田邉智唯(遠洋水研)
1994 年 10-12 月に西部太平洋熱帯海域で採集したカツオ稚魚(体長 8.5-66.8 mm)とマグロ属稚魚(体長 9.8-55.3 mm)の食性を,餌生物の%F, %W, %N, IRI により北赤道海流域(NEC)と北赤道反流域(NECC)で比較した。カツオの餌生物としては,両海域とも魚類仔魚が最も多かったが,その他は NEC ではオキアミ類,端脚類,カイアシ類,NECC ではカイアシ類,イカ類,オキアミ類,端脚類であった。マグロ属稚魚では魚類仔魚の IRI が両海域とも著しく高く,その他は NEC ではオキアミ類とイカ類,NECC ではイカ類がわずかに出現した。これらの結果から,カツオは魚食性を基本としながらも,生息域によって甲殻類や頭足類などを捕食するが,マグロ属稚魚はより魚食性への依存度が高いと考えられた。茂木正人(東水大),與世田兼三,Temel SAHIN,Cennet USTUNDAG (トラブゾン水研,トルコ),河野 博(東水大)
黒海カレイ仔魚の成長,内部栄養の吸収,形態発育などに基づき,内部栄養から外部栄養への転換様式を明らかにした。その結果,転換過程は以下の 6 段階に分けられた:1) 初期段階(ふ化~ふ化後 30 時間まで),2) 器官形成期(90 時間まで),3) 摂餌開始期(110 時間まで),4) 初期摂餌期(190 時間まで),5) 摂餌強化期(230 時間まで),6) 油球の吸収完了(345 時間超)。この結果を他の海産魚と比較したところ,外部栄養をとりはじめて内部栄養を完全に吸収するまでの時間が長いこと,内部栄養を吸収する直前に摂餌率が高くなることなどの特徴が明らかになった。これらの特徴は初期の生残には有利と考えられた。石井 亮,関口秀夫(三重大生物資源),中原康智,陣内康成(熊本県水産研究センター)
全国的にアサリの漁獲量が減少しており,その中でも熊本県の漁獲量は激減している。漁獲量の激減の機構を明らかにするためには,アサリの底生個体群の形成・維持機構を解明する必要があり,1997 年 2 月から 1998 年 12 月に有明海東岸の 2 つの河口干潟(川口と滑石)において,浮遊幼生,着底稚貝,稚貝,大型個体の密度変化を調べた。浮遊幼生,着底稚貝,稚貝の密度は,滑石より川口の方が高かった。川口の大型個体の密度は浮遊幼生の高密度に依存し,これには川口近辺の水の流動による幼生の滞留機構が関与していると考えられる。蕭 錫延,謝 佳芬(台湾海洋大)
草エビ Penaeus monodon のカリウム(K)要求量を調べるため,平均体重 0.75 g の稚エビを K 含量の異なる飼料(0~2 g/100 g)で 8 週間飼育した。その結果,稚エビ中の K 含量は飼料中の K 含量の増加に伴い増加したが,増重率,タンパク効率および飼料効率は,飼料中に 1.5 g/100 g で最も優れた結果が得られた。多項回帰による増重率およびタンパク効率の解析から,稚エビの K 最低要求量は,飼料中におよそ 1.2 g/100 g であることが示唆された。河村知彦,高見秀輝(東北水研),R. D. Roberts(Cawthron Institute),山下 洋(東北水研)
成長に伴うエゾアワビ歯舌の形態変化を走査電顕を用いて観察した。主要な形態変化の多くが殻長 4 mm までの初期稚貝期に見られた。歯列数は,変態後数日間(約 0.5 mm まで)に急増した後ほぼ一定であったが,4 mm 頃から再び増加した。初期の稚貝には浮遊幼生と同じ左右 2 対の側歯しかなく,成貝にある残りの 3 対は 0.9~1.9 mm の間に形成された。変態初期に歯の先端縁辺部に発達していた鋸状小歯は,中央歯と内側 2 対の側歯からは 2 mm までに,外側 3 対の側歯からは 20 mm までに消失した。1.5 mm 頃から外側 3 対の側歯が鋭く伸長し始め,これに伴い歯列間隔が増加した。これらの歯舌の形態変化は,食性の変化に対応したものと推察された。古板博文,田中秀樹,山本剛史(養殖研),白石 學(中央水研),竹内俊郎(東水大)
