(目 的)
第 1 条 | 本規程は,公益社団法人 日本水産学会(以下,「学会」という。)におけるリスク管理に関して必要な事項を定め,リスクの防止及び学会の損失の最小化を図ることを目的とする。 |
(定 義)
第 2 条 | 本規程において「リスク」とは,学会に物理的,経済的もしくは信用上の損失又は不利益を生じさせるすべての可能性を指すものとし,「具体的リスク」とは,リスクが具現化した以下の事象などを指すものとする。 |
(1) | セクシュアル・ハラスメント及びパワー・ハラスメントに起因する問題が生じた場合 |
(2) | 職員又は会員が故意又は重大な過失により,学会に重大な損害を与える事態が発生した場合 |
(3) | 学会の活動により,研究者の倫理に関わる問題,個人の権利又は名誉を著しく侵害する事態が発生した場合 |
(4) | 不適切な公益活動や欠陥のある情報の提供等により,学会のイメージが低下した場合 |
(5) | 外部からの不法な攻撃等を受けた場合 |
(リスクに関する措置)
第 3 条 | 学会の役員及び職員は,具体的リスクを積極的に予見し,適切に評価するとともに,学会にとって最小のコストで最良の結果が得られるよう,そのリスクの回避,軽減,その他必要な措置を講じなければならない。 |
2 | 学会の役員及び職員は,業務上の意志決定を求めるにあたっては,決裁者に対して当該業務において予見される具体的リスクを進んで明らかにするとともに,これを処理するための措置について具申しなければならない。 |
(具体的リスク発生時の対応)
第 4 条 | 学会の役員及び職員は,具体的リスクが発生した場合には,これに伴い生じる学会の損失又は不利益を最小化するため,必要と認められる範囲内の初期対応を十分な注意を持って行う。 |
2 | 具体的リスク発生後,速やかに決裁者に必要な報告をするとともに,その後の処理については関係者と協議を行い,決裁者の指示に従う。 |
(苦情等への対応窓口)
第 5 条 | 事務局職員からの苦情・異議は総務担当理事が,会員からの苦情・異議は各支部担当理事又は各委員会担当理事が,それぞれ受け付けるものとする。 |
(苦情等への対応)
第 6 条 | 前条の苦情・異議を受けつけた理事は,それらが重大な具体的リスクにつながるおそれがあることを意識し,直ちに会長に報告し,指示を受ける。 |
2 | 受け付けた苦情・異議について,会長は学会が受ける損失又は不利益の程度を判断し,副会長・総務担当理事及び総務幹事と協議して,必要な対応案を策定するものとする。その際,必要に応じて,相談者から事情を聴取し,事実関係の確認を行う。 |
3 | 受け付けた苦情・異議への対応は,前項で策定された対応案について,理事会の審議を経て行う。 |
4 | 会長は理事会における決定は文書をもって相談者に通知するとともに,苦情・異議への処理を行う。 |
5 | 会長は,前項で決議された苦情・異議への処理が完了した場合には,処理の経過及び結果について理事会に報告しなければならない。 |
(調査委員会の設置)
第 7 条 | 会長は,受け付けた苦情・異議への対応方針を決定するにあたり,重大な具体的リスクにつながるおそれがあると判断される場合には,調査委員会を設置し,苦情・異議に係る調査を行うとともに対応策の策定を諮問することができる。 |
2 | 調査委員会は3名以上の委員をもって組織する。ただし,当該苦情相談を担当する相談員及び当該苦情相談の当事者との間において利害関係がある者は,委員になることができない。 |
3 | 調査委員会に委員長を置き,委員の互選により選任する。 |
4 | 委員長は,調査委員会を招集し,その議長となる。 |
5 | 委員長に事故があるときは,あらかじめ委員長の指名する委員が,その職務を代理する。 |
6 | 委員会は,必要に応じて委員以外の者の出席を求め,意見を聴くことができる。 |
7 | 会長は,事案の緊急性によりあらかじめ調査委員会の設置を理事会で審議することができない場合,調査委員会の設置及び委員を決定し,直近の理事会に報告するものとする。 |
8 | 会長は,調査委員会が決定した対応方針について,理事会に報告し,承認を得るものとする。 |
9 | 調査委員会は,当該事案の処理が終了したときに解散するものとする。 |
(調査委員会の責務)
第 8 条 | 調査委員会は,会長から委嘱を受けたときには,速やかに苦情相談に係る問題の事実関係の確認及び対応方針を決定し,当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めなければならない。 |
2 | 委員長は,前項の結果及び経緯を会長に報告しなければならない。 |
3 | 委員長が必要と認める時には,事実関係の調査を弁護士に委任することができる。その場合,あらかじめ会長の同意を得なければならない。 |
(調査委員会の留意事項)
第 9 条 | 調査委員会は,当該事案の調査を行うにあたって,以下の各項に留意しなければならない。 |
