Fisheries Science 掲載報文要旨

産卵期の水温条件がスケトウダラの産卵特性に及ぼす影響

田中寛繁,中川 亨,横田高士,
千村昌之,山下夕帆,船本鉄一郎

 異なる水温条件がスケトウダラの産卵特性に及ぼす影響について人工育成魚を用いて検討した。実験魚は孵化後33か月から3つの水温条件(2, 5, 8℃)に分けて飼育し,36-39か月において産卵が認められた。産卵時期のピークは飼育水温8℃で最も早く2℃で最も遅かった。また,3℃の違いは産卵時期のピークに2-5週間の差異をもたらした。一方,水温と卵質の関係は不明瞭であった。卵径は5℃で最も大きく,次いで2℃,8℃の順であったが,孵化仔魚の飢餓耐性は親魚の飼育水温と有意な関係は認められなかった。

85(6), 901-911 (2019)
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天然河川におけるFlavobacterium psychrophilumの分布と分離株のgyrA遺伝子型

永田恵里奈,進藤有章,山本充孝,
岡村貴司,竹上健太郎,江口 充

 冷水病菌は,gyrA遺伝子多型から,G-C型(アユ型),A-C型(多魚種型),A-T型(サケ・マス型)に分けることができる。琵琶湖水系の河川の下流域において,2010-2013年に採取した様々な試料から冷水病菌を分離しgyrA遺伝子型を調べた。アユが遡上する6月には全ての型の本菌が分離された。アユの産卵期である9月になると分離株のほとんどをG-C型が占め,A-T型は分離されなかった。12月にはA-T型のみが分離された。この時ビワマスが産卵のため遡上してきていた。河川に存在する宿主魚種の季節的変化に従って,異なる遺伝子型の本菌が分離されたと考える。

85(6), 913-923 (2019)
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過去の海水経験がニジマスのその後の成長と海水適応能を向上させる

金子豊二,鈴木凛太郎,渡邊壮一,宮西 弘,
松澤 峻,降幡 充,石田典子

 ニジマスの海水順応性が過去に海水環境を経験することで向上する可能性を検証するため,ニジマス幼魚を希釈海水に1週間曝露した。海水経験群および対照群を淡水で飼育した結果,対照群に比べ海水経験群で高い成長率を示した。両群のニジマスを海水に移行したところ,血液浸透圧は海水経験群で生理的範囲内に維持されたのに対し,対照群では過度に上昇した。また5日間生残率は対照群で85%,海水経験群で100%であった。以上の結果から,高浸透圧環境を過去に経験したニジマスはその後の成長に優れ,海水順応性が大きく向上することが示された。

85(6), 925-930 (2019)
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房総・鹿島灘海域におけるマサバScomber japonicus仔稚魚の成長に及ぼす水温・餌料密度の影響

多賀 真,上村泰洋,山下 洋

 2015-2016年の3-7月に房総・鹿島灘沖で採集したマサバScomber japonicus仔稚魚のDNA分析,胃内容物分析および耳石輪紋間隔測定を行った。一般化線形混合モデル(GLMM)で成長速度に対する水温および餌料密度の効果を分析した結果,水温は体長11mm未満,餌料密度は体長9mm未満と11mm以上で成長速度に対する効果が認められ,9mm未満では水温の効果が大きいが11mm以上では餌料の効果が大きく,稚魚への変態時期に餌料への依存が高まったことが示唆された。耳石輪紋間隔はまき網で漁獲された未成魚に比べて狭く,成長速度依存的な減耗が生じていると推察された。

85(6), 931-942 (2019)
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ゼブラフィッシュにおける細胞外液での短期的Ca2+恒常性調節に対する鱗の寄与の検討

Jacky T. Hung, Sarah E. Webb, Carla Palumbo,
Agnieszka M. Lesniak, Alan M. Shipley,
Alessandro Rubinacci, Joseph G. Kunkel, Andrew L. Miller

 真骨魚で鱗は主要なカルシウム貯蔵組織である。しかし,血漿を含む細胞外液内の短期的Ca2+恒常性調節への寄与は不明な点が多い。本研究ではゼブラフィッシュの鱗を採取,培養し,イオン選択性電極による表面走査検出(SIET)法によりCa2+条件に応答した鱗表面でのCa2+流出入の変化を検討した。その結果,マウス骨でみられるものと同様の応答がゼブラフィッシュ鱗でも観察され,鱗が短期的Ca2+恒常性調節に寄与することが示唆された。また,簡便な骨Ca2+代謝モデルとして魚類の鱗が活用できる可能性も示された。
(文責 渡邊壮一)

