平成9年6月から新圃の沢地内に建設が進められていました本吉町さけふ化場が11月完成し,今年2月3日(火)落成式が行われました。

 小泉川のさけ養殖事業の歴史は古く,明治8年以降大正に至まで,小泉村持財産として小泉川特別会計を設け,村直営事業として管理運営されたという記録も残されています。町村合併後の昭和38年本吉町鮭増殖組合をつくり,昭和55年には蕨野地内に300万尾ふ化能力のあるふ化場を新設。昭和61年には新圃の沢(現在のふ化場の一部)に仮設ふ化場を設置し,既設ふ化場と併せた稚魚放流の増大が図られていました。

 新しいふ化場は,さらに回帰率の向上を目指して建設されたもので,外観上はふ化管理倉庫棟,電気室自動給餌機室棟,取水井戸,高架水槽,飼育池とに分けられます。

 ふ化管理倉庫棟は,管理室,ふ化室,倉庫からなり,ふ化室にはボックス型とアトキンス式の増収型ふ化槽,1時間当たり30万粒を検卵できる自動検卵機,収容した卵を消毒する消毒槽が設置されています。電気室自動給餌機室棟は,発電機室と自動給餌機室に分かれており,発電機室には万が一の停電などでも自動的に発電が開始される非常用発電機が,自動給餌機室には各飼育池ごとに餌の大きさ(使用できる餌は三種類)と量を変え,指定した時間に餌をまくことができる自動給餌機が設置されています。取水井戸は二台の揚水ポンプで毎分7トンの取水蛾可能となっており,高架水槽にくみ上げます。高架水槽の貯水量は36トンで,ここから飼育池は22面でふ化槽も22槽備えられています。ふ上槽はふ化槽で発眼した卵を収容し,ふ出した稚魚のさいのうが取れるまでの間おかれ,その後飼育池で飼育し,これまでおおむね1グラム程で放流してきた稚魚を1,2グラムまで大型化させ放流となります。

 新しいふ化場の完成により,今後なお一層の鮭増殖事業の振興が図られるものと大きな期待が寄せられています。


ふ化管理倉庫棟中に整備されたふ化槽
 
 飼育池とふ上槽(手前の箱型のもの)

捕獲・放流数等実績
年度捕獲数
(尾)
採卵数
(千粒)
放流数
(千尾)
海面
水揚げ尾数
54川 2,8593,8391,144 
55川 2,1443,6041,710 
56川 2,8623,3371,690 
57川 1,9702,7522,519 
58川 1,3132,3561,617 
59川 1,9962,5902,362 
60川 3,0033,1603,000 
61川 5,2094,6393,20025,187
62川 2,7573,8173,69832,123
63川 2,7733,4443,04851,416
川 3,238
海   82
4,082.53,33549,887
2川 6,860
海  262
6,8475,742.382,521
3川 7,498
海  354
10,3519,66568,258
4川 8,587
海  317
11,1118,243104,972
5川 8,587
海  277
12,33311,50798,636
6川 10,026
海   286
9,2098,57440,737
7川 22,077
海   300
11,90510,881129,674
8川 24,78012,07410,930134,767
※捕獲数欄の“川”は川へそ上したものの捕獲数“海”は早期ふ化を目的に海で捕獲したもの