第35回海中海底工学フォーラム
プログラム

日 時2005年4月22日(金)
研究会:13時〜17時30分
懇親会:17時30分〜19時30分
場 所東京大学数理科学研究科大講義室(駒場第1キャンパス)
〒153-8914 目黒区駒場3-8-1  電話:03-5465-7014
地 図http://www.u-tokyo.ac.jp/jpn/campus/map/map02/f01-j.html参照
参加費研究会:無料
懇親会:3000円(30才未満および70才以上無料)
主 催海中海底工学フォーラム運営委員会
協 賛(社)日本船舶海洋工学会、海洋調査技術学会、海洋音響学会
(社)土木学会*、(社)日本水産学会、IEEE/OES日本支部、
MTS日本支部、(財)生産技術研究奨励会、
21世紀COEプログラム「機械システム・イノベーション」
*「土木学会認定CPDプログラム」
1)挨拶
東京大学生産技術研究所 浦  環
2)「なつしま」によるスマトラ沖海底地形探査速報
13時10分-13時50分 
(独)海洋研究開発機構 徐  亘
[講演概要]スマトラ沖地震の震源地周辺の海底調査を目的として、JAMSTECの研究船「なつしま」が2005年2月2日に鹿児島湾を出港した。2月18日にはス マトラ島沖の調査海域に到着し、同日からマルチナロービームによる海底地形の調査を開始、22日にはROV「ハイパードルフィン」を使った震源域海底の潜航調査で、スマトラ地震の際に生じた急竣な地形とその地形による崩落や地滑り痕を発見した。この第一次航海では、調査海域の最北端に海底地震計を投入設置している。第二次航海でもエアガンを用いた地質探査やROV「ハイパードルフィン」による調査,そしてこの海底地震計の回収をおこない,3月下旬に現地での調査を終了する。本講演では、最新の現地調査速報をお届けする。
3)押しよせる津波をイメージする−海域での津波対策に向けて−
14時00分-14時15分 
海上保安庁 矢吹 哲一朗
[講演概要]東南海・南海地震等の海溝型地震で発生する津波について、想定される断層モデルを用い、港や小さな湾の中の津波の詳細なシミュレーションを行い、予想される海水の動きを動画(アニメーション)でわかりやすく表現した。津波が、何波にもわたって襲来する様子や、複雑な形状の湾で、場所により津波の高さや流速が大きく異なる様子を詳しく見ることができる。港湾で、船舶等がどのように津波の影響を受けるか、どう避難すべきか等、地震発生後の対応行動を検討するのに大きく役立つものと期待される。
4)レーザー光で海底を探る−浅海域の詳細な地形調査−
14時15分-14時30分 
海上保安庁 矢吹 哲一朗
[講演概要]海岸線付近や珊瑚礁などの浅海の海底地形は、効率的な調査方法がなかったために、これまで、十分なデータがなかった。最近、海上保安庁は、航空機からレーザーを用いて海底を測量する手法を導入した。この方法では、海水の透明度に依存するものの、水深およそ50mまでの海底の地形をレーザー光線で詳しく明らかにできるもので、測量船に比べ効率よく調査が可能である。今後、浅海の効率的な測量を行い、測深(海底地形)データを充実させることにより、津波のシミュレーションの精密化等、様々な面での活躍が期待される。
5)トライドッグ1号による釜石防波堤の完全自律観測
14時30分-14時50分 
東京海洋大学 近藤 逸人
[講演概要]自律型水中ロボットは、海洋調査のための機動力あるプラットフォームとして期待されている。東京大学生産技術研究所、東京海洋大学、港湾空港技術研究所の3者は2002年より共同で、小型のテストベッドロボットである「トライドッグ1号」を釜石湾口防波堤に展開し、港湾施設を自動観測するシステムの構築に向けた研究開発に取り組んできた。昨年は、2004年10月18日より20日まで、釜石湾の湾口にある南防波堤の基部、深度約20mにロボットを潜航させ、全自動にて航行、搭載しているビデオカメラなどにより、ケーソン表面、捨て石マウンド上部や根固めブロック上部の詳細な観測に成功した。自律型水中ロボットが、実海域の人工構造物を全自動で観測したこととしては世界初の成果となった。本講演では、このオペレーションの概要と技術的内容について紹介する。
6)海のフロンティアを目指して−新探査船の使命−
15時00分-15時30分 
東京大学海洋研究所 徳山 英一
