第48回海中海底工学フォーラム
プログラム

日 時 2011年10月14日(金)
第 48回海中海底工学フォーラム
東京大学柏キャンパス見学会:11時〜
研究会:13時〜17時
IEEE/OES Japan Chapter Young Award2011授賞式17時〜17時20分
懇談会:17時30分〜20時
場 所 東京大学大気海洋研究所講堂
〒277-8564 柏市柏の葉5-1-5 電話:04-7136-6011(総務課国際・研究推進チーム)
地 図 http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/about/j/map.html参照
参加費 見学会および研究会:無料
懇談会(郵便振替振込み):3000円(30才未満および70才以上無料)
振込先:郵便振替:口座番号00150-8-354229、口座名:海中海底工学フォーラム
主 催 海中海底工学フォーラム運営委員会
共 催 (財)生産技術研究奨励会
協 賛 日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会
(社)土木学会*、(社)日本水産学会、IEEE/OES日本支部、
MTS日本支部, 東京大学海洋アライアンス
*「土木学会認定CPDプログラム」

東京大学柏キャンパス見学会:11時~(約45分程度)
 11時:物性研究所玄関集合(宇宙線研または物性研見学)
    見学会修了後、研究会まで自由行動
 
研究会:13時-17時
1) 挨拶 -何故、今回の大震災時当初、カメラロボは出動しなかったか-
13時00分-13時10分
東京大学生産技術研究所 浦  環
 
2)超高速遺伝子配列解読技術とバイオインフォマティクス
13時10分-13時40分
東京大学海洋研究所 岩崎 渉
[講演概要]近年、遺伝子配列解読技術は著しい進歩を続けている。この10年間で、1度に解読できる遺伝子配列の量は1,000,000,000,000倍へ、また1文字あたりの解読コストは10,000分の1へと、爆発的な高速化と低コスト化がそれぞれ達成された。これは、コンピュータ技術が急速に進歩することを表す著名な経験則である「ムーアの法則」をも大幅に上回るペースである。今世紀初頭のヒトゲノム(全遺伝子)配列の解読には遺伝子配列をコンピュータを用いて解析するバイオインフォマティクス(情報生命科学)が大きく貢献したが、これらの技術革新の下、バイオインフォマティクスは今日では幅広く生命現象の探求に不可欠な学問・技術としてより大きな注目を集めている。本講演では、遺伝子配列解読技術とバイオインフォマティクスの最新動向について紹介する。
 
3)海産生物と放射能
13時40分-14時20分
(財)海洋生物環境研究所 御園生 淳
[講演概要]137Csは核分裂生成物として90Srと並んで注目すべき核種です。それは核分裂収率が高いこと、物理的半減期が長いことによります。このため、核爆発実験に起因する放射性降下物による全地球的汚染の主役となりました。測定のしにくい90Srに比べて、測定のしやすい137Csについては環境中での分布、生体への取り込み・蓄積・排出などの調査・実験研究が多く、知見も蓄積されています。海洋生物環境研究所が1983年度から行って来た調査結果を中心に海産生物と放射能(主として137Cs)の関係についてお話します。
 
4) 沿岸域における土砂移動
14時20分-15時00分
(独)港湾空港技術研究所 栗山 善昭
[講演概要]本講演では,水深約30mから岸までの沿岸域における土砂の移動について述べる。水深が50mよりも大きい領域では、底面の底質は波浪のみによってはほとんど移動しない。しかしながら、水深が30m程度よりも小さくなると、波浪の影響が底面に到達するようになり、底質は底面を転がるように、あるいは底面に沿うように移動し始める。水深が小さくなるとやがて砂れんと呼ばれるなだらかな凹凸が形成されるようになり、底質は砂れんの周りを浮遊して移動し始める。水深がさらに小さくなると、底面に作用する波のせん断力が大きくなることによって砂れんが消滅し、底質は底面近傍を高濃度状態で移動する。やがて、波が砕けると(砕波と呼ばれる)、砕波によって生じた乱れなどによって大量の底質が浮遊し、流れによって運ばれる。
 
5)海域調査から明らかになった海底及び海底下の変動
15時20分-16時00分
海洋研究開発機構  小平 秀一
[講演概要]海洋研究開発機構では、地震発生直後から震源域において地震波反射法構造調査と地形調査を行い,一部測線では地震前の地形、地下構造との比較を行った。本震付近を通る測線では、過去の調査と比較の結果、海溝底西側に新しい堆積物が見られ海底地滑りと推定された。加えて、海溝海側斜面全体が南東〜東南東方向に約50m移動し、上方に約10m移動したことが明らかにされ、宮城県沖では、変動が海溝軸まで及んだことを示した。また宮城県沖海溝軸付近では、東西方向ばかりではなく南北方向にも構造不均質性が極めて強く、浅部では正断層が発達している。今後、津波波源域の詳細構造とその変化に関する解析を行い、日本海溝域超巨大地震発生のメカニズム解明を進める予定である。
 
