第55回海中海底工学フォーラムプログラム

日 時 2015年4月10日(金)
第55回海中海底工学フォーラム:
研究会13時00分〜17時00分
懇談会:17時00分〜19時00分
場 所 東京大学生産技術研究所 An 棟 2F コンベンションホール「ハリコット」
〒153-8505 目黒区駒場4-6-1 電話:03-5452-6487
地 図 http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/access.html参照
参加費 ワークショップおよび研究会:無料
懇談会(郵便振替振込み):3000円(30才未満および70才以上無料):
振込先:郵便振替:口座番号00150-8-354229、口座名:海中海底工学フォーラム
主 催 海中海底工学フォーラム運営委員会
共 催 東京大学生産技術研究所(生研研究集会)
協 賛 日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会
(公社)土木学会*、(公社)日本水産学会、IEEE/OES日本支部
MTS日本支部, 東京大学海洋アライアンス
*「土木学会認定CPDプログラム」

研究会:13時分-17時
1)挨拶
13時00分-13時05分
九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦  環
2)日本海の表層型メタンハイドレート探査はここまできた
13時05分-13時55分
明治大学ガスハイドレート研究所 松本 良
[講演概要]日本海EEZ内の表層型メタンハイドレート資源量を3年間で把握するというチャレンジングなプロジェクトを受託して2年。これまでに隠岐西方の対馬海盆、隠岐トラフ、富山トラフ(上越沖)、最上トラフ、胆振・日高沖の約30,000平方キロメートルで探索を終わり、約1,000個のガスチムニー構造を確認した。2014年にはメタンハイドレート安定領域下限(BGHS)まで貫通するLWDとコアリングを複数のガスチムニーで実施、海底から60-70メートル付近までメートル・オーダーの塊状・層状メタンハイドレートを確認した。さらに、地下音響構造が良くわかっているガスチムニー群を対象に電磁探査CSEMを実施し、音響と電磁の統合による正確かつ効率的な資源量評価の可能性を明らかにした。ガスチムニーの大きさと数、代表的なガスチムニー内のハイドレート含有量%から表層型メタンハイドレートの資源量を評価する作業はいよいよ正念場である。本調査研究は、経産省「メタンハイドレート資源開発促進事業」の一環として実施されたものである。
 
2)巨大鉄鉱層形成:地球史における酸素固定の記録
13時55分-14時25分
九州大学 清川 昌一
[講演概要]鉄鉱層は二酸化炭素を陸上に固定する炭酸塩岩と同様に,大気酸素を陸上取り込んだ重要な岩石である。これは酸素濃度上昇を阻止する一種のサーモスタットの役割を持っている。地球史における太古代後期には,ハマスレー層群(豪州)やトランスバール層群(南アフリカ)のように巨大縞状鉄鉱層が残されており,その後24億年前ごろに大気酸素が急激に上昇した大酸化事変(GOE)が起こったと言われている。ところが,鉄鉱層は原生代後期や顕生代中にも報告があり,雪玉地球の溶解時の急激な酸化作用や,火山活動にともなう鉄分の供給による沈殿作用が起こっている。ここでは,地球史に残された様々な時代の鉄鉱層について,その痕跡を実際の露頭分布状態を紹介し,そこに記録される地球環境変動を述べていく。
 
3)二枚貝鰓水流の動態 - Mytilus is not a boring black shell-
14時25分-14時55分
獨協医科大学 瀬尾 芳輝
[講演概要]ムラサキイガイは岩礁などに群集している黒い二枚貝で、船底や岸壁に付着することで嫌われているが、レストランではムール貝として人気の食品でもある。卓越した換水量を持ち、殻長35 mm(体重約8 g)のイガイは1時間当たり3 Lの海水を取り込み濾過できる。鰓を構成する鰓糸には長さ15 mmの側繊毛があり、この繊毛運動によって水流がおこされる。我々は、医学の診断で使われる核磁気共鳴法(MRI)の各種技術を海産無脊椎動物の解剖学や生理学的な解析にも応用している。ムラサキイガイの解析では位相エンコードMRIを用い、入水管、外套膜腔、鰓葉間腔、出水管における水流方向と速度(5-50 mm/sec)を計測し、殻内の水流動態を明らかにした。さらに、T1強調MRIにより水流(≧ 5 mm/s)を画像化した。鰓の水流は起動から1分以内に定常速度に到達し、停止は数秒以内で行われた。また、秒単位の振動的水流変化や、鰓葉間腔の水流が左右独立に制御される事象などが確認できた。以上より、側繊毛運動は鰓の局所毎に制御され、制御速度は秒単位であることが示唆された。本講演では、外套腔水流の経時変化を動画で供覧すると共に、心機能について得られた結果も紹介する。
 