[講演概要]海洋は人類に残された最後の共有財産です。一方、周囲を海に囲まれた日本は世界第6位の排他的経済水域を有しています。このことは、我が国は広大な排他的経済水域の管理を人類から付託されていると考えます。海洋の管理をするにあたり、その基盤となるのはまず海を知ることです。海を正しく知ることなくして、海と共存しつつ海を利用することは不可能です。海を知るためには海洋探査船が不可欠です。例えば、近未来に世界的なエネルギー、鉱物資源の不足が予想され、深海に眠る新たな石油・鉱物資源鉱床の開発は、我が国のみならず地球規模の重大な問題です。このような開発には、3次元海底地殻構造探査可能な物理探査船が必要です。また、南海トラフ域で近い将来に発生が危惧される巨大地震発生時期とその規模の推定、予想される被害等を予測し、巨大地震に備え適切に対応するプランの作成には、地震発生帯をイメージング可能な先端的物理探査船や、地殻変動をモニターする各種センサーを設置する特殊海底作業を可能とする探査船が不可欠です。このような状況の下、平成17年度から新海洋探査船の建造が開始されます。新海洋探査船建造を契機に、海洋探査のフロントランナーとして我が国が世界を指導することが期待されます。また、我が国独自の建造および運用に伴い開発される様々な先端的技術の蓄積は、我が国の有形無形の財産となり、国際力事業においても大きく貢献するものと考えます。
7)東シナ海の形成史
15時30分-16時00分 
琉球大学 木村 政昭
[講演概要]東シナ海の海底は、東海大陸棚と沖縄トラフそして琉球海嶺という大地形に分かれる。広大な大陸棚の下には、中生代以降の堆積盆が発達している。それが、大局的に見れば、大陸棚の西側から東側に形成されてきて、現在できつつある最新の堆積盆が沖縄トラフである。大陸棚中の堆積盆は、石油・天然ガスの貯留層となる可能性が指摘され、一部は確認された。古代三紀には、沖縄トラフから琉球弧にかけて広範な隆起があり、琉球弧では古代三紀後期の地層が欠如しているようにみえる。200万年ほど前には、東海大陸棚は干上がり琉球弧まで陸化し、このころ大陸から生物の渡来があったと推定される。これ以降、琉球弧は断続的にではあるが、大陸と海域で隔てられ、島嶼が形成されて今日に至っている。
8)深海調査技術に関する最新中国事情
16時00分-16時20分 
(社)日本深海技術協会 徳永 三伍
[講演概要]中国は一昨年「神舟5号」の打上げに成功、世界3番目の有人宇宙衛星技術を持つ国となった自信から、深海技術においても世界を制覇すべきことを切望している。昨秋からの報道によると、2006年までに青島市に中国深海潜水基地を設置し、深海有人潜水船HOV、深海有索無人潜水機ROVおよび深海無索無人潜水機AUVを配備するとともに、深海科学技術研究所・海洋研究大学を設置し、世界的深海研究センターとする、と喧伝している。
6000m級AUVは既に開発済みで運用中。昨年3500m級ROVの開発に続き6000m級も開発中との情報もある。さらに7000m級HOVを2006年に開発、同年中に運用すると報じている。海洋国土と資源保全の必要性から、従来先進諸国、特に日本による深海底情報の独占を排除し、中国が海洋強国となることを強調している。これら深海調査技術の最新中国事情について、インターネットなどからの情報を紹介する。
9)座談会 資源探査船計画に期待するもの
16時20分-17時00分
司会 浦  環
10)北極海・氷の下4500kmを走り抜こう!
17時00分-17時30分 
日本海洋事業(株) 高川 真一
[講演概要]北極海が地球環境に及ぼす影響についてAUVを用いて研究する話は以前からいろいろなことが議論されている。しかし実際には研究はなかなか進んでいない。この研究をまず一歩進めるために、どのようなAUVにすればこの長距離航走能力が得られるか、いろいろな意見を出し合う必要がある。そのたたき台としてAUVのモデルを提案する。特徴は:1.なくなっても経済的損失が致命傷にならないよう、できるだけ安価で、サイズも小さくする。直径は25cm程度が目標、あまり高度な知能レベルは求めない。2.エネルギー源は燃料ならびに酸化剤とも、扱いやすさと柔軟性を考えて常温で液体のものを用いる。具体的には酸化剤は過酸化水素、燃料はメチルアルコールまたはエチルアルコール。生成物は海中に排出する。燃料/酸化剤は長くない均圧円筒タンクに入れて列車のように必要数連結して曳航する。→ 海蛇型。3.エンジンは未定。メチルアルコール式燃料電池、スターリングエンジンが候補。内燃機関は難しそう。熱電発電も併用。会場から、さまざまな意見をいただきたい。
11)懇親会
17時30分-19時30分
申し込み先: 東京大学生産技術研究所海中工学研究センター浦研究室 杉松 治美
Tel:03-5452-6487 Fax:03-5452-6488 E-mail:harumis@iis.u-tokyo.ac.jp