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午前の部:放射能調査ワークショップin 東北:10時30分〜12時30分 |
東京大学生産技術研究所 ソーントン・ブレア 海上技術安全研究所 小田野 直光 九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦 環 |
[概要]東日本大震災による大地震と津波による福島第一原発の事故により、大量の放射性物質が海に流れ込み、今も汚染水を含む地下水が海に流れ込んでいます。ここでは、まず、2011年7月から継続して実施している曳航式放射能計測装置を用いた海底泥の放射能計測調査の結果について報告します。次ぎに、2013年8月に開始された原子力規制庁の平成25年度放射性物質測定調査のための課題「海域における放射性物質の分布状況の把握等に関する調査研究」について、今後の調査手法や計画について報告し、情報を共有することで、今後の取り組みについて議論を深めたいと思います。 |
午後の部:第52回海中海底工学フォーラム in 東北:13時〜17時20分 |
1)挨拶 13時00分-13時10分 |
九州工業大学社会ロボット具現化センター 浦 環 |
2)南鳥島EEZのレアアース泥鉱床と日本の資源戦略 13時10分-13時40分 |
東京大学大学院工学系研究科 加藤 泰浩 |
[概要]レアアースは,我が国のハイテク産業を支える最重要な資源だが、その97%を中国一国が生産している。中国にとってレアアースは最強の外交カードであり、日本は常にそのカードに脅かされ続けてきた。一昨年,我々の研究グループは、タヒチ沖やハワイ周辺海域など太平洋の広い範囲にレアアースを豊富に含有した泥が大量に分布していることを発表し、世界に衝撃を与えた。さらに昨年、南鳥島周辺のEEZにもレアアース泥が大量に存在することを公表し、今年1月の調査航海で超高濃度レアアース泥を発見した。本講演では、レアアースを巡る資源問題を解説し、レアアース泥鉱床の特長や開発の可能性、さらに日本の執るべき資源戦略について説明する。 |
3)津波被害の早期推計と把握 13時40分-14時10分 |
東北大学大学院工学系研究科 越村 俊一 |
[講演概要]巨大津波災害後の災害対応や救援活動において最も重要なことの一つは被害の全容把握である。巨大災害の発生直後は、激甚な被害を受けた地域からの情報が断片的となり、被害全容の把握がきわめて困難になるとともに、被災地の救援活動や復旧活動も難航する。2011年東北地方太平洋沖地震津波の被災地は広大であり、発災直後に激甚な被災地がどこにあるかを把握するさえ困難であった。現地調査期間や人的資源の制約により被害全容を把握するために膨大な時間を要した。本フォーラムでは、近年発展が著しいコンピュータシミュレーション、リモートセンシング、地理情報システム(GIS)という3つの技術を活用することにより、この問題のブレークスルーを図るための技術的アプローチと、2011年東北地方太平洋沖地震津波災害において発表者らが実践した結果と今後の展望を報告する。 |
4)東日本大震災に伴う地殻変動と海図への影響 14時10分-14時40分 |
海上保安庁海洋情報部 仙石 新 |
[講演概要]3.11の東北地方太平洋沖地震時に大きな地盤沈下を生じた東北地方から房総半島に至る太平洋側沿岸部では、地震後2年半が経過した現在もゆっくりとした地殻変動(余効変動)が継続している。陸上のGPSデータなどから、岩手県以北では、地震後もゆっくりとした沈降が継続しているのに対し、逆に宮城県から房総半島では隆起していることが判明している。このような余効変動が思わぬ形で海上交通に影響を及ぼす可能性が出てきた。海上保安庁は震災後、被災した港湾を測量し直し海図を改訂したが、宮城県を中心とする地域では、震災後の余効変動による累積隆起量が数十センチに達し、港湾の水深が浅くなってきたのである。講演では、海域と陸域のGPSデータによる3.11の地震とその後の地殻変動について概観するとともに、港湾の海底の変動と海上保安庁の対応について紹介する。 |
