Fisheries Science 掲載報文要旨

岩手県宮古湾におけるニシン仔稚魚の成育場利用[特集:沿岸複合生態系]

山根広大,村瀬偉紀(東大大気海洋研),
白藤徳夫(水研機構東北水研),
林  晃(東大大気海洋研,水研機構西水研),
長倉義智(水研機構東北水研),
渡邊良朗(東大大気海洋研)
 岩手県宮古湾において,ニシンの卵,仔魚及び稚魚の分布を調べた。卵は湾奥西岸のアマモ場に分布したが,その一方で,仔稚魚は湾奥東岸の砂泥域に分布した。稚魚は,湾奥東岸で約100 mmになるまで成長し,8月に水温が20℃を超え餌密度が減少すると,成育場を離れることがわかった。このようにニシンは,初期発育に伴って異なる成育場を連続的に利用していることがわかった。東岸では,環境調査により海底湧水の存在が示唆され,宮古湾のニシンは,塩分の低い湧水域を仔稚魚の成育場として利用していると考えられた。
85(3), 407-416 (2019)
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アサリの生残に対する礫浜の優位性[特集:沿岸複合生態系]

一見和彦,本多美雪,岡田有加,續木夏菜,山口一岩
 瀬戸内海備讃瀬戸の干潟では,2008年以降にアサリ資源量が大きく減少したが,礫浜には現在も高い個体密度でアサリが生息しており,肥満度も明瞭に高いことが明らかとなった。礫浜でアサリの生残率が高い理由として,捕食圧が小さいことに加え,干潟とは異なり夏季の高温に曝され難い環境にあることが考えられた。以上より,礫浜はアサリの生息にとって好適な環境であり,アサリが一定の資源量を維持する上で重要な環境である可能性が示唆された。
85(3), 417-427 (2019)
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代理親魚技法の養殖への応用(総説)

吉崎悟朗,矢澤良輔

 代理親魚技法とは,ドナーとなる魚の生殖細胞を異なる系統や種の宿主魚に移植し,成熟した宿主魚にドナー由来の配偶子を生産させるものである。本技術を駆使することで,1)選抜個体に由来する優良種苗を確実に生産させる,2)世代時間を短縮することで育種期間を大幅に短縮する,3)優良品種の生殖細胞を超低温保存することで当該品種の遺伝子資源を永久保存する,4)遺伝的不妊魚を大量生産することで,遺伝子資源の流出を防ぐことや,逃亡魚の自然界での再生産を未然に防ぐことが可能になると期待される。

85(3), 429-437 (2019)
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漁業補助金:国際的な研究動向および政策との接点(総説)

阪井裕太郎,八木信行,Ussif Rashid Sumaila
 漁業補助金の問題は1990年代以降国際的な関心を集めている。国連貿易機関においても2001年から漁業補助金に関する規律の強化が議論されており,学術的な研究がその政策決定において果たす潜在的な役割は大きい。本研究では漁業補助金に関する既存研究を記述的・理論的・実証的という3つに分類し,それぞれの知見をまとめた。その結果,過去30年の間に漁業補助金に関する学術的知見は飛躍的に蓄積されたことが明らかとなった。この学術研究の成果を政策に反映させるためには,研究者と政策決定者がより情報共有していくことが望ましい。
85(3), 439-447 (2019)
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カラアカシタビラメの発生過程におけるLPXRFaとkisspeptin,およびそれらの受容体の発現

Bin Wang, Yaxing Zhang, Yongjiang Xu,
Xuezhou Liu, Aijun Cui, Bao Shi, Yan Jiang

 LPXRFaとkisspeptinは脊椎動物の生殖に深く関わることが知られているペプチドであるが,それらのペプチドの発生過程における発現パターンや役割についてはあまり理解されていない。今回我々は,カラアカシタビラメの発生過程におけるLPXRFaとkisspeptin,およびそれらの受容体の遺伝子発現を定量的PCRによって解析した。その結果,いずれの遺伝子についても受精直後から仔魚期に至るまで発現が認められ,その間,それぞれ固有の発現変動パターンを示すことが分かった。この結果は,LPXRFaとkisspeptinがそれぞれ,発生過程において何らかの役割を担っていることを示唆している。
(文責 大久保範聡)

85(3), 449-455 (2019)
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涸沼の塩性湿地の微小生息場所間における小型魚類の被食リスクの比較

