Fisheries Science 掲載報文要旨

実験池におけるオオクチバスの個体群サイズについての 4 種類の推定モデルの評価

片野 修(水研セ中央水研)

 実験池に放した 65 尾のオオクチバスに対して 1 日おきに 10 回釣りをした資料から,4 種の個体数推定モデルの妥当性を検討した。標識再捕法では標識個体が全体の個体数の 30% 以上の場合に誤差が小さかった。DeLury 法とプログラム Capture の第 1 モデルでは過少評価の傾向があったが,捕獲総数が全体の 70% を超えると誤差が小さかった。Capture の第 2 モデルでは少ない捕獲数でも誤差が小さいことがあった。

76(5), 719-728 (2010)
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音響計測及び空間統計学を用いた知床半島沿岸におけるコンブ林 Laminaria spp. の分布推定

南 憲吏(北大院環),安間洋樹(京都海洋セ),
東条斉興,福井信一(北大フィールド科セ),
伊藤祐介(北大院環),野別貴博(知床財団),
宮下和士(北大フィールド科セ)

 知床半島のコンブ林 Laminaria spp. は一次生産者及び漁業資源として重要だが,その分布や分布の特徴は知られていない。そこで本研究はコンブ林の有無と厚さを音響測定及び空間統計学的な解析により,定量的かつ広範囲に調べた。推定されたコンブ林の面積と厚みはそれぞれ 3.88 km2, 34~91 cm(東側:3.49 km2, ≤91 cm,西側:0.39 km2, ≤78 cm)であった。東側ではコンブ林が高くまた連続的で広範囲に分布し,それに対して西側では離散的で分布密度も著しく低いことが明らかとなった。

76(5), 729-736 (2010)
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マガキ Crassostrea gigas の体成分組成および配偶子形成に及ぼす飢餓の影響

Wenguang Liu (Chinese Acad. Sci., China),
Qi Li, Fengxiang Gao, Lingfeng Kong (Ocean Univ. China, China)

 マガキの体成分組成および配偶子形成に及ぼす飢餓の影響を調べるため,生殖腺の組織観察,生殖腺,貝柱,外套膜の成分組成と核酸比の測定を実施した。飢餓区ではグリコーゲンが最初に消費され,タンパク質と脂質は徐々に減少した。また,各体組織の核酸比は絶食に伴い減少し,栄養状態を示す指標になることがわかった。飢餓区で水分量と灰分量の増加および肥満度の減少が観察され,それらが体組織中の各成分の利用に関係することが示された。飢餓区においては,生残と生殖腺の発達に貯蔵エネルギーが用いられたが,産卵は抑制された。
(文責 河村知彦)

76(5), 737-745 (2010)
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東北太平洋岸沖の陸棚斜面域におけるカレイ科 5 種の分布様式

服部 努,奥田武弘,成松庸二,
伊藤正木(水研セ東北水研八戸)

 一般化線型混合モデル(GLMM)を用い,カレイ類の分布様式を調べた。アカガレイとヒレグロは,体長が小さい南方で密度が高く,2003~2008 年に大きくなり,豊度の高い年級群が同時期に加入したと推測された。アブラガレイの密度は北部で高かった。サメガレイとババガレイでは,密度に明瞭な年・緯度変化がみられなかった。ヒレグロの密度は 210 m と 410 m にピークを持ち,体長は水深に伴いドーム型を示した。アカガレイ,アブラガレイ,ババガレイで bigger-deeper 現象がみられた。

76(5), 747-754 (2010)
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珪藻 4 種の透明細胞外重合物質粒子(TEP)産生能

深尾剛志,木元克則,小谷祐一(水研セ西海水研)

 珪藻 Coscinodiscus granii, Eucampia zodiacus, Rhizosolenia setigera および Skeletonema sp. の透明細胞外重合物質粒子(TEP)産生能を調べた。C. granii の TEP 産生速度は増殖期で高く,この期間の産生量は総生産量の 74% であった。それに対し,E. zodiacus, R. setigera および Skeletonema sp. の TEP 産生速度は定常期から衰退期にかけて高くなり,その産生量はそれぞれ総生産量の 73, 74 および 70% に達した。C. granii は,他の 3 種より 1 細胞当たりの TEP 産生量が約 23.01 倍以上,細胞容積当たりの TEP 産生量が 4.32 倍以上大きかった。以上のことから,珪藻の TEP 産生能は種および増殖ステージにより異なり,その結果水環境中における TEP の消長を複雑にしているものと考えられる。

76(5), 755-760 (2010)
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シロザケ Oncorhynchus keta における脊椎骨数の安定性

安藤大成(東北大院農,道さけます内水試),
下田和孝,神力義仁,卜部浩一,
青山智哉(道さけます内水試),
中嶋正道(東北大院農)

