松本才絵,淡路雅彦,日向野純也,長谷川夏樹, 山本敏博,柴田玲奈(水研セ増養殖研), 秦 安史,櫻井 泉(道中央水試), 宮脇 大,平井 玲(愛知水試), 程川和宏,羽生和弘(三重水研), 生嶋 登,内川純一(熊本水研セ), 張 成年(水研セ中央水研) |
組織観察によるアサリの生殖腺の発達状況及び肥満度の季節変化に関する調査を北海道,関東,中部,九州の 6 地点で 2010 年 4 月から 2012 年 11 月に行った。アサリは 1 個体中に 2 つ以上の発達段階が観察される場合が多かったので,生殖腺の発達段階は観察された各段階の頻度で評価した。組織観察の結果北海道では産卵期は夏であり,一方他の地点では春に産卵が始まり秋まで続き,盛期は春と秋の 2 回であった。肥満度の最大と最小は北海道でそれぞれ 2010 年 8 月と 10 月,その他の地点ではそれぞれ 2011 年 4 月と 12 月であった。
倉島 彰,石川達也(三重大院生資), 竹内大介(尾鷲市役所),岩尾豊紀(鳥羽市水研), 前川行幸(三重大院生資) |
三重県早田浦の磯焼け海域で 2009 年 12 月から 2012 年 12 月にガンガゼ類の除去実験を行った。ガンガゼは船上採捕およびダイバーにより除去した。磯焼け海域にガンガゼ密度の異なる 3 つの実験区を設け,3 ヶ月ごとにガンガゼ密度,海藻の種と被度を記録した。期間中に 119557 個体を除去した結果,いずれの実験区でもガンガゼ密度が減少し,海藻被度が増加した。海藻被度はガンガゼ密度が 2 個体/m2 未満になると増加した。
羽生和弘,宮本敦史(三重水研), 中井敏博(広大院生物圏) |
非定型 Edwardsiella tarda でマダイを浸漬攻撃し,攻撃 30 日後の生残魚における魚体内菌濃度を調べた結果,血中菌濃度は検出限界未満(<101.0 CFU/mL)であったが,腎臓からは 107.1-7.8 CFU/g の菌が検出された。この生残魚の腎臓には肉芽腫が顕著に認められ,蛍光抗体法により E. tarda 抗原は肉芽腫内の細胞にのみ認められた。このように本症生残魚の肉芽腫には高濃度の生菌が残存したが,白金耳による菌分離率は 29-35% と低かった。
淡路雅彦(水研セ増養殖研),山本貴志(ミキモト真珠研), 柿沼 誠(三重大院生資),永井清仁(ミキモト真珠研), 渡部終五(北里大海洋) |
アコヤガイ外套膜から分離した外面上皮細胞(上皮細胞)の移植による真珠形成法を検討した。また貝殻真珠層黄色度が異なる個体から得た上皮細胞を混合して移植し,形成される真珠の黄色度を観察した。その結果,事前に移植した真珠核周囲に上皮細胞を注射するよりも,真珠核にあけた小穴に上皮細胞を入れて移植する方が少ない移植細胞数で真珠形成が進み,約 1 万細胞/真珠核の移植で真珠核挿入貝の約 70% が真珠層真珠を形成した。貝殻真珠層黄色度が異なる個体から得た上皮細胞の混合移植では,混合比に応じて真珠の黄色度が変化した。
道川慧太(京大院農),渡邉哲弘(京大院農), 豊原容子(京都華頂大),佐藤敦政(アース株式会社), 豊原治彦(京大院農) |
琵琶湖周辺で食用とされているイシガイ科の二枚貝であるタテボシガイの貝殻の有効利用を目的として,金属吸着凝集材の開発を試みた。貝殻粉末の鉛,六価クロム,ヒ素に対する吸着能を調べたところ,鉛に対して特に高い吸着能を示した。鉛に対する吸着能は,ホタテガイ,マガキ及びアコヤガイの貝殻粉末でも認められた。タテボシガイ貝殻を焼成することによって表面の多孔質化とカルサイト化が認められ,鉛に対する吸着能の向上が確認された。貝殻粉末に少量のポリマーを添加することで,吸着能に加え凝集能を付与することに成功した。
矢田雄也(京大院農), 石田貴之,久保田光俊(日水中研), 増田太郎,豊原治彦(京大院農) |
水産ねり製品のゲル形成に及ぼす疎水性結合の関与を明らかにする目的で,サーマルシフトアッセイを用いて,各種魚肉のアクトミオシン熱変性過程における疎水性構造の形成を調べた。その結果,魚種に関わらず 58℃ 付近で疎水性部位の露出が起こること,及び疎水性部位の露出には水素結合やジスルフィド結合などの種々の結合が関与していることが明らかになった。本研究結果は,サーマルシフトアッセイが,水産ねり製品のゲル形成過程における疎水性結合の形成を知るうえで有効な方法であることを初めて示すものである。
寺沢なお子(金沢大人間科学), 棟田裕一,高橋義宣(マルハニチロ(株)), 小尾麻菜(金沢大地域創造), 椎名康彦(マルハニチロ(株)) |
棗田孝晴(千科大危機管理), 井口恵一朗(長大院水産・環境科学) |
虎尾 充,宮本真人,實吉隼人,小林美樹(道さけます内水試) |
浮上後 10 日目(尾叉長 35 mm)から 58 日目(54 mm)までの飼育条件下のサケ稚魚の群れ行動を頭位交角(SA)と個体間距離(NND)を指標として検討し,野生魚(40 mm, 52 mm)とも比較した。SA は 48.5-59.2°の範囲にあり浮上後から高い斉一性を示し,成長に伴う変化はみられなかった。NND は体長 50 mm まで体長比 0.5-0.7 であったが,体長 50 mm 以上になると 0.9 へと有意に拡大した。これは飼育魚・野生魚とも同様であった。サケ稚魚の群れ行動への飼育による顕著な影響は認められなかった。