85(6), 943-959 (2019)
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西日本におけるカサゴSebastiscus marmoratusの遺伝的多様性と集団構造

笘野哲史,安原翔太,高木基裕,海野徹也

 沿岸有用種であるカサゴの遺伝的多様性と集団構造を,マイクロサテライトDNAマーカー7座によって評価した。カサゴ13集団646個体が示した遺伝的多様性は,有効アリル数11.5および平均ヘテロ接合体率の観測値0.73と,先行研究に比べ高い値となった。分子分散分析およびクラスター解析は集団全体における有意な集団構造を示さなかったものの,ペア集団解析では2組(2.6%)のみが有意な遺伝分化を示した。以上から,西日本のカサゴは集団間の遺伝分化が小さく,明瞭な集団構造を持たないと示唆された。

85(6), 961-970 (2019)
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クロミンククジラ雌の脂皮中および血しょう中プロゲステロン濃度と性状態の比較

井上聡子,安永玄太,Luis A. Pastene

 南極海クロミンククジラ雌の性状態を判定する指標として,脂皮中プロゲステロン(P4)濃度の有用性を検証するために,性状態(未成熟,休止,排卵,妊娠)が異なる雌230個体の脂皮及び血しょう中P4濃度を比較した。未成熟群の脂皮中のP4濃度は成熟に達している排卵および妊娠群のそれよりも低く,それらの濃度範囲に重複はなかった。休止群のP4濃度は未成熟群の濃度範囲と重複していたが,その割合は低かった。脂皮はバイオプシー銃で採集できることから,非致死的調査手法を用いて本種の性成熟度を推定できる可能性が示された。

85(6), 971-977 (2019)
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チュウゴクモクズガニ肝膵臓消化酵素遺伝子の発現と特性に関する比較トランスクリプトーム解析

Huayun Guo, Dan Tang, Xueling Shi, Qiong Wu,
Ruobing Liu, Boping Tang, Zhengfei Wang

 チュウゴクモクズガニEriocheir japonica sinensisを,肉食(MD),菜食(VD),混合食(MV)で飼育し,肝膵臓トランスクリプトームを比較した。肝膵臓において発現に有意差のあった遺伝子は,MDでは主に膵臓分泌,グルタチオン代謝,スフィンゴ脂質代謝,脂肪酸代謝,グリセロ脂質代謝に,VDではガラクトース代謝,デンプン・ショ糖代謝,フルクトース・マンノース代謝に関与していた。トリプシン,β-グルコシダーゼ,キチナーゼ,トリアシルグリセロールリパーゼなどの主要な消化酵素が同定された。
(文責 舩原大輔)

85(6), 979-989 (2019)
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Episesarma singaporenseの各成長段階における消化酵素活性と元素組成

Chanyut Sudtongkong, Karun Thongprajukaew,
Waraporn Hahor, Suktianchai Saekhow

 ベンケイガニ科の一種であるEpisesarma singaporenseの幼生から第1齢稚ガニ(C1)までの各成長段階における主要な消化酵素(ペプシン,トリプシン,キモトリプシン,リパーゼ,およびアミラーゼ)活性と元素組成(炭素,窒素,および水素)について調べた。消化酵素活性は,いずれも個体の発達に伴って各酵素特有の変化を示した。また,これらの活性変動は,元素組成の変化と密接に関連することが示唆された。以上の結果は,本種の発生初期段階の養殖餌料開発のための有用な知見を付与するものである。
(文責 井上 晶)

85(6), 991-1000 (2019)
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三倍体ニジマスの消化特性と血液化学成分に対する体サイズと季節変化の影響

Yuqiong Meng, Buying Han, Changzhong Li,
Kangkang Qian, Xiaohong Liu, Xuemin Hu,
Xu Yang, Haining Tian, Rui Ma

 本研究では三倍体ニジマスの各種体指数,各消化管部位の消化酵素活性および血液化学成分に対する体サイズと季節変化の影響について検討した。その結果,大型個体では小型個体と比較して,各種体指数と血中栄養成分濃度,幽門垂リパーゼ活性および腸アミラーゼ活性が高値を示した。また季節変化に対する応答として,夏に多くの各種体指数および血中栄養成分が低下したが,秋にそれらが回復し,胃プロテアーゼ,幽門垂のリパーゼおよびプロテアーゼ活性も高値だった。これらの変動は既報の二倍体ニジマスでの変動と部分的に異なる。
(文責 渡邊壮一)

