Jingle Liu (IOAS), Maria Jose Caballero,Marisol Izquierdo (ULGC),Tamer ElSayed Ali (Alexandria Univ.),Carmen Maria HernandezCruz,Antonio Valencia and Hipolito FernandezPalacios (ULGC)
ヘダイ仔魚に 3 種類の微粒子飼料を与えた:対照区(2 % 大豆レシチン(SBL)および 2.89% EPA),低 EPA 区(2% SBL および 1.63% EPA)および SBL 無添加区(0% SBLおよび 2.71% EPA)。高レベルの DHA および 0.2% アラキドン酸含有飼料において,飼料中の EPA は仔魚の生残と成長を改善し,魚体中 EPA 含量に影響を及ぼした。さらに,EPA の増加はハンドリングや温度変化によるストレス耐性を改善し,SBL 無添加区の仔魚では,リポタンパク様構造物の減少が見られた。福原庸介,水田浩之,安井 肇(北大院水)
マコンブ遊走子は主に夜間に放出され,放出直後に最大遊泳速度(約 160 μm/s)を示し,その後徐々に低下した。遊泳個体数も放出後の時間と共に減少し,代わって浮遊個体が出現した。遊走子は高濃度の窒素およびリンに対し走化性を示し,半数の遊走子が 124 μm/s の水流に向かって遊泳可能であった。遊走子の遊泳時間は,低栄養塩濃度,低光量および低水温条件で長かったが,その光合成活性は低水温下あるいは高光量下で阻害されていた。これらのことから,遊走子の遊泳エネルギーは必ずしも光合成によって維持されておらず,放出以前から保持していた遊泳エネルギーを消費し尽くすと遊泳を停止し,浮遊個体となると考えられた。團 昭紀(徳島農水総技セ),平岡雅規(高知深層水研),大野正夫(高知大海洋研セ),Alan T. Critchley (Degussa Texturant Systems)
スジアオノリの成熟と仮根形成について,塩分,光量の影響を調査した。藻体を直径 1.2 mm の円形に切り出し,2~5 日培養することで成熟誘導を行った。最適な成熟および生殖細胞放出のためには,塩分はそれぞれ 5.0~52.0, 13.2~45.3 psu の範囲であり,光量はともに 16 μmol m-2 s-1 以上であった。生殖細胞放出の下限は,塩分では 5.0 psu,光量では 8 μmol m-2 s-1 であった。仮根形成を行う塩分,光量は,それぞれ 1.6~52.0 psu, 8~320 μmol m-2 s-1 の範囲であった。三田村啓理,荒井修亮(京大院情報),坂本 亘(京大院農),光永 靖(近大農),圓尾哲也(三和銀行),
向井幸則,中村憲司(シャトー海洋),佐々木雅人,米田佳弘(関空会社)
林 漢奎(韓国蔚珍種苗試),韓 燮(韓国西海水研),張 榮振(釜慶大)
ヌマガレイの精液生産と精液性状に対する GnRH 投与の効果について調べた。自然産卵期間中に,魚体重 1 kg あたり 50, 100, 200 μg の GnRHa ペレットを雄親魚の筋肉中に挿入した。挿入後,精液量および精子生産量はホルモン濃度に依存して増加したが,spermatocrit 値と精子濃度は,ホルモン処理によって低下した。精子運動指数は,無処理区を含めてすべての実験区で,実験開始後 49 日まで高い値であったが,200 μg 区を除いてその後低下した。実験期間中,精漿の浸透圧,K+ 濃度およびタンパク量は,無処理区で高い値であった。以上のことより,GnRHa の投与は,ヌマガレイの精液および精子生産の増加に効果があることが明らかになった。松石 隆,成田 厚博(北大院水),上田 宏(北大フィールド科セ)