親魚飼料中のビタミン A がヒラメの産卵および卵質に及ぼす影響について調べた。メス 5 尾およびオス 10 尾を 30 m3 の 2 水槽に収容し,ビタミン A 含量の異なる飼料{11×103 IU/100 g(対照区),337×103 IU/100 g(実験区)}を産卵の約 2 ヶ月前から産卵終了まで与えた。総産卵量は対照区が実験区よりもやや多かった。浮上卵率とふ化率は実験区で有意に高かったが,その差は小さかった。奇形率,無給餌生残指数など他の卵質の指標に差は見られなかった。卵のビタミン A 含量は,親魚に比べて試験区間の差が小さかった。これらの事から,産卵前および産卵期中に親魚に大量に与えられたビタミン A は主として肝臓中に蓄えられ,卵への移行は少ないため,卵質への影響は少ないと考えられた。青木秀夫(三重水技セ),秋元淳志(日配中研),渡邉 武(東水大)
ほぼ同じ配合組成で結晶アミノ酸(Lys, Met, Thr, Trp)を添加した形態の異なる 3 種類の無魚粉飼料(大型及び小型二軸エクストルーダ製飼料,シングルモイストペレット)をブリに給餌した後の血漿遊離アミノ酸(FAA)濃度を経時的に測定し,添加したアミノ酸の利用性を調べた。その結果,添加アミノ酸はいずれも飼料形態に関係なく給餌直後より吸収されており,効率よく利用されていることが示唆された。給餌後の各アミノ酸の FAA 濃度及び消化管内容物の体重比は各区とも類似した変動パターンを示した。アミノ酸添加区の Met 濃度は無添加の無魚粉区及び対照区の魚粉飼料区よりかなり高いレベルで推移し,アミノ酸インバランスを引き起こしている可能性が示唆された。ヴァイシャリ・パワー,松田 治,山本民次,橋本俊也,ナラシマル・ラジェンドラン(広大生物生産)
要約:魚類養殖は残餌や糞などの大量の有機物を養殖場に負荷する。その結果,底質が悪化し,魚類養殖の持続性を損なう可能性がある。魚類養殖場における有機物負荷による底質への影響とその時空間的変化および負荷された有機物の拡散を調べるために,瀬戸内海福山沖の 2 養殖場 11 測点で現場観測を行った。まず,底質への影響は魚類養殖を行っていない測点に比べて,魚類養殖を行っている測点では著しく大きく,底質は極度に還元的であった。底質の強熱減量には季節的な変化が見られなかったが,酸化還元電位,AVS-S 値には季節的な変化が見られた。横田養殖場を中心に約半径 165 m が養殖場の負荷のため,有機物に富んでいた。時空間的変化は養殖場および測点間で異なり,有機物負荷による影響の度合によって 3 段階に区分された。佐野 稔,大森迪夫,谷口和也(東北大院農),關 哲夫(養殖研)
宮城県牡鹿半島の岩礁域で,キタムラサキウニの年齢別分布を海藻群落帯状構造との関係で周年観察した。深所の無節サンゴモ群落には高密度で 1~5, 6 歳の個体が,浅所のアラメ海中林には 2 歳以上の大型個体が分布した。成長,生殖腺指数はアラメ海中林のほうが大きかった。主な食物はアラメ海中林ではアラメ,無節サンゴモ群落では無節サンゴモであった。これより,1~2 歳に無節サンゴモ群落からアラメ海中林へ分布域を拡げ,その後群落による食物の違いで,成長,生殖腺指数に違いが生じることが示唆された。中居正臣,佐野光彦,黒倉 寿(東大院農)
琉球諸島西表島において,1997 年 11 月,1998 年 2 月,5 月,8 月に採集した 204 個体を用いて,ニジハタ成魚の食性を明らかにした。95 個体が空胃であり,採集した全個体の胃内容物重量指数は,0.6 と極端に低い値を示した。1 年を通じて最も主要な餌生物は魚類と十脚類であり,全胃内容物重量に占める割合は 73.4% であった。しかし,本種の主要な餌生物は,明確な季節変化を示した。魚類は 5 月と 11 月に有意に高い割合で捕食されていたのに対し,ヤドカリ類は 2 月に有意に高かった。藤森康澄(北大院水),東海 正(東水大)
