Khin-Maung-Oo,黒倉 寿(東大農),
岩野剛志(北里大水産),岡本 研(東大農),
加戸隆介(北里大水産),日野明徳(東大農)
前田俊道,村上正忠,大杉真矢,古下 学,
満谷 淳,芝 恒男(水大校)
中村 厚,岡本太郎,小松誠和(長大水),
大岡靖嗣(長大海洋資源教育セ),
小田達也(長大水),石松 惇(長大海洋資源教育セ),
村松 毅(長大水)
藤枝 繁(鹿大水)
トーンバースト音によって古典的条件付けされたヒラメにおいて中心周波数が非可聴周波数(300~1600 Hz) から可聴周波数(100~200 Hz) に掃引されるスイープ音に対する聴覚反応を測定した。ヒラメのスイープ音に対する反応頻度は,200~340 Hz の周波数帯に 82% が現われ,聴覚感度が急激に低下する 200~400 Hz の周波数帯に可聴周波数と非可聴周波数の境界(可聴上限周波数)が存在した。またスイープ速度が遅いほどスイープ開始から反応までの時間に個体差が大きく現われた。しかし可聴上限周波数と音圧の間には明瞭な関係は認められなかった。菱田泰宏,加藤 浩,小田達也,
石松 惇(長大水)
原 素之(養殖研究所),
関野正志(水産工学研究所),
Uthairat Na-Nakorn(カセサート大)
水上 譲,上西由翁,國本正彦(水大校),
小林正裕(西水研),
村瀬 昇,鬼頭 鈞(水大校)
阪本憲司,沖増英治,雨村明倫(福山大内海研)
6 種のテトラセルミス株について,増殖に及ぼすグルコースの添加効果を検討した。その結果,テトラセルミスの増殖促進が認められた。T. tetrathele の適切な混合栄養培養条件は,グルコース濃度 100 mM,硫安濃度 0.6 mM,照明時間 10 h/day,培養温度 30℃ と考えられた。このときの細胞成分は,乾燥重量当たりタンパク質 31%,炭水化物 11%,脂質 13% および脂肪酸 4.5% であった。また,グルコース添加培養を行った T. tetrathele のワムシに対する増殖促進が認められた。アンナ・アレクサンドロブナ・バリノワ,
中嶋正道,藤尾芳久(東北大農)
崔 美敬,山崎文雄(北大水)
材料にはサクラマスを用い,1993 年 9 月および 1994 年 9 月の両年に完全同胞 20 家族,半同胞 10 家族を作成し,北大水産学部の水槽センター外池で飼育した。サクラマス稚魚の摂餌開始 4 カ月,8 カ月後に体長,体重,体高および頭長の測定を行い,各形質における遺伝率,遺伝相関および表現型相関を調べた結果,両年において体長の遺伝率は摂餌開始 4 カ月後では 0.35-0.47, 8 カ月後では 0.18-0.42 の範囲にあり,他の形質においても同様な値が得られた。また,遺伝相関および表現型相関は両年の摂餌開始 4 カ月,8 カ月後ともに高い相関を示した。水田浩之,早崎純子,山本弘敏(北大水)
養殖マコンブ胞子体について,生長,成熟および窒素含有量の相互関係を調べた。成熟個体はほぼ 1 年中見られ,特に伸長の著しい冬季(2~3 月)と末枯れ時期の秋季(9 月)で多かった。冬季では子嚢斑は先端部に形成されるのに対し,秋季では基部に形成され,子嚢斑面積も大きかった。窒素含有量は冬季胞子体先端部,秋季胞子体基部共に夏季の個体に比べ約 2 倍程度高かった。子嚢斑の面積は季節や形成部位に関わらず,体積当たりの窒素含有量が高いほど大きくなる傾向を示した。以上の結果から,窒素含有量が天然での胞子体の成熟度,子嚢斑形成部位や成熟時期を左右する主要因であることが明らかになった。南潤權,廬忠煥,金東秀(釜慶大学校)
ドジョウの 1 種 Misgurunus mizolepis の性転換を引き起こす 17α-メチルテストステロン(MT) の投与量と投与期間を調べた。孵化仔魚を 0, 25, 50, 100及び 200 μg/l の MT に 1, 2, 3 週間浸漬した。生残率は投与量及び投与期間が増えるにつれて低下した。成長率には差が無かった。MT200 μg/l に 2, 3 週間浸漬した区では全尾が雄になった。100 μg/l, 3 週間区では 99.3% が雄になった。ホルモン処理魚の精巣の組織像は正常雄と差が無かった。性ホルモン処理により胸ビレのサイズや形に第二次性徴が現れた。田島研一,竹内賢二郎,