1998 年と 1999 年漁期において,遊漁と漁業によって捕獲されている洞爺湖のヒメマスの,遊漁釣獲量および資源量を推定した。釣獲日,釣獲尾数,サイズ,遊漁券の有無などをアンケートおよび面接によって調査した。DeLury 法により推定された資源量は,60,262 尾(1998)および 10,806 尾(1999)であった。推定された遊漁釣獲量は 28,889 尾(1998)および 5,455 尾(1999)であった。これは,漁業者による漁獲尾数の 2~3 倍にあたる。梶 達也(京大院農),児玉雅章,荒井 寛(葛西臨海水族園),田川正朋,田中 克(京大院農)
ハガツオをふ化後 14 日まで飼育し,消化系の発達を組織学的に調べた。ふ化後 2 日に仔魚型の消化系が確立し,摂餌を開始した。ふ化後 3 日(体長 3.87 mm)には胃腺と胃盲のうが急速に発達するとともに幽門垂が分化し始め,消化系は成魚型へと移行した。本種仔魚は摂餌開始日(ふ化後 2 日)にはワムシとアルテミア幼生を摂餌したが,ふ化後 3 日以降は強い魚食性を示した。ハガツオ仔魚では発育の非常に早い時期に成魚型の消化系が確立し,これと魚食性の発現が良く一致した。古川豊和,中村 修,鈴木幸彌,厚田静男(北里大水),中村弘明(東京歯科大),渡辺 翼(北里大水)
マアナゴにおける異物の取り込みと移行に働く組織と細胞を調べた。マアナゴに大きさの異なるラテックスビーズ(LB)を注射し,経時的に脾臓と腎臓を光顕的,電顕的に観察した。マアナゴ脾臓のエリプソイドは直径 2.0 μm の LB は取り込んでおらず,直径 0.5 μm は取り込んでいた。エリプソイドで 0.5 μm の LB を取り込んでいるのはマクロファージであった。脾臓の髄質やメラノマクロファージセンター(MMC)にも 0.5 μm の LB を取り込んでいるマクロファージが見られ,取り込んだマクロファージが MMC に移動したと考えられた。また,腎臓でも時間の経過と共に LB が腎臓間質の造血組織より MMC に多く見られるようになった。浜崎活幸(日栽協八重山),M. Agus Suprayudi,竹内俊郎(東水大)
アミメノコギリガザミ種苗生産におけるメガロパ変態時の大量死現象を記載した。100 kL 水槽を用いた種苗生産事例において,最終齢ゾエア(第 5 齢)の形態形質を,鋏原基長,第 2 触角内肢長および第 3 腹肢長の頭胸甲長に対する比として求め,生残率とメガロパ変態時の脱皮異常率を調査した。その結果,ナンノクロロプシスを高濃度に添加した事例において,ゾエアの形態形成が過剰に進行し,メガロパ変態時の脱皮異常を招来して大量死を起こした。北門利英,三橋廷央,東海 正(東水大)
カバーネットからの逃避を考慮したカバーネット選択性試験において,その統計モデルと選択性曲線に含まれるパラメータ推定の性能を考察した。逃避のある試験でのパラメータの推定効率は,逃避のない理想的な試験と比較して大きく減少しないことが確認された。また,逃避のある試験において逃避を考慮しない従来型の統計モデルを用いた場合,推定値に無視できない偏りがみられた。さらに,逃避を考慮すべきかどうかの判断にモデル選択規準を利用する推定方式は,不偏性および平均二乗誤差をシミュレーションで評価した結果,モデルを固定した推定方式よりも望ましいと判断された。以上の結果から,逃避を考慮したモデルの有効性が確認された。秋元清治(神奈川水総研),木下滋晴(東大院農),瀬崎啓次郎(日本 NUS),三谷 勇(神奈川水総研),渡部終五(東大院農)
キンメダイ,フウセンキンメ,ナンヨウキンメ成魚筋肉から全 DNA を調製し,ミトコンドリア 16S rRNA 遺伝子を PCR で増幅した。決定した 492 塩基のうち,キンメダイとフウセンキンメで 3 塩基,キンメダイとナンヨウキンメで 9 塩基,フウセンキンメとナンヨウキンメで 8 塩基の種間変異がみられた。伊豆諸島漁場で採集され,形態的にキンメダイ属のものと判別された浮遊卵は,本手法でいずれもキンメダイと同定された。山田作太郎(東水大)