SELECT モデルの拡張による最尤法を用いた刺網の選択性マスターカーブの推定法を提案した。曲線モデルに正規,対数正規,歪正規,二峰性正規の 4 種類の関数を適用し,さらに,相対漁獲強度が推定値である場合と相対漁獲努力量(目合ごとの使用反数)によって固定値とされる場合を検討した。モデル逸脱度は相対漁獲強度の扱いに関わらず二峰性正規モデルの場合に最も小さくなった。同モデルの場合には,相対漁獲強度推定値と相対漁獲努力量は良く一致し,本推定法により,使用網反数などの漁獲努力量が異なる場合でも,データを標準化せずに適切な選択性曲線を推定できることが示された。蕭 錫延,黄 詩瑩(台湾海洋大)
ティラピア稚魚の葉酸要求量を調べるため,葉酸含量の異なる飼料(0~20 mg/kg)で平均体重 0.41 g の稚魚を 8 週間飼育した。その結果,へい死率には葉酸添加の影響は見られなかったが,増重および飼料効率は,飼料中の葉酸含量が 1.0 mg/kg 以上で優れた結果を示した。Broken-line model による増重率の解析から,ティラピア稚魚の葉酸適正要求量は,飼料中におよそ 0.82 mg/kg であることが示唆された。神原 淳,日高磐夫,山下光司,市川眞祐(三重大生物資源),古川 清,会田勝美(東大院農),
Robert Vassallo-Agius, 渡邉 武(東水大),今泉 均,山崎哲男(日栽協),佐藤秀一,Viswanath Kiron(東水大)
シマアジの産卵と卵質に対する Astx と SM の効果をみるため,Astx を 10 ppm 添加し,魚粉の半量を SM で置換したスチームドライペレット(DP)を 8 歳魚に産卵前 5 ヶ月間給餌し,生餌区と比較した。その結果,両区とも 18 日間産卵したが,総産卵量及び卵質(浮上卵率,受精率,ふ化率)に有意な差は認められなかった。RF 区及び DP 区の総仔魚生産尾数は雌親魚 1 kg 当たりそれぞれ 679.9×103 及び678.1×103 であった。以上,シマアジの産卵と卵質において Astx 添加の SM 配合 DP は生餌と同等の成績を与えることがわかった。矢田 修,槌本六良,Abdul Jabarsyah,王 勤,Paula Andrea Gomez Apablaza,橘 勝康(長大海研)
魚類における背部普通筋中へのピンク筋の介在割合の違いがそれらの死後の K 値変化に及ぼす影響について検討を行った。種々の試料魚種の 32℃ 保存における K 値上昇率は 0.98%/h から 14.00%/h の範囲に分布し,両値の間には,ピンク筋線維の介在数割合 r=0.411(p<0.05),面積割合 r=0.518(p<0.01)で,いずれの場合も有意に高い正の相関関係が認められた。従って,背部普通筋へのピンク筋の介在は魚類の死後の K 値変化を速めると考えられた。王 勤,槌本六良,矢田 修,李 京姫,Abdul Jabarsyah, Paula Andrea Gomez Apablaza,
服部忠正,松尾聖子,足立恭子,志津里芳一(海洋バイオ研)
有機スズ化合物の環境汚染が指摘されるようになり,海域環境に対して毒性がないか,若しくは現在使われている物質より毒性の少ない防汚物質の発見が必要となっている。我々はフジツボの幼生に対する着生阻害物質として Protophlitaspongia aga から新規ピリミジン誘導体 3,4,5,6-tetrahydro-6-hydroxymethyl-3,6-dimethyl-4-pyrimidinecarboxylic acid および zooanemonin を単離した。さらに,α-nicotinamide ribose にアオサの胞子に対する発芽阻害および付着阻害活性を認めた。邱 思魁,彭 清勇,聶 方珮,江 善宗(台湾海洋大)
メト化マグロ肉を 4℃ のメトミオグロビン(met Mb)還元酵素の溶液に 10 分間浸漬したところ,酵素活性の増加および肉色の回復は顕著であったが,対照のそれは変化しなかった。この酵素の役割を更に確認するため,生鮮なマグロ肉を当酵素(0.503 unit/ml)あるいは酵素+NADH(1 mM)の混合液に 5℃ で 10 分間浸漬し,4℃,相対湿度 100% で冷蔵した。両処理区において,貯蔵中の met Mb 量および酵素活性は顕著な変化がなかった。対照試料の色潤変化と比較し,この還元酵素による met Mb の還元作用のためと判断された。村本光二,金東 浩,新野葉子,藤原和恵,加太希哉,小川智久(東北大院農),戸田道寿,神谷久男(北里大水)
