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午前の部:海底鉱物資源広域探査システムワークショップ:9時00分〜12時00分 |
コンビーナ 東京大学生産技術研究所 浅田 昭 |
[概要]平成25年度に開始された文部科学省の海洋基盤ツール課題では、東京大学生産技術研究所を拠点として、「海底鉱物資源広域探査システム」の開発と実用化研究を推進しており、平成26年度からは新たに4課題が加わる。本ワークショップでは、既存課題および新規課題について概要を紹介、いかにして、これら深海資源探査技術を高度化・複合し、実用的な海洋鉱物資源広域探査システムを開発するか、議論を深める。さらに、平成26年度から開始される戦略的イノベーション創造プログラム(SIPプログラム)における「次世代海洋資源調査システムの開発」(海のジパング計画)プログラムに関する特別講演を浦辺徹郎内閣府政策参与に賜り、基盤ツール課題との相互連携のあり方について検討する。 |
1)海底鉱物資源広域探査システム拠点 9時00分〜9時10分 |
東京大学生産技術研究所 浅田 昭 |
2)文部科学省の新海洋基盤ツールプログラム 9時10分〜9時20分 |
文部科学省科学開発局海洋地球課 清浦 隆 |
3)平成25年度開始研究課題 9時20分〜10時40分 |
3.1 熱水鉱床域海底地質の音響探査技術の実用化 9時20分〜9時30分 |
東京大学生産技術研究所 浅田 昭 |
3.2 熱水鉱床形成構造の探査・解析技術の実用化 9時30分〜9時40分 |
九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦 環 |
3.3 電磁気学的手法を用いた高精度海底下地質構造探査技術の実用化(海底熱水鉱床の 電磁誘導探査技術の実用化・移動体を用いた人工電流送信型電磁探査技術の実用化) 9時40分〜10時00分 |
早稲田大学 斎藤 章 京都大学 後藤 忠徳 |
3.4 熱水鉱床の化学計測システムの実用化 10時00分〜10時10分 |
高知大学 岡村 慶 |
3.5 コバルトリッチクラストの賦存量調査技術の実用化 10時10分〜10時20分 |
東京大学生産技術研究所 ソーントン・ブレア |
3.6 海洋鉱物資源データの統合解析の実用化研究 10時20分〜10時30分 |
海洋研究開発機構 町山 栄章 |
3.7 実海域調査における調査船の運用技術 10時30分〜10時40分 |
海洋研究開発機構 月岡 哲 |
4)平成26年度開始研究課題 10時40分〜11時30分 |
4.1 既存課題推進と平成26年開始課題との連携による技術革新 10時40分〜10時50分 |
東京大学生産技術研究所 浅田 昭 |
4.2 レーザー誘起破壊分光法による深海底現場成分分析技術 10時50分〜11時00分 |
東京大学生産技術研究所 ソーントン・ブレア |
4.3 海洋鉱物資源広域探査用海中重力探査システムの開発 11時00分〜11時10分 |
東京大学地震研究所 篠原 雅尚 |
4.4 バーティカルケブ方式反射法地震探査(VCS)システムの開発 11時10分〜11時20分 |
(株)地球科学総合研究所 淺川 栄一 |
4.5 スマートステーションと自律移動プローブによる熱水域の 3次元画像・4次元化学パラメータ統合マッピングシステム 11時20分〜11時30分 |
東京大学生産技術研究所 巻 俊宏 |
5)特別講演「次世代海洋資源調査システムの開発」(海のジパング計画)について 11時30分〜11時45分 |
東京大学名誉教授、内閣府政策参与 浦辺 徹郎 |
[概要]本プロジェクトは戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一つとして平成26年度から実施されるもので、5つの省庁が府省・分野の枠を超えて参加する横断型プロジェクトである。海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストなど、海洋資源を高効率に調査する技術を確立し、資源制約の克服に寄与することを目指している。講演ではその内容について簡単に紹介する。 |