成長解析において成長係数の概念は大切なものであるが,その意味は必ずしも明瞭でない。本研究ではベルタランフィーモデルにおける成長係数を基礎に,それを拡張する形でひとつの新しい量の定義を与えそれをロジッスチック,ゴンペルツモデルに適用しその性質を調べた。それは年齢に依存し,年齢が大きくなると単調に増加してモデルにおける年齢の係数(従来から成長係数と言われているもの)に収束する。その量と成長のグラフはロジッスチックモデルでは相似になる。しかしゴンペルツモデルではそれらはよく似た変動を示すが相似ではない。さらにこの量は成長の密度関数と呼ばれるにふさわしい性質を持つことを示した。この議論では成長余量の概念が重要な役割をはたす。プラザ・ギド,片山知史,大森迪夫(東北大院農)
調査を行った 1998 年,1999 年ともに,メバル当歳魚の松島湾のアマモ場への移入は初春から認められたが,夏季中のアマモの減少に伴って分布密度が顕著に減少した。耳石日周輪から推定されたメバル当歳魚の産出日は,両年とも 1 月と 2 月が主体であり,1 月生まれ群は 2 月生まれ群に比べ,より早くアマモ場に移入し,より早く移出する傾向があった。アマモ場内における両発生群の成長パターンは同様であり,着底後の最も高い成長速度が 4 月,5 月にみられ,最も低い成長速度が夏季の 8 月にみられた。CPUE は 1999 年級群の方が 1998 年級群よりも高かったのに対して,成長速度は 1998 年級群の方が有意に高く,密度依存的な関係が示された。久田 孝,岡本 薫,矢野俊博(石川県農業短大)
沖縄および能登半島産の 17 種類の水産塩漬け製品中の好塩性細菌数を,0-20%(w/v) 食塩含有培地を用いて検討した。沖縄産のスクガラス 5 サンプル中,食塩濃度 21-28%(w/w) の 4 サンプルで細菌数は 103 cfu/g 以下であったが,食塩濃度約 16% の製品では,好塩性乳酸球菌が 107 cfu/g 存在し,遊離アミノ酸,乳酸などの濃度が高かった。能登半島産の塩漬けサバ 3 サンプルで好塩性乳酸球菌数に大きな差はなかったが,食塩 22-24% の 2 サンプルにおいて,食塩 28% のサンプルよりも乳酸量が高かった。吾妻行雄,山田優香,谷口和也(東北大院農)
養殖ワカメは湯通し塩蔵後,茎状部が廃棄されている。養殖ワカメ茎状部をキタムラサキウニの食物として利用するため,生鮮と湯通し塩蔵の各部位を稚仔と成体に与えて成長と生殖巣の発達を比較した。稚仔は最も速い成長を示した生鮮葉状部を最も多く摂食し,湯通し茎状部がそれに次いだ。成体の生殖巣は,生鮮胞子葉を与えた場合に最も発達したが,炭水化物と粗タンパク質含量の損失する湯通し茎状部を多量に摂食した場合にも発達がみられ,5 ヶ月間の摂食により生殖巣指数が収穫基準の 18 以上に達すると見積もられた。これらの結果は,湯通し塩蔵の茎状部が海中林の造成のための摂食圧の軽減と養殖用の食物へと活用できることを示した。東 照雄(養殖研),野田修平(北里大水),矢田 崇,乙竹 充,名古屋博之(養殖研),
森山俊介,山田英明(北里大水),中西照幸(日大獣医),岩田宗彦(北里大水)
M. Agus Suprayudi,竹内俊郎(東水大),浜崎活幸,廣川 潤(日栽協八重山)
アミメノコギリガザミ幼生の生残と発育に及ぼすアルテミア幼生(以下 Ar)の適正給餌密度および給餌時期を明らかにすることを目的に,1 L ビーカーによる小規模の飼育実験を行った。餌料としてワムシと Ar を用い,それぞれゾエア(Z)1, 2, 3, 4 および 5 期からワムシを Ar に変更した区と,ワムシは Z1 から 5 期を通して給餌するとともに,Ar の給餌時期を変えた区,さらに,Ar の密度を 0.5, 1, 1.5, 4 個体/mL として飼育した区などを設けた。その結果,高生残率を得るためには,共食いを起こさせ無いようにする事が重要で,Ar を 1.5 個体/mL の密度で,Z3 期から与えると良いことがわかった。本田晴朗,菊池弘太郎(電中研)
