平成27年度日本水産学会理事会特別シンポジウム

タイトル: 「東北の海は今、震災後4年間の研究成果と漁業復興」
主催: 日本水産学会理事会、東北マリンサイエンス拠点形成事業、水産総合研究センター
共催: 日本水産学会東日本大震災復興支援検討委員会、日本水産学会環境保全委員会、日本水産学会災害復興支援拠点、水産海洋科学研究連絡協議会、沿岸環境関連学会連絡協議会、東北大学大学院農学研究科
後援: 文部科学省、環境省、復興庁、水産庁、全国漁業協同組合連合会、大日本水産会、女川町、大槌町、宮城県、岩手県
日時: 平成27年9月21日(月)(日本水産学会秋季大会前日)
場所: 東北大学 農学研究科 第1講義室(雨宮キャンパス)
参加費: 無料(参加登録の必要はありません)
企画責任者: 渡部終五(北里大)・山下 洋(京都大)・木島明博(東北大)・木暮一啓(東京大)・北里 洋(JAMSTEC)・和田時夫(水研センター)
実行委員会: 原 素之・吾妻行雄・大越和加(東北大)・永田 俊(東京大)・藤倉克則・園田 朗(JAMSTEC)・秋山秀樹・神山孝史(東北水研)
趣旨(案):  平成23年3月11日(金)14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに誘起された大津波は、東北地方太平洋沿岸域において、防波堤および防潮堤の崩壊、1m以上にも及ぶ地盤沈下、陸上から家屋等の瓦礫、車両、加工場の原材料、大量のオイルの流出などで海洋環境に大きな変化をもたらした。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染や、漁船および漁具、漁港や増養殖施設の破壊などで、沿岸域の基幹産業である漁業・増養殖業、水産加工業に極めて甚大な被害をもたらした。いわゆる歴史的大災害である「東日本大震災」の大きな部分を漁業関連の被害が占めることとなった。
 東日本大震災は極めて広範囲に及ぶ被害をもたらしたため、震災直後に被害の全体像を把握しての統一的な取組み方が難しく、これまで、ほとんどの水産科学・海洋科学の研究者は個々に、あるいは東北マリンサイエンス拠点形成事業、水産庁などから立ち上がったプロジェクトの中で、被災状況の調査研究と沿岸漁業の復興に向けた研究調査活動を行ってきた。このような活動の中から多くの調査研究成果が生み出されてきたが、震災から4年半が経過した今、その成果を取りまとめて新たな取組みを統合的に行う段階に差しかかっている。
 今回、日本水産学会が被災地の一つである仙台市で学術大会を開催する。上述した活動に携わった研究者の多くが日本水産学会会員であり、また、日本水産学会は東日本大震災の被災地における水産業の復興支援を事業の大きな柱の一つとして活動してきた。そこで、この機に、上述した種々の活動から得られた東日本大震災に関する調査研究成果を集め、近未来における漁業の在り方を議論するシンポジウムを企画した。
 学会会員に限らず、漁業者をはじめ、漁業関連団体、国や地方自治体、一般市民が一堂に会し、これまでの調査研究成果を共有するとともに、共にこれからの東北地方太平洋の沿岸域から沖合域における漁業の在り方や、漁業資源の持続的利用を考える機会となることを期待する。

プログラム案(敬称略)
総合司会:山下 洋(京都大)
09:00-09:20 シンポジウム趣旨説明
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・渡部終五(北里大)・木島明博(東北大)
第一部: 東日本大震災が海洋生態系になにをもたらしたのか −海洋環境・海洋生態系の変化と経過-
     ・・・・・・・・・・座長:山下 洋(京都大)
  09:20-09:40 震災がもたらした瓦礫の動向について
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・藤倉克則・藤原義弘・高橋幸愛(JAMSTEC)
  09:40-10:00 地震と津波がもたらした環境変化と物理プロセス
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・田中 潔・道田 豊(東京大)
  10:00-10:20 地震と津波が栄養塩環境と物質循環プロセスに及ぼした影響
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・永田 俊・福田秀樹(東京大)
  10:20-10:40 震災が及ぼした底質の変化
     ・・・・・・・・・・・・奥村 裕(東北水研)・金子健司(東北大)・鈴木矩晃(宮城県)・太田裕達(宮城水技セ)
  10:40-11:00 震災が及ぼした岩礁域生態系の変化と回復過程
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吾妻行雄・遠藤 光・堀越彩香・青木優和(東北大)
  11:00-11:20 震災が及ぼした干潟・砂浜域生態系の変化と回復過程
     ・・・・・・・・・・大越和加・近藤智彦・占部城太郎・鈴木孝男(東北大)・金谷 弦(国環研)
  11:20-11:40 震災が及ぼしたアマモ場生態系の変化と回復過程