6)総合討論 11時45分〜12時00分 |
-ランチ休憩- |
午後の部:13時〜17時 |
1)挨拶 13時00分-13時10分 |
九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦 環 |
2)死後の鯨がつなぐ生命〜深海ザメとホネクイハナムシ〜 13時10分-13時50分 |
海洋研究開発機構 藤原 義弘 |
[講演概要]鯨類は地球史上最大の動物であり、死亡すると局所的・瞬間的に大量の有機物を深海底へと運ぶ巨大な輸送体でもある。深海底に沈んだ鯨遺骸は「鯨骨生物群集」と呼ばれる独特な生物群を支える基盤となる。鯨骨生物群集を構成する動物には、周辺の深海域に暮らし、日和見的に鯨遺骸に集まるものや熱水噴出域/冷水湧出域と共通するもの、鯨遺骸固有のものなど様々で、生物群集の組成は時間とともにダイナミックに変遷する。中でも鯨遺骸の分解に主要な役割を果たすのは、鯨の軟組織を消費する大型の腐肉食動物と鯨骨を「餌」とするゴカイの仲間、ホネクイハナムシ類である。本講演ではこれらの動物を中心として、浅海域を主な生息の場とする鯨類が深海底に与える生態学的および進化学的影響についてご紹介したい。 |
3)東北沖地震に伴い深部流体がマントルから海溝までプレート境界を迅速に移動した 13時50分-14時30分 |
東京大学大気海洋研究所 佐野有司 |
[講演概要]マグニチュード9を超える巨大地震の発生には、上側の大陸プレートと下側の海洋プレートの境界面に存在する流体が重要な役割を果たしていると指摘されている。 2011年3月11日の東北沖地震はオホーツクプレートと太平洋プレートの境界で発生し、これまで発生メカニズムを突き止めようとする研究がなされてきた。しかし、プレート境界面における深部流体の地球化学的性質を調べた研究は行われてこなかった。我々は東北沖地震の約一か月後に震源域近くの海底で採取した海水中にマントル起源のヘリウム同位体異常を発見した。この異常は地震に伴って深部の高圧流体がマントルから海溝域の海底までプレート境界の破断面を一気に移動したことを示唆する。 |
4)西之島沖海底火山―40年ぶりの大噴火と新島形成― 14時30分-14時50分 |
東京工業大学 野上健治 |
[講演概要]我が国には110の活火山があり、その約3割が海域・海底火山である。陸上の火山では、地震活動や地盤変動などの連続観測が行われているが、無人島や海底火山では観測機器を常設する事自体がきわめて困難であり、連続観測は行われていない。海域火山での噴火は、海上・航空交通に多大な影響を与えるだけでなく、場合によっては領土・領海にまで影響が及ぶため、その監視観測は我が国にとってきわめて重要なミッションである。2013年11月20日に西之島の南方の海底で噴火が発生し、新島が誕生した。2日後にはマグマ水蒸気爆発からマグマ噴火へと移行、2ヶ月以上にわたって熔岩を出し続けており、すでに陸地面積は西之島を凌駕しており、その成長速度は驚異的に速い。本講演では、新島誕生につながる海底火山噴火活動とその監視観測について紹介する。 |
5) 原子炉調査ロボットによる福島第1原発一号炉トーラス室漏水調査 14時50分-15時10分 |
九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦 環 |
[講演概要]東京電力福島第1原子力発電所の1号機原子炉建屋のトーラス室は、原子炉格納容器から漏れ出たと考えられる水につかっている。室内の状況や漏水箇所の調査のために遠隔操縦式水上ロボットが開発され、2013年11月13日と14日にロボットはトーラス室へと送り込まれた。ロボットの企画と展開について紹介し、今後のトーラス室内調査の課題を考える。 |
-休憩- |
6)産学官金連携プロジェクト 深海探査機「江戸っ子1号」 15時30分-15時50分 |
江戸っ子1号プロジェクト推進委員会事務局/東京東信用金庫中小企業応援センター 桂川 正巳 |