85(6), 1001-1010 (2019)
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魚病細菌Edwardsiella piscicidaに対する枯草菌分離株の拮抗作用と感染防御効果

Xiaomeng Ren, Binbin Wu, Feng Zhao, Lingling Qi,
Xianfeng Qiu, Ran Li, Sisi Yang, Fuguo Liu,
Ganfeng Yi, Xuezhi Ding, Liqiu Xia, Yunjun Sun

 健康なコイの腸から分離された枯草菌ZFB19は,多剤耐性のEdwardsiella piscicidaに対して拮抗作用を示した。細胞外抗菌物質は広範囲のpH,温度および蛋白質分解酵素存在下で安定していた。活性成分の分子量は約560であった。ゼブラフィッシュにZFB19を投与することによりE. piscicidaによる死亡を軽減できた。ゼブラフィッシュにZFB19を注射することにより,種々の免疫応答などの向上を示した。感染初期細胞内でのE. piscicidaの複製は,ZFB19の事前投与によって減少した。本研究は,魚類感染症対策におけるプロバイオティクスのメカニズムを理解するのに役立つものである。
(文責 廣野育生)

85(6), 1011-1018 (2019)
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トラフグTakifugu rubripesの宿主特異的寄生虫ヘテロボツリウム症耐性に関する遺伝的多様性

Dong In Kim,細谷 将,水野直樹,
伊藤洸太朗,家田梨櫻,菊池 潔

 トラフグのヘテロボツリウム症耐性に関して,宿主側の遺伝的多様性を検討するため,天然の雄10尾と雌1尾を交配して得た299個体を用いて感染実験を行った。その結果,鰓弁上の寄生虫密度に関する広義の遺伝率はH2=0.098(95%CI:0.025-0.201)となり,小さいながらも有意な遺伝的影響が認められた。しかし,体長との間に表現型相関が認められたことから,ヘテロボツリウム症耐性育種を行うには,当該形質と体長との間の遺伝相関を評価する必要性も示された。

85(6), 1019-1025 (2019)
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沿岸域で飼育されたLarimichthys croceaSparus macrocephalusにおける腸内細菌の多様性

Chen Zhang, Xiafei Zheng, Xing Ren,
Yunmeng Li, Yan Wang

 本研究では中国東海岸,登歩島沿岸の生簀において,配合飼料で飼育されたLarimichthys croceaSparus macrocephalusの前腸,中腸,後腸,および,配合飼料と海水における細菌叢を調べるため,16S rRNAのV3-V4領域を対象にアンプリコン解析を実施した。その結果,17門にまたがる270のoperational taxonomic units(OUT)が検出された。2種の魚類の腸内細菌叢は,配合飼料中,海水中の細菌叢よりも類似性が高いことから飼育環境における腸内細菌の影響をあまり受けないことが示唆された。
(文責 高田健太郎)

85(6), 1027-1036 (2019)
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マルチステレオ画像計測による養殖マダイの周年にわたる成長追跡

田中達也,池田龍之介,湯田勇太,霍川幹史,
中村悟史,山口武治,米山和良

 養殖業では,定期的な魚体長の計測が必要不可欠である。本研究は,養殖生簀内を遊泳するマダイの成長をマルチステレオ画像計測により追跡することを目的とした。平均尾叉長と標準偏差の関係を基に,生簀内全体の尾叉長の推定に必要な計測尾数を許容する計測誤差に応じて算出した。3か月に1回,生簀中のマダイの尾叉長を画像計測し,生簀から手網で捕獲して計測した尾叉長と比較した。1年間計測を続けた結果,生簀内のマダイは6月から2月にかけて顕著に成長し,2月から6月にかけては成長が鈍くなる傾向が両手法でみられた。

85(6), 1037-1043 (2019)
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ニホンウナギの化骨過程:仔魚期の顎部と変態期の脊椎

増田賢嗣,島 康洋,田丸 修,高橋勇樹,大村智宏,
岩崎隆志,鴨志田正晃,有元 操,山野恵祐,谷田部誉史

 顎部と脊椎の形態異常はニホンウナギの種苗生産において問題となっている。形態異常の発生に関する基礎的な知見を得るため,本種仔魚の骨格の発達について分析した。顎部の化骨はふ化後10日頃に始まり,その後は変態期まで緩やかに進行した。頭部の化骨は変態期に急速に進んだ。脊椎については変態期に後端部から化骨が始まり,変態期中に全ての椎骨の化骨が始まった。頭部の化骨過程は数種のカライワシ類と共通するが,脊椎の化骨は多様であった。また顎部や脊椎におけるある種の形態異常の発生時期は化骨時期と概ね一致した。