6)大震災における海底ケーブル故障発生状況について
16時00分-16時20分
NTT-WEマリン(株)舩越 博
[講演概要]3月11日、東日本大震災により、茨城から房総沖で、12か所以上の国際通信用海底ケーブルの故障が発生した。これらの故障は、マグニチュード9.0の後、3月11日から12日に、順次発生し、震源地からは200km以上離れていた。修理には、最大4隻の敷設船が投入され、放射能対策もあったため、主要な修理が完了したのが、8月4日であったが、保守体制の違い、他故障の優先等により、実際は、残り一つのケーブルが未修理の状況である。故障発生状況として、地震発生直後、陸揚局にて、給電電圧低下のアラームが出て、その後さらに給電電圧が減少し、最終的にファイバ断線による信号途絶が発生した。これらの故障位置は、故障発生時に測定された故障位置(陸揚げ局からの距離)で、ケーブル長から逆算して推定した位置である。全体に埋設されていない区間であり、水深2000m以上6800mまでの広範囲で多様な水深に分布しており、台湾沖地震のような、一つの谷筋ではないことは、海底地形図と位置関係を分析して判明した。これらは、同じ傾斜地に関連した単一あるいは数個が浅いほうから、深い方へと順次発生したと推定される。また、8月11日と12日に分かれて発生しており、12日のものは余震の影響により発生したと推定される。修理にあたり、故障点が100km以上の区間に点在するケーブルもあったため、回収可能なケーブル、中継器を数回に分けて回収し、これらの再用可能なケーブル及び予備ケーブル、回収した中継器等と再接続、構成し、現場で両端を接続し、修理を完了したものもある。今回の発表では、発生状況、修理状況及び原因分析等の詳細を発表します。
 
7)最新鋭の音響機器による港湾施設破壊状況報告
16時20分-16時40分
(株)パスコ 小関 真征・加賀 爲孝・福冨 庸介
[講演概要]3月11日に起こった東日本大震災における津波の影響は甚大なものでした。八戸港では八太郎地区北防波堤が大きく破壊され、港湾機能に影響をおよぼす恐れがありました。この破壊状況を確認するため、最新鋭の音響測深機マルチビームseabat8125を使用し、震災後の海面下における北防波堤の破壊状況を調査しました。計測データを3次元地形モデルとして処理し、ケーソンおよび基礎工の破壊状況を、GISソフトウェア「ArcGIS」を使用し、視覚的に且つ詳細に確認することを行いました。
 
8)岩手県山田湾と宮城県石巻湾におけるマルチビーム音響測深機を使った養殖いかだ等のがれき解析法
16時40分-17時00分
東京大学生産技術研究所 浅田 昭
[講演概要]東北地震津波により岩手県山田湾と宮城県石巻湾には養殖いかだ等ががれきとして海底に多数存在する。水産庁は(独)水産総合研究センター 水産工学研究所に委託し、養殖業の再生に向けがれきの回収を行うため、海底のがれき調査を実施した。これまで、マルチビーム音響測深機、サイドスキャンソーナーは沈船調査、墜落飛行機等の調査に使われてきたが、津波によってもたらされたこれほど大量の漁具類の調査は前例が無い。回収作業には、正確な位置、水深、がれきの種類、大きさ、高さ、連結状況を把握する可視化画像、などの分かりやすい情報が必要とされる。このため、今後のがれき回収作業に有用となる全く新しいマルチビーム音響測深情報の解析ソフトウエアを開発提供し、養殖いかだ、漁船、漁網、アンカーブロック、係留ロープ、車両等のがれき情報整理に活用する。
 
平成23年度IEEE-OES Japan Young Researcher Award 2011 授賞式
17時00分-17時20分
司会 IEEE-OES Japan Chapter Chair  高木 健
同Young Researcher Award 幹事 林昌奎
本フォーラム協賛学会であるIEEE-OES Japan Chapterでは、平成21年度より、将来の海洋研究を担う研究者の育成を目指して、若手研究者による当該年度海洋関連国際学会での優秀発表論文を表彰しております。栄えある第三回目のYoung Researcher Award 2011の受賞式を、本フォーラム研究会終了後におこないます。
 
懇談会:17時30分-20時00分
大気海洋研究所ロビー
 
申し込み先:東京大学生産技術研究所海中工学国際研究センター浦研究室 杉松治美
Tel:03-5452-6487 Fax:03-5452-6488  E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp