沿岸環境関連学会連絡協議会 第29回ジョイント・シンポジウム(主担当:日本水産学会) 沿岸環境修復技術としての貝殻利用の最前線
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主催: | 沿岸環境関連学会連絡協議会 http://www.s.fpu.ac.jp/wikicoas/ (日本水産学会・土木学会海岸工学委員会・沿岸域研究連携推進小委員会・日本海洋学会海洋環境問題委員会・日本水産工学会物質循環研究会・土木学会水工学委員会・日本船舶海洋工学会海洋環境研究会・応用生態工学会・水産 海洋学会・日本海洋学会沿岸海洋研究部会・日本沿岸域学会・日本ベントス学会・日本プランクトン学会) |
コンビーナー: | 日本水産学会水産環境保全委員会 NPO法人 里海づくり研究会議 田中丈裕 九州大学大学院工学研究院 清野聡子 広島大学大学院生物圏科学研究科 山本民次 |
要旨集代: | 1,000円 |
企画趣旨:我が国沿岸は,様々な開発や干拓などによって干潟・藻場が大幅に減少し,長年にわたる環境負荷の蓄積から底質環境が著しく悪化し,これらの要因によって多獲性資源の代表格であったアサリ等の二枚貝類などが激減するなど,水産資源の低迷は恒常的な様相を呈しつつある.閉鎖性海域にあっては,汚濁対策として流入負荷の削減が長年にわたって行われ,水質はかなり改善されてきたものの,底質の劣化が著しく貧酸素や硫化水素の発生などによりほぼ無生物状態の場所がある一方で,流入負荷制御の難しさから.貧栄養化による漁業生産へのダメージが顕在化している. 海洋に現存する〈非生体〉有機物の総量は,〈生体〉有機物の量より2桁は確実に高いと言われている.広範囲に浮遊する有機懸濁物が,流れの停滞域に沈降して底質環境の悪化を進行させると,これら有機物の摂食等を通じて物質循環を担ってきた多様な懸濁物食者や堆積物食者を死滅させ,さらに著しい底質環境の悪化を招き(環境劣化のスパイラル),栄養塩を底泥に封じ込めることになる. カキ養殖・ホタテガイ養殖などの生産に伴い発生する貝殻は年間50万トン近くに達すると推計されるが,これまで全国各地において,これらカキ・ホタテガイ・サルボウなどの貝殻を利用した底質改善の試みや事業が実施されており,底生生物相の多様化等を通じた物質循環の促進技術として期待される.水産庁から平成22年12月に公表された「水産環境整備の推進に向けて」には,今後取り組むべき整備内容として“物質循環の把握と正常化”と“貝殻資源等を有効活用した生物培養”が明記されており,貝殻利用は沿岸環境の修復と水産資源の持続的利用のための対策のひとつとして位置付けられている. 近年では,岡山県,香川県のほか,アサリ,アゲマキ,タイラギ等の二枚貝類が激減した有明海沿岸においても,水産庁の2013年度新規事業である水産多面的機能発揮対策事業を活用し,貝殻を利用した底質改善による二枚貝類資源の復活への取り組みが始まっており,広島県などのカキ養殖大産地でもカキ殻有効利用に向けた動きが本格化しつつある.本シンポジウムは,貝殻の有効性に関する認識の全国各地への浸透とも相まって時宜を得たものであり,全国で実施されている貝殻を用いた様々な環境修復技術の最新情報を集約し,沿岸海域の環境修復について,今後の具体の事業につなげるための一歩とすることを主旨とする. |
(受付開始) | 9:30 |
10:00-10:05 | 開会あいさつ |
今井一郎(沿岸環境関連学会連絡協議会代表) | |
10:05-10:30 | 趣旨説明 |
田中丈裕(NPO里海研) | |
座長 多部田茂(東大新領域) | |
10:30-11:00 | 1.自然海域における実例から見る環境構成要素としての貝類・貝殻の役割,機能 |
清野聡子(九大院工)・岡崎知治(岡山県水産課) | |
11:00-11:30 | 2.沿岸環境修復のための貝殻利用の考え方 |
三上信雄(土木研) | |
11:30-12:00 | 3.我が国沿岸域の貝殻に増殖する動物群集の種組成 |
田上英明(水大校) | |
12:00-13:00 | 昼休み |
座長 風呂田利夫(東邦大理) | |
13:00-13:30 | 4.環境微生物の視点から見た貝殻敷設の有用性 |
吉永郁生(鳥取環境大) | |
13:30-14:00 | 5.貝殻魚礁構造物の物質循環促進機能 |
田原 実(全漁連) | |
14:00-14:30 | 6.カキ殻の化学的特性を活用した底生生態系の回復 |
山本民次(広大院生物圏) | |
14:30-14:40 | 休 憩 |
座長 廣石伸互(福井県立大) | |
14:40-15:10 | 7.カキ殻を利用した総合的な底質改良技術 |
鳥井正也(岡山県水産課)・大本茂之(エイト日本技術開発) | |
15:10-15:40 | 8.二枚貝資源の増殖を目的とした貝殻加工基材の開発とその効果 |
森田健二(東京久栄)・小柳千晶(バジコ)・吉田儀弘(MF21) | |
15:40-14:10 | 9.貝殻を利用したモザイク状エコトーン創生による物質循環の促進 |
田中丈裕(NPO里海研) | |
1610-16:50 | 総合討論 |
司会 山本民次(広大院生物圏)・田中丈裕(NPO里海研) | |
16:50-17:00 | 総括・閉会の挨拶 |
大嶋雄治(水産環境保全委員会委員長) |
<企画の問合先> 700-0983 岡山市北区東島田町2丁目7番20-501号 特定非営利活動法人 里海づくり研究会議 理事・事務局長 田中 丈裕 (TEL)086-441-1523 (FAX)086-473-5574 URL http://satoumiken.web.fc2.com/ |