昨年10月に横浜で開催された第5回世界水産会議(The 5th World Fisheries Congress:WFC)の開会日に合わせて、この会議を記念するメモリアルブック「Fisheries for Global Welfare and Environment (K. Tsukamoto et al.編, TERRAPUB)」が出版された。表紙には、喜多川歌麿の美人画の団扇部分をクローズアップした図があしらわれている。のんびりと帆掛け船が浮かぶ、昔の江戸湾のイメージが伝わって来る風景で、人と漁業と環境の関わりをテーマとした本会議の横浜開催を記念するのに相応しい。本全体は、上質紙を使った総頁470の、もちおもりのする上製本に仕上がっている。 |
 |
内容は、同会議に招待された基調講演者らがそれぞれの専門分野の最新の科学的知見を簡潔にとりまとめたレビュー集である。同時に、近年多様に細分化している現代水産学を広く俯瞰できる総合書となっている。本書のもうひとつの特徴は、水産学が世界と人類のためにできること、成すべきことについて、各著者がそれぞれの研究分野の視点から提言を試みたものであり、これは本書の独創的な点である。そのため、本書は水産研究者や水産学を志す学生諸氏だけでなく、行政担当者やサイエンスライターなど広く一般の方々にも勧めたい一冊となっている。 |
本書は、まず会議全体の趣旨に基づいて選ばれたPlenary Lecturesの発表者による漁業、保全、脂質栄養、ゲノミクス、沿岸環境などに関する7編の論文から始まる。そのあと、9つのセッション(1. Fisheries and Fish Biology; 2. Aquaculture; 3. Biotechnology; 4. Post Harvest Science and Technology; 5. Ecosystems-Linking Climate Change and Fisheries; 6. Freshwater, Coastal and Marine Environments; 7. Biodiversity and Management; 8. Economics and Social Science; 9. Education and International Cooperation)が続く。これらセッションの基調講演者が執筆した26編の論文が美しいカラー図版とともに収録され、合わせて計33編の論文が一同にとりまとめられている。 |
本書の編集は、日本水産学会の塚本・河村・竹内の3名に、米国と英国の水産学会からそれぞれT.D. Beard Jr. とM.J. Kaiser が加わり、計5名で行われた。また、各論文の査読は、それぞれの分野で世界をリードする内外の研究者の手を経たものである。 日本水産学会の会員の方々には、本書を定価(8,000円)の2割引(6,400円)で販売している。購入申し込みは、直接下記出版社まで。 |
TERRAPUB(有限会社 テラパブ)
〒東京都世田谷区奥沢5-27-19 三青自由が丘ハイム2003
Fax: 03-3718-4406
Tel: 03-3718-7500
email: sales@terrapub.co.jp |