2010年11月12日
(社)日本水産学会長 竹内俊郎
アンニョン ハシムニカ!私は、2010及び2011年度の日本水産学会長を仰せつかり、現在、東京海洋大学の副学長をしております。このほどは、韓国水産科学会の総会にお招きいただき誠にありがとうございます。一言ご挨拶させていただきます。
まずは、昨年12月に韓国水産科学会のRyu前会長とともに、学術交流協定を締結できたことは大変素晴らしいことと思っています。これまで以上に日本と韓国の水産学に関する研究活動が活発になることを期待しており、また、現在中国水産学会とも交流協定を交渉中です。 日本は韓国や中国に対して、これまで多大のご迷惑をおかけしてきた歴史がございます。心の傷は戦後65年を経過してもまだまだ癒えていないこととは存じますが、お互いが努力して、新たな時代を作り上げていかなければならないのも事実であります。 韓国と日本は海を介し、つながっております。そこにすむ生物に国境はなく、またその資源も人類の共有財産であります。両国において水産学を研究する日本水産学会並びに韓国水産科学会の各会員は、たがいに良き同志・仲間として水産学発展のために手を携えていこうではありませんか。 本年3月にはLee会長に日本にお越しいただき、今回は私が韓国に参りました。そして、来年3月には日本水産学会の春季大会に合わせ、両学会の合同シンポジウムを計画しております。学術交流協定を機にこれから益々交流を盛んにして行きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、少し、日本水産学会についてご紹介いたします。日本水産学会は1932年に設立され、水産・海洋学分野では最も古い学会です。会員数は4000名弱で、農学系の52団体中第3位の規模を誇っています。現在韓国からの会員数は38名です。私どもは社団法人であり、その目的は、「水産学に関する学理およびその応用の研究についての発表および連絡,知識の交換,情報の提供等を行なう場となることにより,水産学に関する研究の進歩普及を図り,もつて学術の発展に寄与すること」とされております。 具体的な事業の主なものとしては、研究発表会を年2回春と秋に開催するとともに、7つの支部がそれぞれ発表会や講演会を年に1度実施しています。学会誌は、水産学分野におけるわが国唯一の英文総合学術誌としてFisheries Scienceを6冊、和文誌として日本水産学会誌を6冊の計12冊を1年間に刊行しています。学会誌の対象分野は広く、漁具漁法、漁業資源、増養殖、水圏環境、水産物の利用・加工、流通・経済などです。関連学会等との連絡や協力では、国内の水産関連12学会を取りまとめているとともに、近年諸外国との連携を深め、アメリカ水産学会・イギリス島嶼水産学会などと協力し、2008年には世界水産学会議を横浜で開催するなど、世界水産学協議会の一員として水産学を世界に発信しています。
私ども日本水産学会は,関連する産業・行政とも連携しながら明日の人類の繁栄を保証するために水産・海洋に関する科学や技術の進歩と普及に専心努力する所存でおります。どうぞ私どもの学会を理解していただくとともに、末長いお付き合いができますことを心から祈念し、挨拶に代えさせていただきます。