 北海道の千歳川と知内川のシロザケ Oncorhynchus keta の卵を同一環境下で飼育し,脊椎骨数を 1950 年代の値と比較した。知内川のシロザケの脊椎骨数は過去の値と変わらず,千歳川よりも高い値を示した。一方,千歳川のシロザケの脊椎骨数は過去の値よりも高い値を示した。しかし,千歳川のシロザケの脊椎骨数は採卵時期により変動しており,本研究と過去の値との差異は採卵時期の違いによるものと考えられた。シロザケ集団の脊椎骨数は長期間にわたり安定しており,同一環境下での飼育は集団間の違いを比較するのに有効な手法であると考えられた。

76(5), 761-767 (2010)
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温度と光周期がルリスズメダイの繁殖活性に及ぼす影響

Bapary MAJ,竹村明洋(琉球大理)

 水温と光周期がルリスズメダイの生殖活性に及ぼす影響を調べた。産卵期を 3 期に分けて,それぞれの時期に異なった水温もしくは光周期で魚を飼育した結果,いずれの時期でも中程度の水温(25℃)で飼育した魚の卵巣発達及び産卵頻度が高かった。高水温(30℃)では卵巣卵が退行した。産卵期後期には長日(LD14:10)で飼育した魚の卵巣発達と産卵頻度が高かった。以上の結果から,産卵期における本種の生殖活性には適正水温下の長日条件が重要であった。

76(5), 769-776 (2010)
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飼育したタイマイ雄の尻尾の伸長と血中テストステロン濃度に基づいた成熟度判定

小林真人(水研セ西海水研),
清水智仁(水研セさけますセ),
奥澤公一(水研セ養殖研),征矢野清(長大海セ),
與世田兼三(水研セ瀬水研)

 野生由来のタイマイ雄 14 頭の人工飼育環境下における成熟度を判定するため,交尾行動が発現している 5 個体と発現していない 9 個体に分け,血中テストステロン濃度の季節変動と各個体の直甲長に対する尻尾の長さの比率(TE)を調べた。その結果,前者では交尾期にその濃度が急激に上昇し,成熟個体と判断された。また,後者では周年低濃度であり,未熟個体と判断された。さらに,成熟個体の TE は 0.35 以上,未熟個体では 0.33 以下と明確に区分され,TE を指標として雄の成熟度を簡便かつ正確に判定することができた。

76(5), 777-784 (2010)
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中西部熱帯太平洋におけるカツオ雄の産卵生態

芦田拡士(東海大院生物),
田邉智唯,佐藤圭介(水研セ遠洋水研),
福井 篤,田中 彰,鈴木伸洋(東海大院生物)

 中西部熱帯太平洋におけるカツオの雄の繁殖特性を明らかにした。組織学的手法を用いて,生殖上皮の形態変化に基づいて成熟度を 5 段階に区分した。生物学的最小形は 35.5 cm FL(FL;尾叉長),半数成熟体長は 40.7 cm FL と推定された。成熟個体は全ての生殖腺指数(GI)の各階級で出現した。成熟体長以上の個体では GI は明瞭な季節的推移は認められず,成熟個体が周年にわたって出現することが明らかになった。

76(5), 785-793 (2010)
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クビフリンによって誘導されたマナマコの産卵

藤原篤志,山野恵祐(水研セ養殖研),
大野 薫(基生研生殖),吉国通庸(九大院農)

 生体外卵成熟誘起アッセイでは卵径 155 μm 以上の卵をもつ卵巣を用いた場合にクビフリン L による卵成熟が観察された。このような卵巣を有する個体はクビフリン L の腹腔内投与によって産卵した。クビフリン L を投与された成熟個体は一連の生殖行動を示した。雄ではクビフリン投与後 60 分,雌では 80 分から配偶子の放出が始まり,雌雄とも 2 時間後には終了した。約 10 日間隔でクビフリンを投与することで複数回放卵,放精した。このようにクビフリン L による産卵誘発は種苗生産機関で利用できる有効な手法である。

76(5), 795-801 (2010)
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Vibrioan guillarum からの groESL 遺伝子群の単離と groEL プライマーによる PCR 検出

Dong-Gyun Kim, Yu-Ri Kim, Eun-Young Kim,
Hyun Min Cho, Sun-Hee Ahn, In-Soo Kong(釜慶大,韓国)

 魚介類のビブリオ病原因菌 Vibrio anguillarum の PCR 法による迅速診断を目的として,細菌のシャペロニンをコードする groESL 遺伝子を特定した。groE 遺伝子群は 291-bp の groES 遺伝子,a 69-bp の遺伝子間領域及び 1,635-bp の groEL 遺伝子の順で構成されていた。V. anguillarum を含む 23 種のビブリオ属細菌で確認したところ,groESL 遺伝子は groEL 遺伝子よりも種特異性が高く,V. anguillarum 同定に適していると考えられた。
(文責 舞田正志)