[概要]江戸っ子1号は、下町の中小企業の社長が提案した深海探査機開発を、地元の信用金庫が技術相談案件として、大学と海洋開発機構につなぎ、安価で取り扱い易いものを開発した。その過程で、従来海洋に縁のなかった企業によるガラス球の国産化に成功し、8000mの超深海域での魚類の3Dハイビジョン映像の撮影に成功した。機体はフリーフォール型のシャトルビークルともいうべきもので、ガラス球を耐圧容器兼浮力体として利用し、音波による錘切り離しと、海面での通信機を備えた、全長150p、重量50Kgの、漁船でも取り扱えるもので、ガラス球間の通信を、海水中無線通信治具によって行うことにより、ガラス球の耐久性を確保している。 |
7)Fugroに入って思ったこと ―ある国際資源調査・ コンサルタント会社の現状と仕事の進め方等についての一つの考え― 15時50分-16時20分 |
フグロジャパン 山野澄雄 |
[講演概要]Fugroとはどのような会社なのか、Fugroではどのような仕事をしているのか、どのようにしてFugroの今日が出来たのか等について、8年前にFugroに入社した一人として考えてみたい。Fugroは、現在、陸・海・空の総合調査・コンサル業務を世界規模で行っている。しかし50年前には一人のエンジニアがコーン貫入テストという技術に関わり、そこから事業を展開して行った。だが、それだけで、世界規模の会社ができるとは思えない。本講演では、Fugroの成功と失敗の歴史、そして現状についてレビューし、会社が発展するための経営とは如何にあるべきかについて、正面から取り組み考えてみることとしたい。 |
8)海域CCSに向けた探査・モニタリングシステムの開発 16時20分-16時40分 |
九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 辻 健 |
[講演概要]Carbon Capture and Storage (CCS)は、発電所などから排出されたCO2を、地下(または海底下)1000mくらいの貯留層に圧入し、大気中に放出されるCO2を大幅に削減する試みである。地下深部では、CO2は超臨界状態になるため、岩石内部にある小さな隙間に大量に圧入することができる。日本におけるCO2貯留可能量は約1,400億トンであると言われており、これは日本の年間CO2排出量の約100年分に相当する。しかし多くの貯留層は海底下にあるため、海底下にCO2を貯留する技術の開発、さらにはCO2をモニタリング・モデリングする技術の開発が、CCSを実施するためには必須となる。今回の発表では、安全にCO2貯留することを目的とした試み、つまり圧入CO2のモニタリング、貯留層内でのCO2の挙動を予測するためのシミュレーション、漏洩CO2をモニタリングする技術を紹介する。特に我々は、岩石の内部のCO2挙動シミュレーション(2相格子ボルツマン法)を世界最高サイズのモデルに対して計算することに成功したので、その成果を発表する。また日本や世界で実施されているCCSプロジェクトの紹介も行う。 |
9)高性能娯楽用潜水艇の開発 16時40分-17時00分 |
アミューザジャパン 宮川清貴 |
[講演概要]北米や欧州に於いては1980年代より個人用の小型潜水艇の登場が確認出来るが、そのどれもが例外なく軍用潜水艇の超小型版と呼ぶべきデザインを有している。しかも性能面や安全性が一定のレベル以上に達しているかは疑問であり、趣味の製品として一般に普及するには余りに問題点が多い様に見受けられる。つまり現在まで世界に本格的な娯楽用潜水艇は存在しないと言える。そこで、従来に因われない斬新なデザインに加え、水中を自由自在に軽やかに運動可能な、言わば3次元の運動がスリリングでスピーディな潜水船の実現を目指した弊社の開発ストーリーを紹介し、本艇の「卵型」という前代未聞の形状から生じる数々の技術的問題点を、中東富裕層を中心に世界の娯楽艇市場を絡めて報告する。 |
懇談会:17時00分-19時00分 |
申し込み先: |
東京大学生産技術研究所海中工学国際研究センター 杉松治美 Tel:03-5452-6487 Fax:03-5452-6488 E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp |
申し込み期限: | 4月11日(金)までにお申し込みください |