金子誠也,加納光樹,佐野光彦
 塩性湿地のクリーク上流部と下流部および湿地前縁部において,ミナミメダカ(低酸素耐性をもつ遊泳魚)とアシシロハゼ(底質に似た体色をもつ底生魚)の被食リスクを糸つなぎ実験で調べた。前者の生残率は,水深が浅く低酸素の上流部で高かったが,前縁部では低かった。一方,後者の生残率はどの場所でも高かった。魚食魚は前縁部で多く,上流部にはほとんどいなかった。これらの結果より,上流部はミナミメダカの避難場所となっていることが示唆された。またアシシロハゼは魚食魚が多く存在してもあまり捕食されないことがわかった。
85(3), 457-463 (2019)
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ハイイロハスノハカシパンの生殖周期と成長

櫻井 泉,阿部ほなみ,小形 孝
 北海道苫小牧沿岸のウバガイ漁場に高密分布するハイイロハスノハカシパンの生殖周期と成長様式を調べた。その結果,産卵期は6-8月の年1回と推定された。また,間歩帯板上の暗帯が6-7月に縁辺に形成されるとともに,最初の暗帯が1歳時に刻まれることから,年輪としての利用可能性が示された。さらに,年齢と殻径の関係を解析した結果,成長率は1.6歳まで増加した後,徐々に減少することがGompertzの成長式から推察された。
85(3), 465-474 (2019)
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大分県と宮城県におけるマアジの年齢と成長

片山知史,山田英俊,小野寺恵一,増田義男
 大分県と宮城県で漁獲されたマアジの年齢と成長を,耳石薄片法を用いて調べた。耳石輪紋には二種類の不透明帯が存在し,各々夏季,冬季に形成されることがわかった。各個体の年齢データを基に,年齢組成と成長式を大分県と宮城県のマアジについて比較した。大分県,宮城県におけるバータランフィー成長式のLは各々342 mm, 305 mm,kは各々0.673, 0.634と推定され,両海域間で有意差が認められた。大分県のマアジの尾叉長組成のモードは180-200 mmであり,それらは1+歳であった。7歳以上の高齢魚はほとんど存在しなかった。一方宮城県のマアジの多くは3+から6+歳であり,7歳以上の高齢魚が全体の1/4を占めた。この年齢組成や成長式の差異は,主に採集漁具の違いを反映したものと考えられるが,多様なマアジの生活史との関係が今後の課題であると考えられた。
85(3), 475-481 (2019)
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産卵場で採集されたニホンウナギ親魚の耳石Sr安定同位体比による成長場所の推定

大竹二雄,天野洋典,白井厚太朗,望岡典隆,
高橋俊郎,張 成年,黒木洋明,Dou Shouzeng,
山口飛鳥,塚本勝巳
 西マリアナ海嶺付近の産卵場海域で2008年と2009年に採集されたニホンウナギ親魚7尾(川ウナギ1尾,河口ウナギ5尾,海ウナギ1尾)の耳石Sr安定同位体比からそれらの成長場所の特定を試みた。合わせて中国,韓国,台湾,日本の計33河川の河川水のSr安定同位体比を分析した。耳石のSr安定同位体比が0.7092以下であった川ウナギと河口ウナギの計2尾は同様に低い同位体比が日本の河川にしかないことから,日本の河川や河口域で成長したものと考えられた。
85(3), 483-493 (2019)
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北太平洋で6-7月に採集されたサンマ1歳魚の海域による産卵履歴の違い

巣山 哲,小澤 瞳,柴田泰宙,
冨士泰期,中神正康,清水昭男
 6-7月に北太平洋で採集されたサンマ1歳魚うち,産卵経験を持つ個体の割合の地理的な変異を求めた。産卵経験の検出はビクトリアブルーに陽性の卵巣内細動脈を指標とし,繁殖期開始時の体長の指標として耳石年輪径(ROA)を計測した。採集点の経度,緯度,ROA,全長,年,表面水温,起点日からの経過日数を説明変数,産卵経験を有する魚の有無を応答変数として扱う一般化線形モデルを使用して解析した結果,経度およびROAの効果は有意であり,産卵経験のある魚の割合は西側で高く,繁殖期開始時の体長の違いが影響することが示唆された。
85(3), 495-507 (2019)
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Eriocheir sinensis脱皮に関連した爪筋肉microRNAトランスクリプトームの同定と網羅的解析