体重 0.2~0.6 g のイソゴカイは,ヒラメ糞を 4.9~25.7 mg/個体/日(20°C,乾燥重量)で摂餌し,糞粒を 1.2~5.5 mg/個体/日で排泄した。また,摂餌後のアンモニア排泄量は平均 0.1 mg-N/個体/日であった。これらとヒラメ糞,糞粒,イソゴカイの窒素含量より,イソゴカイは摂取窒素の 62.8% を同化することが明らかとなった。また,ヒラメ糞を与えた飼育実験での,イソゴカイの窒素固定率は 46.3% であった。以上の二つの実験結果より,摂取窒素の約 50% がイソゴカイに転換されると推定した。中村泰男(国立環境研),萩野智明(東邦大理),樋渡武彦,飯島明子,木幡邦男(国立環境研),
風呂田利夫(東邦大理)
金子 元,木下滋晴(東大院農),吉永龍起,塚本勝巳(東大海洋研),渡部終五(東大院農)
シオミズツボワムシからストレスタンパク質 HSP70, GRP94 およびユビキチン結合酵素をコードする cDNA 断片を PCR で増幅し,その mRNA 発現様式を指数増殖期および定常期の個体群で比較した。その結果,指数増殖期の HSP70 および GRP94 の mRNA 蓄積量は定常期のものよりそれぞれ 2.5 および 1.6 倍高かった。一方,ユビキチン結合酵素の mRNA 蓄積量は両段階の個体群で差は認められなかった。これらの諸結果から,シオミズツボワムシのストレスタンパク質と個体の寿命との関連性を考察した。芦田貴行(万田発酵,福山大生命工),沖増英治,雨村明倫(福山大生命工)
ヒラメ赤血球の溶血と脂質過酸化に対する,植物発酵産物(FVP)の効果について検討した。赤血球に 125 mM 2′,2-アゾビス(2-アミノプロパン)ジハイドロクロライド(AAPH)もしくは 25 μM tert-ブチルヒドロキシぺルオキシドを添加したところ,溶血と脂質の過酸化が認められた。しかし,これらの反応は 1-2 mg/ml の FVP 添加によって有意に(p<0.01)阻害された。FVP には,魚類赤血球に対して,ラジカル消去活性と脂質過酸化抑制効果が認められ,酸化的ストレスを軽減することが示唆された。劉 云春,内山孝二,夏井直美,長谷川靖(室蘭工大応用化学)
ホタテガイ貝殻は水産系廃棄物としてその多くが廃棄され,その有効利用が望まれている。本論文では,ホタテガイ貝殻の有効利用,特に化粧品素材としての利用を考え,ホタテガイ貝殻より抽出した成分の生理活性作用の探索を行った。抽出した成分は,プロテアーゼ(エラスターゼ)活性阻害活性,活性酸素除去活性,皮膚繊維芽細胞の増殖活性を示し,皮膚を保護する化粧品素材としての利用の可能性が示唆された。安藤正史,大石恵司(近大農),望月 聡(大分大教育福祉),塚正泰之,牧之段保夫(近大農)
三重県熊野灘沖で漁獲されたマサバを延髄刺殺した後,冷蔵 4 時間毎に破断強度の測定および筋肉組織の構造観察を行い,大分県佐賀関産マサバの場合とデータを比較した。破断強度は即殺時から佐賀関産マサバよりも低かったが,破断強度の低下率では両者の間に大差はなかった。また,冷蔵 4 時間以降において細胞間の分離,すなわち筋内膜の脆弱化が認められ,また分離した部分では筋細胞側のコラーゲン繊維が優先的に崩壊している様子が認められた。この結果,熊野灘産マサバは佐賀関産に比べ即殺前から肉質が軟らかいことが明らかとなったが,この原因のひとつとして運動量の違いが推察された。饒 家麟(台湾東方技院),柯 文慶(台湾中興大)
オリエンターゼまたはプロテアーゼ XIII により分解した後,限外濾過法または逆浸透法により濃縮することにより,マグロ缶詰製造時に生じる煮汁から調味料を製造し,その品質を検討した。50°C, 5 時間処理により両酵素とも煮汁中の約 32% のタンパク質を分解し,分解物中の遊離アミノ酸量はオリエンターゼで 6.80 mmol/100 mL,プロテアーゼ XIII で 8.33 mmol/100 mL であった。分解物は 2 kDa 以下のペプチドからなっていた。逆浸透法により濃縮した分解物は,官能検査の結果,調味料として適していることが示された。椎名信之,館野浩章,小川智久,村本光二(東北大院農),実吉峯郎(帝京科技大),
