今井一郎,稲葉信晴,山本圭吾
現在我が国で赤潮は減少傾向,有毒ブルームは西日本で増加傾向にある。高密度の殺藻細菌と増殖阻害細菌が海藻やアマモの表面と周囲の海水から発見され,湖沼では有毒藍藻の殺藍藻細菌が水生植物表面から高密度で発見された。以上から沿岸ではアマモ場や藻場の保護と回復が,湖沼では水草帯の保全が有害有毒ブルームの予防に重要である。また海底耕耘により珪藻ブルームを人工的に誘発し,Chattonella赤潮やAlexandriumの有毒ブルームの制御に成功した。これらの環境に優しい対策を洗練化し里海構想に組込む事が赤潮対策に重要と提案できる。芝野あゆみ,金岩 稔,甲斐幹彦
標準化CPUEは資源量指標として用いられるが,複数魚種を漁獲する漁業では狙い魚種によって漁獲係数が変化するため,狙い効果の取り扱い方は標準化CPUE推定値に影響する。本研究では混合分布モデル(FMM)に着目し,FMMを含む8つのCPUE標準化手法について,様々な資源と漁業の状況を想定したシナリオ下で数値シミュレーションを行い,狙い効果標準化パフォーマンスを評価した。結果,FMMはいずれのシナリオにおいても他の手法より優れたパフォーマンスを示したことから,CPUE標準化において狙い魚種を明らかにするための効果的かつ頑健な手法であると結論された。荒川裕亮,岸 大弼,柳井清治
本研究は,1930年代に発行された漁業統計と内水面漁業協同組合への聞き取り調査より得られた過去と現在におけるカワヤツメLethenteron camtschaticumの漁獲情報より,日本国内における漁獲分布河川とその地理的特徴を明らかにした。さらに内水面漁業者が有する地域の生態学的知識が歴史的な種の分布の推定に有効であることを示した。特に漁業活動の衰退は南限域や河川上流域で顕著であった。本成果は,カワヤツメの資源回復に向けたベースラインとして有用であり,内水面における生物多様性の保全とその管理手法の発展に向けた漁業者の有する情報の活用が求められる。Phornphan Phrompanya,Paiboon Panase, Supap Saenphet,Kanokporn Saenphet |
荒木克哉,立原一憲
沖縄島におけるロクセンフエダイの年齢と成長,繁殖特性を調べた。2012年11月~2014年11月に採集した709個体の体長範囲は,44.2-197.7 mmであった。耳石切片を用いた年齢査定で確認された最高齢は,雌24歳,雄27歳であった。成長式は,雌:Lt=172.2×{1-exp[-0.55(t+0.70)]},雄:Lt=182.5×{1-exp[-0.52(t+0.70)]}で表された。生殖腺指数と組織学的観察から産卵期は,6-8月を盛期とする5-9月であると推定された。最小成熟体長(年齢)は,雌130.3 mm(2歳),雄129.5 mm(1歳)であった。本種は小型フエダイ属の中で長命であり,小型,若齢で成熟する。原田海斗,森田哲男,出口 航, 山本昌幸,藤田智也,冨山 毅 |
天野勝文,阿見彌典子,水澤寛太,千葉洋明 |
冨士泰期,中神正康,巣山 哲,宮本洋臣,木所英昭 |
高 偉峰,中屋光裕,石川智也,髙津哲也, 竹谷裕平,鈴木 亮,野呂恭成 |
飯田真也,八木佑太,井関智明 |
Anle Xu,Jingbo Shang-Guan, Zhongbao Li,Qiang Chen |
杉原邦周,東(西澤)瑞穂,趙 佳賢, 大西 豊,清水 裕,佐伯宏樹 |
及川 仁,中村 周,金子信人, 虎尾 充,越野陽介,清水宗敬 |
長島裕二,張 国華,佐藤康介, 石崎松一郎,木谷洋一郎,岡井公彦 |
平林眞弓,岡崎 尚,谷本昌太
ムール貝成分の季節変動を調べた。身入りは約30%を維持し,グリコーゲンは夏期に増加した。TauとGlyは冬期に増加し,HisとArgは夏季に増加したが,GluとAspの季節変動は見られなかった。AMPとIMPは夏期に増加した。Taste active valueはGluが周年1以上であった。Gly, Ala, Aspは月によって1以上であった。AMPとIMPは夏期に1以上になり,コハク酸は周年2-4を維持した。Equivalent umami concentrationsは7-10月が3-5 g MSG/100 gとなり,これらの結果から,ムール貝の「旬」は夏~初秋であることが明らかとなった。Lester C. Geonzon,Hannah A. Yuson, 高橋希元,松川真吾 |
高橋義宣,鎌田 彰,小西達也 |