-休憩-
 
4)In-situ Imaging and Tracking of Algae and Particulates in Oceans and Lakes to any Depth with a submersible Microscope
15時10分-15時40分
Dalhousie University Hans Jürgen Kreuzer
[講演概要]I start with a short overview of the technical aspects of holographic microscopy and its potential to image and to track phytoplankton, oil drops, bubbles and particulates in 4-D yielding information about particle densities and the motion of many particles in 3-D in an aquatic environment. Both intensity and phase images are obtained. I will also introduce a submersible version of the microscope that allows the in-situ study of marine life in real time in oceans, rivers and lakes This microscope can achieve spatial resolution down to the micron level and time resolution at the frame rate of the digital camera. The software automatically produces time-dependent histograms of particle numbers and sizes so that the swimming behavior of algae, the growth of algae blooms, oil drop formation, and the formation of flocculates in water reservoirs can be studied. I will show images and films obtained in sea trials with the depth record today of 6000 meters in the mid-Atlantic. As the latest development I will demonstrate phase imaging capable of tracking and distinguishing live and dead cells, bacteria and algae in real time. In addition, new software can identify automatically algae and plankton from a pre-arranged catalogue.
 
5) 日本海溝海底地震津波観測網S-net ―房総沖システムの運用が間近、その次は?―
15時40分-16時10分
防災科学技術研究所 金沢 敏彦
[講演概要]リアルタイム観測の空白域とも言える東北日本沖の海底で始まった日本海溝海底地震津波観測網(S-net)の構築は、津波即時予測、緊急地震速報の高度化が主目的です。北海道沖から房総沖までの広域に、地震と津波の観測点を格子状に新規に150点配置します。総延長約5,700 kmの光海底ケーブルを利用して観測点を数珠つなぎにすることによって、地震と津波をリアルタイムで連続観測する大規模システムです。平成27年度中の完成に向けて、①房総沖、②茨城・福島沖、③宮城・岩手沖、④岩手・青森沖、⑤釧路・青森沖、⑥海溝軸外側に分けて整備をすすめてきており、房総沖システムは運用開始が間近です。
 
6)ASVとAUVの協調制御によるマンガンクラスト調査
16時10分-16時40分
東京大学生産技術研究所 ソーントン・ブレア、西田 祐也
[概要]深海底の広範囲にわたり分布している鉱物・生物資源を調査するには、スワス幅が広い観測機器による海底面調査結果をもとに特徴的な場所を探し出し、次ぎにスワス幅が狭いため広範囲は観測できないが、高解像度を有する観測機器により、特定の場所をピンポイントで調査し細かく調べることが効率的である。それには高精度の位置決め技術が必要となる。発表者らはASV(Autonomous Surface Vehicle)のサポートに基づくホバリングAUV(Autonomous Underwater Vehicle)のピンポイント高精度マッピング調査手法を開発した。本発表では、2015年2月に実施した小笠原海台での研究航海(NT15-03)においてROV(Remotely Operated Vehicle) の高高度マッピングで発見したマンガンクラストをASV“ABA”とホバリング型AUV“BOSS-A”で調査した結果について報告する。
 
7)フィリピン沿岸域に生息するジュゴンの観測と餌場調査 -その時、人魚と出会った-
16時40分-17時00分
東京大学生産技術研究所 水野 勝紀
[講演概要]フィリピン沿岸域は世界で最も海草の種類が多い海域である。しかし、海草藻場が急激に喪失しており、過去50年間で海草藻場は30〜50%失われたと推定されている。フィリピンは、ジュゴンが生息する数少ない地域の一つでもある。ジュゴンの保全方法については、日本を含む世界各地でしばしば議論されているが、生息数や場所、餌場(藻場)の分布に関する定量的なデータがそもそも十分ではない。そこで、ジュゴン観測チームを編成し、2014年12月、マンタ法と音響ビデオカメラDIDSONによる音響調査法を用いてジュゴンの餌場を調査した。また、現地の大学や地域住民らと協力し、当該地域では初となるジュゴンの摂餌動画の撮影に成功したので紹介する。
 
懇談会:17時00分-19時00分
 
申し込み先:東京大学生産技術研究所海洋探査システム連携研究センター・杉松治美
Tel:03-5452-6487
Fax:03-5452-6488
E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp
申し込み期限:4月6日(月)までにメイルにてお申し込みください。