有無,シェルター(ネットとPVCパイプ)及びその配置(水平と垂直)の影響を調べた。メガロパは第1齢と第2齢稚ガニまで脱皮し,基質有区が基質無区よりも第2齢への脱皮割合,生残率,収量が有意に高く,ネットはPVCよりも,また,同じシェルター材では水平が垂直設置よりも効果的であった。したがって,砂基質と水平に設置したネットシェルターの組み合わせが,本種の安定した種苗生産に有効であると考えられる。

91(6), 1285−1294 (2025)
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各種の海洋性タンパク源配合飼料由来の溶出物に対するノコギリガザミの食欲に関する反応

Yew-Jun Lim, Kit-Shing Liew, Hon Jung Liew, Annette Jaya-Ram, Kianann Tan, Annita Seok-Kian Yong,
Rossita Shapawi, Uun Yanuhar, Leong-Seng Lim
 魚粉(FM),サクラエビミール(SSM),イカミール(SQM)を含有する配合飼料FM100(100%各種海洋性タンパク),SSM100,SQM100,FM50SSM50(50%FMと各種タンパク50%の混合物),FM50SQM50およびSSM50SQM50への反応をアサリ抽出物や海水と比較した。食欲に関する反応の点数は,SW < FM100 < FM50SSM50 < SQM100 < SSM50SQM50 < FM50SQM50 < SSM100 < CEとなり,SSM100とFM50SQM50がCEと有意な差がなく(p > 0.05),サクラエビミールとイカミールの誘因性の高さが示された。
(文責 芳賀 穣)

91(6), 1295−1304 (2025)
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リンホシスチス病ウイルスの迅速診断に向けたRPA-LFD法の開発

Kaijie Yu, Yitong Zhang, Ziyang He, Yufeng Liu, Zhongwei He, Wei Cao, Yuqin Ren, Guixing Wang, Yufen Wang, Jilun Hou
 本研究は,リンホシスチス病ウイルスの迅速,簡便,かつ特異性の高い新たな検出法として,recombinase polymerase am­pli­fication−lateral flow dipstick法を開発した。LCDVの主要カプシドタンパク質を標的としたプライマーおよびプローブを設計し,条件検討をおこなったところ,43°Cにおいて15分間の反応で,13コピー/μLのウイルスDNAを検出可能であった。本手法は定量的リアルタイムPCR法に匹敵する高感度でありながら,より迅速にウイルスを検出可能であった。また,本手法は,他の病原ウイルスとの交差反応は示さなかった。
(文責 近藤秀裕)

91(6), 1305−1314 (2025)
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マダコの卵巣発達と卵母細胞の形態学的変化に関する研究

小林靖尚,山本昌幸
 瀬戸内海のマダコ資源は近年減少しており,適切な資源管理が急務である。しかし生殖に関する知見は不足している。本研究では香川県産マダコの卵巣発達を組織学的に調査した。卵母細胞は卵原細胞から排卵卵まで8段階に分類され,雌の成熟度は卵巣内の卵母細胞構成に基づき4段階に区分された。また外側濾胞細胞の断面積は発達過程で変化し,卵黄形成期に最大となった。加えて未成熟雌の23.8%が卵管球に精子を貯蔵していることを確認した。これらの知見はマダコの繁殖生態の理解を深め,資源管理に有用な基礎情報となる。

91(6), 1315−1326 (2025)
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福島県避難指示区域近傍の森林河川およびダム貯水池に生息するヤマメの137Cs濃度の夏季〜秋季変動とその要因

和田敏裕,三浦慎哉,日向諒典,星 笙太,金指 努,鷹﨑和義,川田 暁,石井弓美子,境 優,林 誠二,難波謙二
 福島県避難指示区域近傍の森林河川およびダム貯水池に生息するヤマメの137Cs濃度の夏季〜秋季における変動要因を検証した。河川個体の137Cs濃度は秋季に高く,特にサイズの大きな1歳魚で顕著であった。河川個体の主な餌生物は陸生・水生昆虫であり,湖沼個体では小型魚類であった。秋季の河川個体では,餌生物と魚体の137Cs濃度に正の相関が認められた。河川個体は137Cs濃度の高い陸生昆虫を多く捕食することで夏季〜秋季において濃度が上昇する一方,湖沼個体は濃度の低い魚類を摂食しているため,137Cs濃度が比較的低く,変動が小さいと考えられた。

91(6), 1327−1344 (2025)
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クルマエビの筋肉白濁症における筋カルシウムホメオスタシスの異常に関する遺伝子転写レベルでの研究

Garner Algo Langote Alolod,John Paul Matthew Domingo Guzman,松本紗奈,小祝敬一郎,近藤秀裕,廣野育生
 クルマエビの筋肉白濁病(WMD)は筋肉の部分的な白化が特徴である。WMDに感染したクルマエビのトランスクリプトーム解析を行なった。遺伝子発現に変化がみられた130種類の遺伝子のうち123の遺伝子が発現量が低下していた。カルシウムイオン結合に関連する遺伝子に着目して調べたところ,アクチン様,筋小胞体カルシウム結合タンパク質様,トロポニン-I様およびジストログリカン様遺伝子は有意に発現量が減少していた。環状RNA(circRNA)についても調べたところ314種類のcircRNAの発現量に差がみられ,これらの内,カルシウムイオン結合に関連するミオシン軽鎖1様,ミオシン調節軽鎖2様およびscpAB遺伝子を標的とするcircRNAの発現量が減少していた。これらのことよりカルシウムホメオスタシスの異常がクルマエビのWMDの筋肉白濁に関与していることが示された。

91(6), 1345−1358 (2025)
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品質評価のためのマアジTrachurus japonicusの水溶性成分の定量NMR

渡邊龍一,橋本加奈子,村田裕子,松田 隆,石原賢司,松嶋良次,鈴木敏之,吉岡武也
 魚の品質指標に関連するいくつかの親水性成分を定量するために,定量的1H-核磁気共鳴分光法(1H-qNMR)を開発し,マアジの特性評価に応用した。1H-qNMRで測定した数魚種のK値は従来のHPLC法で得られた値と良く一致した。その後,最大24時間まで保存したマアジに本測定法を適用したところ,K値は24時間の間ほぼ一定に保たれたが,乳酸の含有量は大きく変化し,官能評価において酸味の変化も捉えることができた。これにより,1H-qNMRは魚の品質を総合的に評価するために適用可能であり,K値だけでなく,味や魚の臭いなどの品質指標を測定する上でも有用であることが示された。

91(6), 1359−1367 (2025)
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