76(5), 803-810 (2010)
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安定同位体比分析と給餌実験を用いた施肥養殖池におけるナイルティラピア Oreochromis niloticus の天然餌料に関する研究

浅野由佳理(東大院農),林崎健一(北里大海洋),
枝 浩樹(アイシーネット),
Thongkhoune Khonglaliang(ラオス農林省畜産水産局),
黒倉 壽(東大院農)

 ナイルティラピアは途上国において一般的な淡水養殖対象種であり,一般には施肥養殖が行われている。本研究は,施肥養殖池においてティラピアの成長に貢献している天然餌料について調査したものである。ラオスの施肥養魚池においてティラピアの胃内容物を調査するとともに,胃内容物に含まれていた生物とティラピアの筋肉について炭素・窒素の安定同位対比を測定した。その結果,主要な餌生物であると推定されたユスリカ幼虫について給餌実験を行い,クロレラよりもはるかに高い成長率が得られることを確認した。

76(5), 811-817 (2010)
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コウライケツギョ Siniperca scherzeri ペプシノーゲン C のクローニングおよび発現解析

Yanfei Deng, Jinliang Zhao, Guoqing Lu,
Xuefeng Wu, Yan Tao(上海海洋大学)

 コウライケツギョのペプシノーゲン C(PGC)の cDNA およびゲノム DNA をクローニングして塩基配列を決定した。PGC は 9 つのエキソンと 8 つのイントロンからななり,他魚種と同じような構造であった。PGC は,シグナルペプチド,活性化セグメントおよびペプシン部分からなり,他魚種と約 70%,同魚種内では約 90% の類似性を示した。脊椎動物の PGC を比較したところ二つのモチーフが明らかとなり,ひとつは哺乳類および鳥類の活性化セグメントのみに,もうひとつは魚類のペプシン部分のみにそれぞれみられた。PGC の mRNA は主に胃および食道で発現していた。
(文責 家戸敬太郎)

76(5), 819-826 (2010)
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ヌマガレイでは変態前の高成長が白化のリスクを増加させる

西川泰造(京大院農),
有瀧真人,清水大輔(水研セ宮古セ),
和田敏裕(京大院農),
田中 克,田川正朋(京大院農・京大フィールド研セ)

 異体類における白化などの形態異常発生のメカニズムを明らかにするため,ヌマガレイにおいて眼の移動開始 1 週間前に耳石を ALC で標識し,変態後に形態異常が確定した後に,変態前の体長を個体ごとに耳石標識径より逆算した。変態 1 週間前の全長を各々 100 個体について検討した結果,変態後に白化していた個体(5.37±0.04 mm)は正常に変態していた個体(5.13±0.05 mm)よりも有意に大きかった。このことは,本飼育実験の成長条件下では,変態前高成長のヌマガレイ個体に白化のリスクが高いことを示す。

76(5), 827-831 (2010)
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グルカンあるいは Lactobacillus rhamnosus (LGG) を投与したティラピア腸管での Aeromonas 経口攻撃試験に対する免疫応答

Suchanit Ngamkala,二見邦彦,遠藤雅人,
舞田正志,片桐孝之(海洋大)

 両飼料を投与した各区では攻撃後に死亡はなく,対照区の魚よりも腸管への炎症性細胞の浸潤が多く,組織反応変化も軽度であった。特にグルカンを投与した魚では細胞の浸潤は最も迅速であった。アルシアンブルー(AB)および AB-PAS 染色で粘液細胞を比較したところ,攻撃前は全区で AB 陽性であった。攻撃後にはグルカン投与区の魚は AB-PAS 陽性へと変化したが,LGG 投与区の魚は AB 陽性のままであった。よって,グルカンと LGG の投与は,免疫活性の向上効果を持つが,活性化される免疫系が異なることが示唆された。

76(5), 833-840 (2010)
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長期空気曝露に伴うマガキ組織および血リンパの生化学的変化

河邉真也,高田麻依子,澁谷亮太郎,
横山芳博(福井県大海洋生資)

 マガキの空気曝露に伴う生化学的指標の変動を測定した。4, 15 および 20℃ 空気曝露負荷マガキの半数致死日数は,各々,47.8, 15.9 および 12.2 日であった。血リンパの pH は,空気曝露後 3 日以内に減少し,その後 4℃ および 20℃ においては曝露 5 日後に増加した。閉殻筋,外套膜,鰓および体幹部のエネルギーチャージ(A.E.C.)値は,曝露 1 日後に急速に減少し,4℃ 空気曝露 50 日後においては 30% 以下に減少した。A.E.C. 値は,長期空気曝露期間中のマガキにおいても,その生理的変化を知る良い指標となることが示された。