Zhihuan Tian, Chuanzhen Jiao
 甲殻類Eriocheir sinensisの各脱皮段階(間期,前期,後期)における爪筋肉低分子RNAライブラリーのディープシーケンスを行い,それぞれから2767, 2676, 2891個のユニーク配列を得た。115個のmiRNAの発現パターンが各脱皮段階で異なっており,それらは5つに分類された。GOおよびKEGG解析の結果,それらmiRNAの予想標的遺伝子は,遺伝子発現,タンパク質分解および合成,筋萎縮および発生,後胚形態形成,解剖学的構造発生に特に関連していた。これらの結果は,特異的に発現するmiRNAとその標的遺伝子が脱皮によるカニ筋肉の成長と発達において重要であることを示唆した。
(文責 舩原大輔)
85(3), 509-520 (2019)
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レクチンを利用したクルマエビ血球細胞亜集団の分離および網羅的遺伝子転写産物解析による機能解析

小祝敬一郎,近藤秀裕,廣野育生
 クルマエビ血球細胞の客観的分類は長年の課題である。本研究では小麦胚芽レクチンおよびトマトレクチンを用いて,クルマエビ血球細胞を3種の亜集団に分類した。さらに細胞磁気標識システムを用いて,顆粒球および無顆粒球の2種の細胞亜集団を分離し,遺伝子転写産物を網羅的に解析した。無顆粒球集団では,トランスグルタミナーゼ関連遺伝子転写産物の蓄積が多かった。顆粒球集団では,抗菌ペプチドおよびクロッティング関連遺伝子転写産物の蓄積が多かった。本血球細胞分類・分離手法は再現性が高く,広く利用が期待される。
85(3), 521-532 (2019)
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病原性ビブリオに対する海洋性ストレプトマイセスS073株の拮抗活性

Mingxia Yang, Jun Zhang, Qiting Liang,
Guanxin Pan, Jiachang Zhao, Miao Cui,
Xinqing Zhao, Qizhong Zhang, Delin Xu

 海洋性ストレプトマイセスS073株は病原性Vibrio parahaemolyticusに対して強い拮抗作用を示した。培養上清に分泌される拮抗作用を示す物質は耐熱性で非タンパク質であった。S073株はカルボキシル化シデロフォアを産生した。S073株の拮抗活性は,培地への鉄添加試験によりV. parahaemolyticusと比較してより高い能力であった。共培養では,S073株は成長には不利であったが,ビブリオの増殖抑制に有効であった。S073株は養殖場における微生物コントロールに有効であることが示唆された。
(文責 廣野育生)
85(3), 533-543 (2019)
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人工シラスウナギ大量生産に向けたレプトセファルス幼生用の新しい液体餌

山田祥朗,岡村明浩,三河直美,堀江則行,塚本勝巳

 ウナギ仔魚養成用の新しいタイプの餌(液体餌)を用いた給餌法と従来のスラリー餌を用いた給餌法の飼育成績を比較した。液体餌給餌区は,サメ卵主体の従来のスラリー餌に海水を加え1.5倍に希釈した液状の餌を飼育水槽底面に注ぎ,この液体餌に仔魚を浸漬することで給餌した。液体餌給餌区の仔魚は,スラリー餌給餌区よりも多量かつ濃厚な餌を腸管内に取り込んでおり,飼育開始後21日目には1.35倍大きな成長率を示した。これらの結果は,液体餌浸漬法により,高い成長と生残で人工シラスウナギを大規模に生産できる可能性を示している。

85(3), 545-551 (2019)
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低塩分下の閉鎖循環養殖システムにおいて発生したマダイの2-メチルイソボルネオールによるオフフレーバー

川口 修,田中麻緒,好井みなみ,岩本有司,
御堂岡あにせ,東谷福太郎,長尾則男,
松本拓也,馬渕良太,谷本昌太

 低塩分下での閉鎖循環養殖システム(RAS)において,マダイの肉中にearthy/mustyオフフレーバー(OF)が発生した。この原因化合物を同定するとともに,RASに組み込んだ紫外線(UV)発生装置の魚肉および養殖水中のOF濃度に対する効果を検討した。官能検査の結果,UV装置有りのRASからの魚肉中のOFの強さは,UV装置なしのものと比べて弱かった。ガスクロマトグラフィー-臭い嗅ぎ分析により両RASのマダイの肉において2-メチルイソボルネオール(2-MIB)よるOFが感知された。UV装置有りの魚肉の2-MIB濃度は,UV装置なしのものと比べて低い値を示した。
85(3), 553-560 (2019)
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2014年に福島県で採集されたアユの放射性セシウム濃度の地域差と季節変動

