第16回ジョイントシンポジウム

英虞湾の環境再生プロジェクト
〜 地域連携型の研究開発事業は環境問題を解決できるか? 〜

主催: 沿岸環境関連学会連絡協議会
独立行政法人科学技術振興機構
三重県
財団法人三重県産業支援センター
月日: 平成19年1月13日(土)10:00〜17:30(意見交換会18:00-19:00)
場所: 日本大学理工学部1号館6階CSTホール(東京都千代田区神田駿河台1−8−14)
開催趣旨: 真珠養殖発祥の地として110年の歴史を持つ英虞湾は,海底のヘドロ化,有害赤潮,感染症などの様々な環境問題に悩まされ続け,真珠養殖の売上高がピーク時の1/10に落ち込んだ状態が続いている.このような状況を受けて,三重県は,科学技術振興機構の公募型研究事業に三重県地域結集型共同研究事業(閉鎖性海域の環境創造プロジェクト)を応募し,2002年12月に採択され,5年間で約25億円の研究費を投入する大規模研究プロジェクトを進めている.
本プロジェクトは,地域連携と問題解決をキーワードとして,地域の大学,企業,研究機関に加えて地域団体や漁業者などが連携した研究開発を推進していることに特色があり,リアルタイム観測システム,総合的な現地観測,環境動態シミュレーションを駆使した英虞湾の汚濁機構や物質循環に関する基礎研究の成果にもとづいて,環境予測システム,浚渫ヘドロを用いた干潟造成技術,漁業者が実施可能なアマモ造成技術,浚渫ヘドロを瞬時に固化できる底泥処理技術などの実効性のある技術が生まれている.
しかしながら,本プロジェクトをはじめ様々な研究事業が実施されているにも関わらず,未だ英虞湾の環境回復の兆しは見えず,地域の主力産業である真珠養殖業の低迷が続いている.研究開発を目的とした本プロジェクトから生まれた様々な研究成果は,地域の環境行政や真珠養殖業,環境教育のあり方などの個々の局面においては多大な影響を与えてきた.しかし,英虞湾再生の全体計画像や地域の主力産業である真珠養殖業の将来像を提示し,実現性のある問題解決型の事業を始動させるには,研究者,行政,地域がさらに強固に連携し,地域全体の合意形成に向けた取り組みを行う必要がある.このような観点から,英虞湾を取り巻く5町が合併して誕生した志摩市では,英虞湾の環境再生を目的とした自然再生協議会の設立準備を進めており,英虞湾再生に向けた新たな展開が進みつつある.
本ジョイントシンポジウムでは,英虞湾の研究プロジェクトの成果や地域の取り組みの実態について幅広い視点から総合的に分析し,問題解決に資する研究開発事業のあり方,すなわち,研究成果をいかに実際の環境再生に結びつけるかという研究成果の展開戦略について議論し,英虞湾のみならず,今後の我が国の水域環境の再生方法を探る.
プログラム:
開会の挨拶ならびに趣旨説明(10:00-10:15)

(財)三重県産業支援センター 新技術エージェント 広島大名誉教授 松田 治(10分)

(独法)科学技術振興機構 審議役 小原満穂 (5分)

Part1:「地域連携型の研究事業」(10:15-12:00)

司会 大成建設M技術センター 上野成三

@英虞湾再生プロジェクトの狙い ー地域連携,問題解決,ビジネス創生―

(財)三重県産業支援センター 研究統括 三重大学名誉教授 加藤忠哉(20分+討議5分)

A環境モニタリングシステムによる環境問題解決への貢献

四日市大学環境情報学部 教授 千葉 賢(25分+討議5分)

B真珠養殖が抱える英虞湾の環境インパクト

三重県科学技術振興センター 研究員 渥美貴史(20分+討議5分)

C地域の小学校が展開する環境教育

三重県科学技術振興センター 研究員 奥村宏征(20分+討議5分)

― 昼食(12:00〜13:00)―

Part2:「問題解決型の研究成果」(13:00-15:05)

司会 三重県科学技術振興センター 総括研究員 山形陽一

@干潟造成技術

三重県科学技術振興センター 研究員 国分秀樹(20分+討議5分)

Aアマモ場造成技術

三重大学生物資源学部 教授 前川行幸(20分+討議5分)

B底泥処理技術

(財)三重県産業支援センター 雇用研究員 今井大蔵(20分+討議5分)

C海水導入による沿岸未利用域の再生技術

大成建設M技術センター 研究員 高山百合子(20分+討議5分)

D英虞湾物質循環マップから判定した各技術の環境再生効果

四日市大学環境情報学部 教授 千葉 賢(20分+討議5分)

― 休憩(15:05〜15:20)―

Part3:総合討論「英虞湾の環境問題は解決できるか?」(15:20-17:30)

司会 大成建設M技術センター 上野成三

話題提供
@英虞湾プロジェクトに対する国際・国内会議の評価

(財)三重県産業支援センター 松田 治(10分)

A沖縄・石西礁湖の自然再生プロジェクト

環境省 川越久史(20分)

B英虞湾の地域行政の取り組み

志摩市長 竹内千尋(5分)

C英虞湾の漁業者,地域住民の取り組み

英虞湾再生コンソーシアム 代表 原条誠也(5分)

総合討論(90分)

コメンテーター:灘岡和夫,清野聡子,川越久史,加藤忠哉、松田治、竹内千尋、原条誠也

閉会の挨拶と総括

東京工業大学 教授 灘岡和夫

意見交換会(18:00-19:00)

申し込み・問い合わせ先
 申込書に氏名,所属機関,役職,TEL,FAX,Emailをご記入の上,以下へ申し込み下さい.
シンポジウム,意見交換会(交流会)の参加を明記願います.
なお,参加費はシンポジウム1,000円,意見交換会2,000円です(当日支払い).

〒514-0004 三重県津市栄町1丁目891
財団法人三重県産業支援センター 地域結集型共同研究推進チーム(黒川,小野)
TEL 059-228-3376
FAX 059-228-3173
E-mail chiiki@miesc.or.jp