ミネフジツボ(Balanus rostratus)から単離した D-ガラクトース結合性レクチン(BRL)のアミノ酸配列を決定し,炭酸カルシウム結晶化阻害作用が異なるアカフジツボのマルチプルレクチン(BRA)の構造と比較した。BRL(120 kDa)は,182 アミノ酸残基からなるサブユニットから構成されていた。BRL には BRA-2 と BRA-3 が持つ炭酸カルシウム結晶化阻害作用がみられなかったが,アミノ酸配列においては,それぞれに対して 46% と 15% の相同性を示した。いずれのレクチンも炭酸カルシウムの結晶生成において,大きさと形に変化をもたらした。Mohammed Ismail Hossain,伊藤慶明,森岡克司(高知大農),小畠 渥(愛媛大院農)
スケトウダラ冷凍すり身の肉糊を 25 および 40℃ で予備加熱した後,80℃ で 20 分加熱したゲルのゲル強度およびこのゲルを 8M 尿素-2%SDS で可溶化した未還元試料並びにこれを 20% メルカプトエタノール処理した還元試料について SDS-PAGE パターンを調べた。SS 結合による高分子物の生成量は予備加熱時間に関わりなく一定であり,予備加熱に伴うゲル強度の増加とは関係がなかった。従って,ゲル中に認められた SS 結合による高分子化は 80℃ での加熱時に形成されたものと判断した。Mohammed Ismail Hossain,伊藤慶明,森岡克司(高知大農),小畠 渥(愛媛大院農)
スケトウダラ塩すり身をトランスグルタミナーゼ阻害剤,プロテアーゼ阻害剤または酸化防止剤の存在下で 30 および 50℃ で予備加熱した後 80℃ で加熱して,ゲル強度および分子挙動を検討した。ミオシン重鎖の高分子化と分解を抑制すると,80℃ 加熱ゲルのゲル強度は予備加熱時間の影響を受けないことが分かった。従って,加熱ゲルの強度は予備加熱中のミオシン重鎖の高分子化および分解と強く関連しているものと結論した。田上保博(水産大),寺田 晁(梅光女大),坂田一矩,橋本 守(九工大),
Simson Masengi(鹿大連農研),佐藤保大,進藤 穣,御木英昌(鹿大水)
カツオ煮熟肉の加工性と保蔵性を向上するため,ロイン状煮熟肉の減圧処理(絶対圧 400 Pa, 30 分)を行ない,その後 0℃ および-20℃ の貯蔵試験を行なった。その結果,減圧処理した煮熟肉(処理区)の脂質含量は,対照区より湿量基準にして腹側 0.5%,背側 0.4% 程度それぞれ減少し脱脂された。水分は,同様に背側 2.5%,腹側 3.0% 程度減少し脱水された。 貯蔵中の TBA および VBN 値は,いずれの温度でも処理区の方が遅く,脂質の酸化および微生物の増殖が抑制された(P<0.05)。また,煮熟肉には ATP 関連化合物の 70% 近くが IMP として蓄積したが,貯蔵中の IMP の分解は処理区の方が小さかった。以上より,減圧処理がカツオ節製造工程の改善に有用と考えられた。Soong-Yeong Cho, Dong-Sik Joo,Heung-Gil Choi (Kangnung Nat. Univ.),奈良英一,宮下和夫(北大院水)
イカ抽出脂質の酸化安定性を他の海洋脂質と比較した。過酸化物生成量の測定により,イカ内臓およびイカ筋肉(皮を含む)から得た総脂質(TL)が今回分析した海洋脂質の中で最も酸化されにくく,ついで,イカ眼部 TL,マス卵 TL,カツオ油,マグロ眼窩 TL の順となることがわかった。こうした傾向は,酸化に伴う高度不飽和脂肪酸の減少量の測定からも確かめられた。トコフェロール含量と脂質組成の分析より,イカ組織 TL とマス卵 TL がカツオ油やマグロ眼窩 TL より酸化されにくかったのは,主にそれらの脂質中に含まれるリン脂質(PL)によるものと考えられた。また,PL 含有脂質の酸化安定性は,PL 含量よりも PL の組成,特にホスファチジルエタノールアミン含量に強く影響された。イカ内臓の脂質含量は 25% 以上であり,また,これらの脂質の酸化安定性も高かったことから,イカ内臓が EPA や DHA といった機能性脂質の良好な供給源となることが示された。安藤正史,城下昌生(近大農),望月 聡(大分大教育福祉),佐藤公一(大分海水研セ),