森下大悟,和田敏裕,野田琢嗣,冨谷 敦,
榎本昌宏,佐藤利幸,鈴木俊二,川田 暁

 アユの放射性セシウム(134Cs及び137Cs)濃度の地域差と季節変動を明らかにするため,福島県の沿岸域(2014年3月)及び7河川(同年5-10月,2河川は避難指示区域内)で採集されたアユの測定を行った。頭部と内臓を除いた部分の137Cs濃度は,沿岸域の検体(標準体長4.3-6.7 cm)で検出限界値未満であった一方,河川の検体(6.4-18.8 cm)では0.719-902 Bq kg-1-wetであった。頭部と内臓を除いた部分の137Cs濃度は頭部・内臓やホールボディーの137Cs濃度に比べて値が低いものの季節変動が少なく,各河川における放射性セシウムの汚染状況を示す指標になり得ると考えられた。

85(3), 561-569 (2019)
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水産廃棄物焼却温度の低温化:貝殻およびウニ殻,棘の熱分解温度の最適化に向けて

小畠秀和,桐原慎二

 貝殻などの水産廃棄物の一部は,肥料,飼料などに利用されているが,大部分は,1000℃以上の高温で焼却処分されている。焼却によって得られる酸化カルシウムを蓄熱材などの材料として利用するためには,焼却温度の低下によるコスト削減が必須である。そこで本研究では,貝殻など水産廃棄物の熱分解温度を実験的に測定した。貝殻等は,カルサイト試薬の熱分解温度よりも低温で分解できる。この違いは貝殻等の微細構造によって生じると考えられる。また貝殻等の粒度調整によって,焼却温度をより低下できることが示唆された。

85(3), 573-579 (2019)
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海洋性放線菌の1種Streptomyces sp.のSo73分離株の病原性の腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticusに対する拮抗活性

Mingxia Yang, Jun Zhang, Qiting Liang,
Guanxin Pan, Jiachang Zhao, Miao Cui,
Xinqing Zhao, Qizhong Zhang, Delin Xu

 海洋性放線菌の1種Streptomyces sp. So73分離株は,病原性の腸炎ビブリオVibrio parahaemolyticusに対して強い拮抗活性を持つことが,寒天拡散法により示された。培養上清に産生された拮抗成分は,熱安定性の非タンパク質であった。So73分離株は,生活環の多くの時期でcarboxylate型のシデロフォアを産生していた。So73分離株が示す拮抗活性は,主に鉄をめぐって競合するシデロフォアの能力が,腸炎ビブリオよりも高いことに起因していた。しかし,鉄付加の実験から,鉄をめぐる競合以外にも拮抗するメカニズムの存在も示唆された。共培養の実験から,So73分離株は腸炎ビブリオよりも増殖速度は劣るものの,ビブリオ菌の成長を阻害し続けた。これらのことから,So73分離株は養殖における生物防除因子として有効であるものと推察された。
(文責 片山知史)
85(3), 581-590 (2019)
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キハダ皮由来コラーゲンと分解物の性状および抗酸化・抗糖化活性

Mala Nurilmala, Rizsa Mustika Pertiwi, Tati Nurhayati,
Shita Fauzi, Irmanida Batubara, 落合芳博
 ハラル対応のコラーゲン製品の調製条件を確立することを目的として,キハダの加工副産物(皮)を出発材料とし植物由来タンパク質分解酵素パパインを作用させて抽出を試みたところ,高純度で高品質の製品を得ることができた。製品は用いた酵素の濃度に寄らず,水に対する溶解性が高かった。得られたコラーゲンをさらに酵素分解し,分子量にもとづいて分画したところ,主要な画分に高い抗酸化活性と抗糖化活性が認められた。
85(3), 591-599 (2019)
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0℃以下の低温保管による魚類鮮度低下の抑制

吉岡武也,今野敬子,今野久仁彦

 ヒラメとアイナメ肉を-2℃で貯蔵すると,0℃に比べてIMP分解とK値の上昇が顕著に遅くなった。ヒラメを0℃貯蔵すると,IMP含量は10日間程度高く維持された後,急激に低下した。一方,-2℃貯蔵では20日以上高いままであった。この0℃でのIMP含量の急激低下の現象は150ppmクロラムフェニコール添加貯蔵では消失したので,増殖した微生物が強いIMP分解酵素を生産することが示された。この微生物の生産するIMP分解酵素は,内因性酵素よりも熱に不安定であった。-2℃貯蔵はK値上昇ばかりでなく微生物の増殖抑制にも有効であった。

85(3), 601-609 (2019)
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