5)新しい学術研究船〜新青丸発進! 14時40分-15時10分 |
東京大学大気海洋研究所 沖野 郷子 |
[講演概要]東北地方太平洋沖地震により、津波による破壊・撹乱を受けた生態系の復元と水産資源への影響、放射性物質の広がりとこれにもとづく海洋の物理・化学・生化学および生態学的過程の解明、地震のメカニズムや海底の地殻変動の解明などの多くの研究課題が生じました。これらの新しい研究課題に取り組むため、今年1月に退役した「淡青丸」の後継船として1,600トンの「新青丸」が完成しました。「新青丸」はアジマススラスター2基を装備し、さまざまな観測機器やウィンチを搭載することができます。7~9月にかけての海上試験、10~11月の共同利用委員会による習熟航海を経て、12月から全国共同利用船として発進しする「新青丸」の装備を紹介し、今後の活用について考えます。 |
6)音響およびロボットによる気仙沼湾の海底マッピング 15時30分-16時00分 |
熊本大学沿岸域環境科学教育研究センター 秋元 和實 |
[講演概要]巨大津波が襲来した東日本太平洋沿岸では、港湾の復旧作業、油汚染堆積物の除去対策、養殖漁業の再建に、津波による地形変化、瓦礫拡散、生物相変化の情報が希求されていた。同時に、これらの情報は、津波被害のリスクが高い沿岸域の防災対策強化に向けた学術的基礎資料としても活用できる。海底の状況を短期間に把握するために、音響解析装置とロボットを用いて、気仙沼湾全体の広範囲の調査と、その情報に基づく的を絞って詳しい観測を行った。海底は西湾奥と大島瀬戸の西半分で大きく洗掘されていたが、その海域を除けば、地形変化は地盤沈下に関係していた。津波の引き波によって流入した大型の瓦礫は、気仙沼港、西湾中央部、大島瀬戸に分布し、提供した位置情報に基づいて回収が進められた。生息している生物の種類と個体数は、養殖漁場の管理および天然種苗の確保において有用な情報であった。 |
7) 海底熱水鉱床用遠隔操作採掘試験機の開発 16時00分-16時30分 |
石油天然ガス・金属鉱物資源機構 岡本 信行 |
[講演概要]JOGMECでは平成20年度から経済産業省からの委託を受け、日本周辺海域に存在が確認されている海底熱水鉱床の開発に向け、資源量評価、採鉱技術などの検討を行っている。採鉱技術は、採掘・揚鉱・採鉱浮体の3つの要素技術からなり、このうち、特に、採掘技術については、船上から遠隔操作が可能な2種類の小型の試験機を開発し、平成24年8月及び11月に、JOGMEC所有の海洋資源調査船「白嶺」に搭載し、それぞれ実海域試験を行った。その結果、実際の海底熱水鉱床マウンドを掘削し、また周辺の海底を走行できることに成功したので、今般、その成果について報告する予定である。 |
8)1611年の大津波と伊達政宗の震災対応 16時30分-17時20分 |
東北大学災害科学国際研究所 平川 新 |
[講演概要]1611年(慶長16)、北海道東部から相馬までの広範囲に及ぶ慶長奥州津波が発生した。仙台藩領の沿岸では約1800人が犠牲になったと伝えられる。歴史学の手法で古文書を読み込んだデータを津波工学で解析した結果、マグニチュードは8.5以上ということが分かってきた。古文書を解析するなかで、津波被災地の復興に当時の仙台藩がどのように取り組んでいたのかも判明しつつある。歴史地震・津波に歴史学がアプローチする方法について紹介したい。 |
懇談会:17時30分-19時30分 |
申し込み先: | 東京大学生産技術研究所海中工学国際研究センター 杉松治美 Tel:03-5452-6487, Fax:03-5452-6488 E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp |
申し込み期限: | 10月 4日(金)までにお申し込みください |