Krittikar KAEWSANGK,林崎健一,朝日田卓,井田 齊(北里大)
アユの成長に伴う櫛状歯板数の変化を琵琶湖産アユと両側回遊型の 2 群について検討した。材料は琵琶湖産 89 個体(標準体長 90.1~152.0 mm),両側回遊型として山形産 63 個体(90.7~153.4 mm),徳島産 20 個体(90.8~108.5 mm)の計 172 個体である。フォルマリン固定標本の歯板をアリザリンレッド S で染色し両顎の総歯板数を計数した。観察した標準体長 90 mm 以上の範囲では体長変化に伴った歯板数の変化は認められず,両顎の総歯板数は琵琶湖産で 48~57 個(モード 54),両側回遊型で 53~62 個(モード 58)の分布範囲を示した。両顎の歯板数は琵琶湖産アユでは両側回遊型より平均値で 2.60 個少なく,この差は有意(p<0.01)であった。菊池弘太郎,川崎保夫,佐藤秋生(電力中央研)
小田和湾に生息するアマモの炭水化物量の季節変化を測定した。葉条の還元糖量は夏期に 3~4% であり(乾物あたり),冬期では 1 % 以下に低下した。地下茎,根の還元糖量は周年 1 % 以下であった。地下茎の非還元糖量は,2 月の 5 % から 8 月には 40% 以上に上昇し,その後冬期にかけて低下した。葉条の非還元糖量は夏期の 15% から冬期の 5 % まで変動した。根では周年 2 % 以下であった。非還元糖のほとんどがショ糖であった。澱粉量は根で最も高く 5 % を前後となった。また,何れの部位でも年間を通してほぼ一定であった。山崎繁久,内山寛之(鹿大水)
単為生殖卵および耐久卵由来のタマミジンコの体サイズ別に個別飼育を行い,それらの仔虫生産数をもとに多産性を比較した。単為生殖由来の大型および耐久卵由来の小型仔虫は,生存期間の初期に仔虫を活発に生産する傾向を示したが,単為生殖由来の小型および耐久卵由来の大型仔虫は,生存期間全体で仔虫を生産する傾向を示した。これらの結果から,仔虫の生産はタマミジンコ,特に単性生殖の大型雌仔虫にとってエネルギー負担の大きい機能であることが示唆された。
青山 潤,石川智士(東大海洋研),大竹二雄(三重大生物資源),望岡典隆(九大農),鈴木 譲(東大院農),渡邊 俊,
篠田 章,井上 潤(東大海洋研),ピーター・ロックマン(北大水),稲垣 正,大矢真知子,蓮本浩志,
窪川かおる(東大海洋研),李 泰源(韓国忠南大),ハンス・フリッケ(ドイツ・マックスプランク研),塚本勝巳(東大海洋研)
楊 健,王 克雄,劉 仁俊(中国科学院水生生物研)
イルカ類の希少種であるバイジー(ヨウスコウカワイルカ)の休息行動を飼育下で観察した。その結果,水面直下における休息(RS)とそれ以外の水深における休息(RU)の二つのパターンが存在した。休息行動の 96% は RU が占めていた。夜では RU の大部分は照明電灯の陰になる区域で行われていたことから,バイジーが休息中でも視覚を用いている可能性が示唆された。また,休息行動は 18:00-6:00 の間に多く行われ,昼・夜ともに休息期と活動期が交互に観察された。中島謙二(甲子園大栄養)
これまで貝類の運動能に及ぼす摂餌誘引物質,刺激物質の効果が直接測定された例はない。そこで今回は海産の形態,食性の異なるサザエとハマグリの運動能(体力)に及ぼすジメチルスルフォニオプロピオネイト(DMSP)の効果を検討した。活性化の測定方法として,サザエはゲルに DMSP を浸透させて摂取させた後逆転させて,正常位に戻るまでの時間を,またハマグリは DMSP を含む飼育水で飼育後,各貝類の殻を開けるに要する力を指標に用い,各々の活性化の有無を検討した。その結果,DMSP をゲルに浸透させて摂取させただけで,あるいは DMSP を含む飼育水で短時間飼育しただけで,両貝類の運動能(体力)が増強される事が明らかになった。