     ・・・・村岡大祐・清水大輔・白藤徳夫(東北水研)・玉置 仁(石巻専修大)・野田 勉(西水研)・濱口昌巳(瀬戸水研)・藤浪祐一郎(西水研)・松本有記雄(東北水研)
  11:40-12:00 東北沿岸域のプランクトン群集に対する津波の影響
     ・・・・・・・・・・・・・西部裕一郎(東京大)・谷内由貴子(東北水研)・立花愛子(海洋大)・
渡辺 剛・神山孝史・桑田 晃(東北水研)・津田 敦(東京大)
12:00-13:00  昼食休憩
第二部: 漁業資源への影響と復興への取り組み
     ・・・・・・・・・・・・・座長:秋山秀樹(東北水研)
  13:00-13:40 魚類資源への影響と回復状況
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・栗田 豊(東北水研)
   13:00-13:20 東日本大震災が底魚資源(ヒラメ・マダラ等)に及ぼした影響
     ・・・・・・・栗田 豊・成松庸二(東北水研)・鈴木貢治(宮城水技セ)・佐久間 徹
(福島水試)・益子 剛(茨城水試)・後藤友明(岩手水技セ)
   13:20-13:30 シロサケ資源への影響と回復状況、復興への取り組み
     ・・・兵藤 晋・野畑重教・北川貴士・青山 潤(東京大)・佐々木 系(東北水研)
   13:30-13:40 東日本大震災が三陸地域のアユ資源に及ぼした影響
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・大竹二雄・川上達也・畑 正好(東京大)・武島弘彦(地球研)
  13:40-14:10 無脊椎動物資源への影響と回復状況
     ・・・・・・・・・・・・・・河村知彦(東京大)
   13:40-13:55 エゾアワビ・ウニ類
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・河村知彦(東京大)・高見秀輝(東北水研)・早川 淳(東京大)
   13:55-14:10 二枚貝類資源への影響とその回復方策
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・佐々木浩一・伊藤絹子・庄子充広(東北大)・大越健嗣(東邦大)
   14:10-14:30 魚介類遺伝資源への影響と今後について
     ・・・・・・・池田 実・菅野愛美・峰岸有紀・安藤大樹・木島明博(東北大)・平瀬祥太朗(東京大)・奥村誠一・森山俊介・足立賢太(北里大)・河田雅圭・須田亜弥子(東北大)・大類穂子・瀧下清貴・藤倉克則(JAMSTEC)
  14:30-14:45 休憩
   14:45-16:15 養殖業への影響と復興状況
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・神山孝史(東北水研)
   14:45-15:00 復興に向けたカキ養殖のための環境収容力推定と新しい養殖生産の実証研究
     ・・・・神山孝史(東北水研)・加賀克昌・内記公明・加賀新之助・山口 仁(岩手水技セ)・押野明夫・山内洋幸・伊藤 博(宮城水技セ)
  15:00-15:15 ホタテガイ養殖における環境収容力と二枚貝類の人工種苗生産技術の展望
       ・・・・尾定 誠・長澤一衛・高橋大介(東北大)・伊藤直樹(東京大)・高橋計介(東北大)
  15:15-15:30 ワカメ養殖業では問題が山積み〜原因解明と対策技術開発に関する研究
     ・・・・・・・・・遠藤 光・高橋大介(東北大)・佐藤陽一(理研食品)・奥村 裕(東北水研)・永田 俊(東京大)・吾妻行雄(東北大)
  15:30-15:45 ギンザケ養殖における震災被害とその後の取り組み
     ・・・・・・・黒川忠英・佐々木 系(東北水研)・栗田 潤(増養殖研)・菊池 潔(東京大)・永島 宏(宮城水技セ)・戸川富喜(ニチモウ)・濱田英嗣(下関市大)・ 町口裕二(北水研)
  15:45-16:00 ホヤ養殖復興のスピード化に向けた調査研究の取り組み
     ・・・・・・・・・・・・・・・・原 素之(東北大)・佐々木 良(JFみやぎ)・金子健司(東北大)
・松浦 良(宮城水技セ)・古殿太郎(いであ)
  16:00-16:15 東日本大震災大津波が岩手県大船渡湾における麻痺性貝毒原因渦鞭毛藻の発生・増殖に与えた影響
     ・・・・・・緒方武比古・池田有里(北里大)・加賀新之助・内記公明・加賀克昌(岩手水技セ)・小檜山篤志・山田雄一郎・(北里大)・松岡數充(長崎大)
 16:15-16:30  休憩
第三部 総合討論
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・座長:大越和加(東北大)
16:30-17:30 東日本大震災からの復興に向けて
     ・・・・・パネリスト:渡部終五(北里大)・秋山秀樹(東北水研)・木島明博(東北大)
・佐久間 修(岩手水技セ)・酒井敬一(宮城水技セ)・尾形康夫(福島水試)
17:30-17:40 閉会挨拶
     ・・・ 和田時夫(水研センター)
問い合わせ先
 〒981-8555 宮城県仙台市青葉区堤通雨宮町1-1
 東北大学農学研究科内 東北マリンサイエンス復興支援室
 日本水産学会特別シンポジウム係
 e-mail:agr-marin@bureau.tohoku.ac.jp