76(5), 841-855 (2010)
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ゼブラフィッシュ幼生における先在 mRNA の組織特異的翻訳による HSC70 の高レベル発現

Lung-Yin Hsu, Fu-Lung Yeh, Tun-Yuan Cheng,
You-Hsin Chang, Shiu-Mei Liu,
Todd Hsu(台湾国立海洋大)

 ゼブラフィッシュの発生過程における HSC 70 の翻訳レベルの変化について検討した。84 hpf において,発現した HSP 70 には HSC 70 の混在が認められた。組織中におけるハイブリダイゼーションの結果,頭部と鰾において hsc 70 の転写が確認されたが,hsp 70 の発現は水晶体にのみ認められた。また免疫染色によって,鰾における HSC 70 の発現レベルは時間経過により変動することが認められた。このような hsp 70hsc 70 の発現パターンの相違は,両者の mRNA における構造の違いによることが示唆された。
(文責 落合芳博)

76(5), 857-864 (2010)
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マガキ Crassostrea gigas 由来降圧ペプチドの同定とそのアンジオテンシンI変換酵素阻害作用について

塩崎一弘,塩崎 桃,増田純子,山内晶子,
大和田修一,中野俊樹,山口敏康,齋藤忠夫,
村本光二,佐藤 実(東北大院農)

 マガキ Crassostrea gigas のトリプシン分解物を高血圧自然発症ラットへ単回および長期投与したところ,ACE の活性低下を伴う有意な血圧降下が認められた。ACE 阻害活性を指標に活性成分の特定を試みたところ,横紋筋分解物より Asp-Leu-Thr-Asp-Tyr が同定され,in vivo においても有意な降圧効果が認められた。さらに,プロテアーゼ耐性試験により,活性成分であるペンタペプチドより派生する Asp-Tyr が,in vivo での作用に強く関与している可能性が考えられた。

76(5), 865-872 (2010)
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ノリ細菌叢解析における新規プライマー

難波亜紀(水研セ中央水研,日大生物資源),
重信裕弥(水研セ中央水研),
小林正裕(水研セ西海水研),
小林敬典,大原一郎(水研セ中央水研)

 16S rDNA クローンライブラリー法によるノリ Porphyra yezoensis の細菌叢解析に有効な 16S rDNA 5′側領域のユニバーサルプライマー(75F)を構築した。同プライマーおよび従来のユニバーサルプライマーである 1492R を用いた PCR クローンライブラリーは,ノリ由来 rDNA の混入がなく,ノリに共生または付着していたと推定される β-proteobacteria, γ-proteobacteria, Lentisphaerae および Flavobacteria に属する細菌群由来クローンの検出を可能とした。

76(5), 873-878 (2010)
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異なる食塩濃度で製造したニジマス魚卵塩蔵品の冷蔵保存中での化学的および官能的品質変化について

Ayse Gürel Inanli, Özlem Emir Coban,
Mürside Dartay (Firat Univ., Turkey)

 食塩濃度 4 % および 8 % で製造した,脂質およびタンパク質含量が高いニジマス Oncorhynchus mykiss 魚卵塩蔵品の低温(4±1℃)保存時における品質変化を化学的および官能的に比較検討した。その結果,揮発性塩基窒素(VBN)の生成量,脂質過酸化数値(TBA 値)等の化学分析値,および,パネラーを用いた,色,におい,食感等の官能評価の結果より,商品とし流通可能な日数は 4 % 食塩濃度で製造した塩蔵品では 28 日間,8 % の食塩濃度で製造した塩蔵品では 35 日以上となることが明らかとなった。
(文責 村田昌一)

76(5), 879-883 (2010)
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リアルタイム PCR 法による水産加工食品「あご野焼」に含まれるトビウオの定量

永瀬光俊(島根産技セ),蟻 瑞栄(鳥取大院連農),
日高史典(鳥取大農),前田和彦(鳥取県警科捜研),
会見忠則,山口武視(鳥取大農),
杉中克昭(島根産技セ),森永 力(県立広島大生命環境)

 あご野焼に含まれるトビウオを定量することを目的に,トビウオ特異的プライマーおよびユニバーサルプライマーの 2 セットを設計して,ミトコンドリア 16S RNA 遺伝子(mt 16S rDNA)をコードする 3′末端側にリアルタイム PCR を行った。スタンダードあご野焼の結果から,標準曲線(y=1.08x-3.20; R2=0.977)を得た。この標準曲線を用いて,市販あご野焼 8 種類とその他 2 種類についてトビウオ含量を数値化したところ,E マーク認定の表示があるあご野焼について,その表示が適正であることが確認された。

76(5), 885-892 (2010)
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