モハメド・マハブブ・イクバル,中野一晃,清水幹博,絵面良男(北大水)
久米 元,山口敦子,谷内 透(東大農)
東京湾におけるテンジクダイの年齢と成長を明らかにした。年齢査定には耳石(右側の扁平石)を用いたが,その際,透明帯を年輪として用いることができた。成長は von Bertalanffy の成長式により,雄;Lt=86.6[1-exp{-1.12(t+0.01)}],雌;Lt=118.5[1-exp{-0.37(t+1.03)}]と表すことができた。各年齢時の全長は雄よりも雌の方が大きかった。実測最大全長は雄 103 mm,雌 112 mm で,寿命は雄雌ともに 3 年と推定された。廣野育生,李 宣 ,青木 宙(東水大)
E. tarda の鉄制御溶血素遺伝子(ethA) およびその付属タンパク質遺伝子(ethB) をそれぞれ破壊した単一遺伝子挿入変異株をマーカー遺伝子挿入組換え方法により作製した。これら ethA および ethB 挿入変異株はともに溶血活性を欠失していた。このことから,EthB が発現しないと,溶血素 EthA は活性化されないことがわかった。また,ethA および ethB 変異株が溶血活性を失ったことより,E. tarda は溶血素遺伝子座として eth のみをゲノム中にコードしていると考えられた。飯田浩二,向井 徹(北大水),黄斗 (水工研)
海上に設置した艀(はしけ)上で,25, 50, 100, 200 kHz における有鰾稚魚 3 種(チカ,メバル,マフグ)のターゲットストレングス,TS を測定した。供試魚はレース布地で作ったケージに 2 尾から 160 尾まで収容尾数を変化させながら 4 周波数における後方散乱強度を測定し,回帰分析により 1 尾当たりの平均 TS を求めた。稚魚群の後方散乱強度は明瞭な密度依存性を示し,体長で基準化した TScm は -66 から -55 dB であった。また体長波長比 L/λ が 2 以下で TScm が他の帯域より約 10 dB 大きいという周波数特性を示した。滝井健二,中村元二,浦川敬一,
宮下 盛,那須敏朗(近大水研),
久保喜計,田中祐志(近大農),
熊井英水(近大水研)
鈴木直樹,北原 武(東水大)
これまで漁業管理に関する研究は,経済地代の最大化を管理目的として,あるいは漁業者は純利益が最大になるよう行動するという仮定のもとで行われてきた。本論文は沖すくい網漁業の純利益と限界純利益を試算し,この仮定の妥当性について議論した。その際,費用関数に漁業者本人の賃金として見積もり家族労賃が含まれる場合と,そうでない場合を検討した。その結果,見積もり家族労賃を含んだ費用関数より求められた純利益と限界純利益は負となった。これは,漁業者が純利益の最大化を目的として行動するのではないことを示唆する。また,本漁業のこのような条件下において,管理目的を経済地代とするのは困難であることを意味する。塩原 泰,秋山清二,有元貴文(東水大)
マダイ視力の成長変化を組織生理学的に求めるため,幼魚から成魚にいたる体長 23 mm から 609 mm のマダイ 61 個体について網膜標本の検鏡を行った。供試魚のうち 2 個体について網膜上の錐体密度分布を求め,他の個体について錐体最濃密部のみの検鏡を行った。水晶体直径は成長にともなって増加したのに対し,錐体密度は体長 100 mm 以上ではほぼ一定となった。これらの値より算出される視力は,最低で体長 23 mm における 0.05,最高で体長 504 mm における 0.28 となり,成長にしたがって視力の向上する傾向が明らかとなった。視力は以下に示す体長に対するアロメトリック関数で示された。深谷昌弘,上田 宏,佐藤彩子(北大水),
帰山雅秀(道東海大),安東宏徳(北大理),
Yonathan Zohar(メリーランド大),
浦野明央(北大理),山内晧平(北大水)
朴 春奎(麗水大食品工学),
盧 暹(済州大水産生物),
申 錫雨,朴 貞任(麗水大食品工学),
李 栄敦(済州大海洋研),金 泌延,金 (済州大水産生物)
関 伸夫,埜澤尚範,倪 少偉(北大水)