(1) | 当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持つこと。 |
(2) | 迅速な対応を心がけること。 |
(3) | 名誉その他の人権を尊重するとともに,知り得た秘密を厳守すること。 |
(4) | 相談者の求めるものを把握すること。 |
(5) | どの程度の時間的な余裕があるのかについて把握すること。 |
(6) | 相談者の主張に真摯に耳を傾け丁寧に話を聞くこと。 |
(7) | 事実関係を正確に把握すること。 |
(苦情処理に対する異議申立)
第10条 | 苦情・異議の相談者及びその相手方は,理事会で決定した処理について異議がある場合には,書面をもって異議を申し立てることができる。 |
2 | 異議申立の受付及びその処理は第5条及び第6条を準用する。 |
(調査委員会の業務の監査)
第11条 | 前条異議申立が調査委員会の活動についてなされたとき,又は,会長が必要と認める場合には,監査委員を任命し,調査委員会の活動状況の監査を行う。 |
2 | 監査委員は,調査委員会委員を兼ねることはできない。 |
3 | 監査委員は,監査の結果を理事会に報告しなければならない。 |
4 | 監査の結果,調査委員会の調査に疑義が生じた場合には,会長は調査委員会に再調査を求めるものとする。 |
5 | 前項により再調査を求める場合は,調査委員会の委員を変更するものとし,第2項にかかわらず,監査委員は調査委員会委員を兼ねることができるものとする。 |
(緊急事態への対応)
第12条 | 第2条第5号の外部からの危機によるリスク等が発生し,組織的に対応することが重要である場合(以下,「緊急事態」という。)は,会長をリスク管理統括者とする緊急事態対応体制をとるものとする。 |
(緊急事態の範囲)
第13条 | 本規程において緊急事態とは,以下の各号に掲げる事件によって,学会及び学会事務局にもたらされた急迫の事態をいう。 |
(1) | 自然災害 |
(2) | 爆発,火災,建物倒壊等の重大な事故 |
(3) | 学会の公益活動に起因する重大な事故 |
(4) | 建物爆破,放火,誘拐,恐喝等,ならびに脅迫状の受領など外部からの不法な攻撃 |
(5) | 学会の法令違反及びその摘発等を前提とした官公庁による立ち入り検査 |
(6) | 内部者による背任,横領等の不祥事 |
(緊急事態の通報)
第14条 | 緊急事態を認知した者は,速やかに総務幹事,支部庶務幹事,各委員会幹事に通報する。 |
2 | 通報を受けた各幹事は,総務担当理事を通して,会長に通報する。 |
3 | 通報にあたっては,迅速性を優先し,臨機の措置をとることとする。 |
(緊急事態対応の基本方針)
第15条 | 緊急事態発生時においては,以下の各号に定める基本方針に従って,対応することとする。 |
(1) | 第13条第1号から3号の事態に対しては,人命救助,関係者の安全を最優先とする。 |
(2) | 同条第4号の事態に対しては,不当な要求に屈せず,警察と協力して対処する。 |
(3) | 同条第5号の事態に対しては,真実を明らかにすることを旨とする |
(4) | 再発防止のための施策を講じる。 |
(関係者への指示・命令)
第16条 | 会長は,緊急事態を解決するにあたって,必要と認められるときには,関係者に対して一定の行動を指示・命令することができる。 |
2 | 前項指示・命令を受けた者は,その指示・命令に従って行動しなければならない。 |
(届 出)
第17条 | 緊急事態のうち,所管官公庁への届出を必要とするものについては,総務担当理事が迅速に所管官公庁に届け出る。 |
2 | 総務担当理事は,前項届出の内容について,あらかじめ会長の承認を得なければならない。 |
(報道機関への対応)
第18条 | 本規程で定める具体的リスクに関して,報道機関からの取材の申し入れがあった場合は,事態の解決に支障を来さない範囲で取材に応じる。 |
2 | 報道機関への対応は,総務担当理事がこれを行う。 |
3 | 取材は面接取材を原則として,電話取材には応じない。 |
4 | 総務担当理事以外の関係者は,許可なく取材に応じたり,報道機関に情報を提供してはならない。 |
(守秘義務)
第19条 | 本規程に基づく学会のリスク管理に関する措置などを立案・実施する過程において知り得た学会,関係者の秘密を漏洩してはならない。 |
(懲 戒)
第20条 | 事務局職員が本規程に定める具体的リスクの発生に意図的に関与した場合等は,職員就業規程の規定により懲戒を行うことができる。 |
2 | 学会社員が具体的リスクの発生に意図的に関与した場合等は,理事会の議決を経て,会長が懲戒処分を行うことができる。 |
(改 廃)
第21条 | 本規程の改廃は,理事会の決議を経て行う。 |
附 則 本規程は,公益認定を受け移行の登記を行った日から施行する。
危機対応の流れ