85(6), 1045-1054 (2019)
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日本における事例を対象とした超集約型閉鎖循環エビ養殖の生物経済学的分析および経営改善プランの提言

進士淳平,八木信行,野原節雄,マーシー・ワイルダー

 世界的巨大産業となったエビ養殖では,環境負荷の低減と生産性の改善のため,近年,超集約型閉鎖循環養殖とよばれる手法が開発され,注目を集めている。本研究では,生物経済学的アプローチによって,実際の養殖現場において生産性を決定するメカニズムを推定し,経営改善プランを提言した。まず,共分散構造分析によって,養殖水槽内の物理環境とエビの成長率および死亡率の関係を分析した。次に,これに基づき,個体群動態モデルを作成し,最後にシミュレーションを行うことによって,調査対象地における最適な生産計画を推定した。

85(6), 1055-1065 (2019)
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Rock carp, Procypris rabaudiの生存に及ぼす大気過飽和と浮遊懸濁物質の影響

Cuixia Feng, Na Li, Yuanming Wang, Xiaoqing Liu,
Xiaotao Shi, Chenghua Fu, Zhu Jiang, Yao Yang, Haoran Shi

 洪水時のダム放流水における大気ガスの過飽和およびそれに含まれる浮遊懸濁物質(SS)は,下流に生息する魚類の生存を脅かす可能性があるが,影響に関する研究は少ない。本研究では,それらの影響を評価するため,rock carpの仔魚を過飽和水および高SS水に複合的に曝露した。その結果,過飽和レベルおよびSS濃度の上昇に伴い魚はガス病の症状を示し,生存率および平均生存時間は減少した。また両者の複合曝露は魚の生存に有意な影響を与えた。本研究により洪水時に放出されたSSを含む過飽和水は魚の生存に顕著な影響を与えることが示された。
(文責 大嶋雄治)

85(6), 1067-1075 (2019)
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噴火湾における沿岸親潮流入前後のかいあし類及び尾虫類群集の年・季節変化

山岡秀圭,髙津哲也,鈴木孝太,
小林直人,大木淳之,中屋光裕

 噴火湾で12-5月にNORPACネット採集によるかいあし類と尾虫類の密度と群集構造を4年間にわたり調べた。かいあい類の調査日間最大密度差は低水温だった2014年に小さく(隣接する調査日間の最大差:1.55倍),2015-2017年に大きかった(同:1.60-1.93倍)。尾虫類の最大密度は2014年に低かった。両者の増加期は沿岸親潮流入期よりも植物プランクトンブルームの方が一致していた。正準対応分析の結果,風速の北西成分は沿岸親潮の流入効果とほぼ同等な82%の強さで群集構造へ影響を及ぼしていた。

85(6), 1077-1087 (2019)
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ICP発光分光法によるカキのミネラル分分析のためのマイクロウェーブ分解における温度の影響

依田 毅,一戸聡子,横澤幸仁

 本研究では,マイクロウェーブによる分解の後,誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP-AES)を用いて,イワガキCrassostrea nipponaの,亜鉛,カルシウム,カリウム,ナトリウム,およびマグネシウムの含有量を調べた。また,分解温度を段階的に上昇させてその効果を調べた。結果,230℃まで上昇させることがミネラル分含有量測定には効果的なことが分かった。カリウムにおいては,試料に酸を単に添加することのみで推定することが可能だった。これらの結果は,将来的なカキ養殖地の選択,他の海産物の栄養分析等に繋がる可能性がある。

85(6), 1089-1098 (2019)
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血液就下現象が養殖ブリ普通筋の保存中における結合組織に及ぼす影響

蒋  彤,袁 鵬翔,平坂勝也,濱田友貴,
原 研治,橘 勝康,谷山茂人

 養殖ブリを脱血処理せず苦悶死させて10℃で保存したところ,保存96時間目のa*値は下部の左体側が上部の右体側より高く,血液就下現象が認められた。なお,対照には即殺後,脱血処理した保存4時間目の魚体を用いた。苦悶死魚体の左体側の破断強度は最も低く,形態学的にみた結合組織は最も薄く構造崩壊が認められた。また同保存時間の同魚体の左体側のゼラチン分解酵素活性は最も高く,電気泳動におけるコラーゲンのバンドも薄かった。以上から,血液就下現象は保存中における普通筋のコラーゲン分解を加速すると考えられた。

85(6), 1099-1107 (2019)
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