スケトウダラすり身を 30°で加熱変性させると,加熱 2 時間後にはゲル形成能は失われたが,Ca-ATPase 活性は約 37%,すり身中のトランスグルタミナーゼ(TGase) 活性は 14% が残存していた。2 時間変性すり身に微生物由来 TGase を添加すると,ミオシン重鎖の架橋重合は回復したが,坐り効果及びゲル強度は未変性すり身のレベルには到達しなかった。一方,未変性肉糊の内在性 TGase を EGTA で阻害して 2 段加熱すると,坐り効果及び加熱ゲル強度は著しく低下したが,EGTA 存在下でも微生物由来 TGase の添加で回復した。横山芳博(武庫川女子バイオ研),
橋本寿史,久保田賢,木下政人,豊原治彦,坂口守彦,
田中 克,青海忠久(京大農),
金森正雄(武庫川女子大バイオ研)
伊勢谷善助,杉浦 訓,佐伯宏樹(北大水)
0.5-2.0 M NaCl 溶液に浸漬したホッケ筋肉を15, 30, 50° で乾燥し,乾燥特性と物性変化を調べた。浸漬液の NaCl 濃度が上昇すると,乾燥初期の水分蒸発が緩やかに起こり,限界含水率が低下した。さらに魚肉中に 0.5 mol/kg 以上の NaCl が含まれると,乾燥後期にみられた水分蒸発速度の低下が抑制された。さらに 15°と 30° の乾燥では,水分減少に伴う剪断強度の上昇も塩漬によって効果的に抑制された。塩漬工程の採用によって得られるこれらの変化は,魚肉の過度の硬化の抑制と優れた貯蔵性の獲得に寄与していると判断した。Mita Wahyuni,石崎松一郎,田中宗彦(東水大)
クロカジキ肉水溶性タンパク質(WSP) に,タンパク質あたり 50% のグルコース(G) あるいは 94% のグルコース-6-リン酸(G6P) を溶解した後,凍結乾燥により試料を調製した。本試料を 60° で 12 時間まで加熱してメイラード反応を起こさせた。褐色化の進行,遊離アミノ基の減少,フルクトサミンの生成,結合リン量などを測定した結果,メイラード反応は G6P 存在下で迅速に進み,それに伴って WSP の pH7 以上での溶解性ならびに熱安定性が顕著に改善されることが明らかになった。3-6 時間メイラード反応させた WSP+G6Pは,100° で 10 分間加熱しても 80% 以上の溶解性を保持していた。島田玲子,潮 秀樹,山中英明(東水大)
日本産イセエビ Panulirus japonicus,南アフリカ産イセエビ Jasus lalandii,カナダ産オマールエビ Homarus americanus の筋肉を 0, 5, 10° に貯蔵した。死直後の ATP 含有量は日本産イセエビで最も多く,貯蔵中の減少は最も遅かった。貯蔵中に,日本産イセエビでは AMP と IMP が,南アフリカ産イセエビではイノシンが,オマールエビでは IMP が蓄積した。3 種のエビとも,タウリン,アスパラギン,グルタミン,プロリン,グリシン,アルギニンが主要なアミノ酸で,貯蔵初期においてポリアミンは検出されなかった。アルギニンの分解に伴い,南アフリカ産イセエビではオルニチンが,オマールエビではオルニチンとプレトシンが増加した。一方,日本産イセエビでは,アルギニンは減少しなかった。難波謙二,飯田知誉(東大農),
福代康夫(東大アジアセンター),松岡數充(長大教養)
鹿野隆人,藤尾芳久(東北大農)
グッピーの出生時の仔魚の海水耐性に及ぼす母親の環境塩分の影響を F22, S3 及び S 系統で比較した。F22 及び S3 系統では海水飼育した母親から生まれた仔魚の海水での生残率は淡水飼育した母親から生まれた仔魚に比べ著しく高く,多くが海水中で生存した。しかし,S 系統では母親の海水飼育による仔魚の海水での生残率の増加はみられず,ほとんどが海水中で死亡した。出生時の仔魚の海水耐性は母親の遺伝子型により支配されていることから,母親の遺伝子型と環境塩分の相互作用により,出生時の仔魚の海水適応能に系統間でより大きな違いが生じたと考えられた。相田 聡(広島水試),荒井克俊(広大生物生産)
染色体操作により作出した雌性発生二倍体を 17-α-メチルテストステロン浸漬処理し,性転換を誘起した。得られた雄の精子を野生集団より得た正常雌の卵に媒精し,10 例の交配子孫を得た。これらを,孵化後 60 日まで 13.6~15.4℃, 120 日まで 13.0~17.8℃,以降 16.4~26.4℃の水温で飼育した。10 ヶ月令魚の性比を調査したところ,98% が雌であり,残り 2 % では生殖腺が見られなかった。以上の結果は,本種の遺伝的性決定機構は雄ヘテロ(雌 XX-雄 XY) 型であることを示す。森 真朗,若林明子(都環境研),金子由記子,羽曽部正豪(東水大)