神谷久男(北里大水)
䍜 晸昊,朴 杓暫,金 世權(釜慶大化)
カツオ卵から硫安分画,SephadexG100 ゲルろ過,DEAESephacel イオン交換クロマトグラフィー,SephadexG100 による再ゲルろ過,C18 カラムによる逆相 HPLC を用いてトリプシンインヒビターを単離精製した。精製したインヒビターの分子量はゲルろ過では 78 kDa と,SDSPAGE では 39 kDa と算出された。このインヒビターは pH 4.0-10.0 の範囲,あるいは 40°C 以下で安定であった。インヒビターのアミノ酸組成分析から Gly, Glu, Ser, Asp, Lys に富み,Cys, Tyr, Phe, Ile, His が少ないことがわかった。また,このインヒビター活性は K+, Na+, Mg2+, Ca2+ などの存在下で上昇した。石橋泰典,江川英明,平田八郎(近大農),熊井英水(近大水研)
酸素分圧の低下を負荷したティラピアは,呼吸数増加,同低下,横転,呼吸停止の状態を順次示した。呼吸数最大時までに Ht 値および組織のシトクロムオキシターゼ活性は増加したが,肝臓,腎臓の活性はその後に低下した。呼吸数低下時に,血漿コルチゾル量,血糖値が急増し,肝臓,腎臓の ATP 含量が激減した。乳酸は横転中に増加した。これよりティラピアは,呼吸数低下時にストレス反応と肝臓や腎臓の代謝抑制とを示して低酸素に適応すると考えられた。許 晉榮(台湾水試)
飼育実験によってチャイロマルハタ稚魚の共食い率を体長比 1, 1.30, 1.44, 1.61, 1.79 の 5 段階で調べた。また密度効果についても 0.4, 0.6, 0.8, 1 個体/L の 4 段階で調べた。消失した個体を捕食によるものと考え,共食い率は「消失した被食者数÷最初の被食者数」で求めた。体長比が 1.30 以上で共食いが顕著になり,1.61 に達すると共食い率は 50% を超えた。また飼育密度が増加するにつれて共食い率も増加したが,統計的有意差は認められなかった。これは低密度においても共食いを行うためと考えられた。中村 將(琉大熱生研),名古屋博之(養殖研),平井俊朗(帝京科学大バイオ)
内分泌撹乱物質の一種,ノニルフェノール(NP)のアマゴ性分化に及ぼす影響を調べた。遺伝的全雄群を用いて,NP100 μg/L の濃度で孵化後 10 日から 50 日まで処理した。孵化後 90 日の生殖腺を組織学的観察した結果,処理群には,卵母細胞を多数持つ正常に発達した卵巣が見られた。また,精巣組織中に退化した卵母細胞を持つもの,卵巣と精巣組織を同時に持つ間性個体が多く観察された。対照群は,全て精巣を持つ雄であった。このことから,NP は,遺伝的雄を卵巣を持つ完全な雌に性転換させる力価を持つことが明らかになった。しかし,天然の女性ホルモンよりも著しくその効果は低いものと考えられる。Mohammad Abul Mansur,村仁知(奈良女子大生活環境),的場輝佳(奈良女子大院人間文化)
アジのラジカル捕捉活性および冷凍保蔵ならびに加工の影響を測定した。ラジカル捕捉活性の測定は 1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)-HPLC 法で行った。冷凍保蔵はラジカル捕捉活性に大きな影響を及ぼした。新鮮なアジでは 100 g あたり 176.7 μmol Trolox 当量の活性が存在したが,この活性は 4 週間の冷凍保蔵で 672.6 μmol Trolox 当量にまで増加し,その後,徐々に減少した。アジに対する日干しの影響も大きく,日干しアジのラジカル捕捉活性は 100 g あたり 89.5 μmol Trolox 当量と新鮮アジよりも低かった。イワシを佃煮加工するとラジカル捕捉活性は増加した。また,新鮮な鶏肉は 100 g あたり 278.8 μmol Trolox 当量のラジカル捕捉活性を有していた。