魚類培養細胞を用いた細胞毒性試験にはこれまで,単層培養細胞が用いられてきた。本研究では,より簡便な細胞毒性試験方法を開発するため,浮遊培養系の魚類培養細胞の適用を試みた。界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウムと直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムに対するニュートラルレッド法(NR50) による細胞毒性試験を行い,浮遊培養系の魚類培養細胞は両界面活性剤に対して,単層培養細胞に劣らない感受性を示すことを明らかにした。本登 渉,桂 和彦,樋田陽治(山形内水試),酒井治己(水大校)
コイ科ウグイ属の絶滅危急種ウケクチウグイの仔魚を飼育し,水温 11.7-15.9℃ における発育を記載した。仔魚の発育は,5 段階(インターバルI~V)に分けることができた。ふ化仔魚は洋ナシ型で色素を欠く(I)が,体が伸長し,目にメラニン,さらにグアニンが沈着するようになると強い負の走光性を示し,暗がりに隠れた(II)。ふ化後 25 日前後に卵黄を少し残した状態で浮上し,餌を食べはじめた(III)。ついで,下顎が突出し,腹部仔魚膜が発達した段階がしばらく続き(IV),変態期(V)を経て,ふ化後 136 日で稚魚(インターバルVI)に成長した。本種の特徴である下顎の突出は,インターバルIIIの末期からで,この時期からの本種仔魚の識別形質となる。廣瀬太郎(日水研),川口弘一(東大海洋研)
チカの産卵場選択要因を解明するために,三陸地方大槌湾の 5 つの砂浜および礫浜で,チカの産卵場所と各浜の諸特性との関係を調査し,産卵場選択の主要因として,砂礫粒度が重要であることを明らかにした。細砂または礫のみで形成される浜の潮間帯は産卵場としては適さず,礫を主体として,その中にある程度の割合で細砂が含まれることが産卵場形成の条件であると判断された。礫は砂礫中の卵への酸素供給の点で,細砂は卵の付着基質として,また乾燥を避ける上で重要な役割を果していると考えられた。赤嶺達郎(中央水研)
Hasselblad 法は混合確率分布の構成比推定における実用的な手法であり,そのアルゴリズムは未定乗数法と狭義の反復法から導くことができるが,その収束原理は明らかでなかった。収束は安定しているものの,解の近傍での収束は遅く,Gauss-Seidel 法と同程度であることが経験的に知られていた。ここでは代表的な大局的手法である Jacobi 法から Hasselblad 法を導き,同法が Jacobi 法の改良および簡便法であることを示した。Jacobi 法は 1 変数の Newton 法をそのまま多変数に適用した Gauss-Seidel 法と同類の手法なので,今までの知見に理論的裏付けを与えることができた。張 成年(遠洋水研)
カルモデュリン遺伝子の第 4 イントロンを PCR 法によって増幅するためのプライマーを設計した。これらの配列は 5'-CTGACCATGATGGCCAGAAA-3'(CALMex4F)及び 5'-GTTAGCTTCTCCCCCAGGTT-3'(CALMex5R) である。シロサケ,ミズウオ,マグロ類,メカジキ,スケソウダラ,テングハギのようなかなり離れた分類群に属する魚種さらにヒトでも 1 本か 2 本の増幅断片が確認できた。地中海のメカジキ標本(34 個体)を用いて RFLP 分析を行ったところ単純な多型が得られ,2 対立遺伝子が想定できた。遺伝子型の観察値と期待値もよく一致したので,少なくともメカジキにおいては得られた多型が単一遺伝子座での変異であると考えられた。久保田賢,木下政人,豊原治彦,坂口守彦(京大院農)
産卵期のアユ筋肉コラーゲン代謝に関わるプロテアーゼを同定する目的で,九頭川より採取した産卵期の雌雄アユ筋肉抽出液のゼラチン分解活性をザイモグラフィー法により調べた。25 kDa の活性バンドが全ての個体で検出された。一方,雌雄ともに一部の個体において 68 kDa および 62 kDa の活性バンドが強く誘導されていた。これらの結果は産卵期のアユ筋肉中には発現パターンの異なる複数のゼラチン分解酵素が存在することを示唆していた。