学会誌の発送方法の変更について

日本水産学会 会長 會田勝美

 本会刊行の英文誌Fisheries Science(偶数月刊行)の会員各位への発送を,73巻4号(本年8月刊行分)から,その後に刊行される「日本水産学会誌」(奇数月刊行)に同封することで行うこととなりました。この学会誌の発送方法の変更については,「理事会だより」(日本水産学会誌73卷4号811ページ【下記参照】)でもお知らせしますように,Fisheries Science刊行事業に対する補助金を申請していた平成19年度科学研究費補助金研究成果促進費(学術定期刊行物)が不採択となったことに伴う収入不足への対応策の一環として,本会財務検討委員会ならびに理事会での承認を経て行うものです。

 なお,Fisheries Scienceの記事は,会員への配布が刊行後1ヶ月程度遅れるものの,刊行後すぐにBlackwell Synergy( http://www.blackwell-synergy.com/loi/fis )上の電子ジャーナルで閲覧可能です。本会の会員は,氏名の姓(英大文字)と日本水産学会の会員番号で個人登録を行うことでユーザー名とパスワードを取得でき,これを用いてログインすることでFisheries Scienceに掲載された記事のpdfファイルを無料で閲覧できるとともに,ダウンロードもできます。また,お気に入りの雑誌“Favorite Journal”に登録することで,電子ジャーナルの公開のお知らせをメールで受け取ることもできます。詳細は,日本水産学会ホームページの学会誌のページ内の「Fisheries Scienceオンラインによる検索方法」にあります登録方法( http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/online.html )をご覧下さい。
会員の皆様のご理解ならびにご協力をお願いいたします。

◎日本水産学会誌73巻4号掲載「理事会だより」より

 日本水産学会の財政危機

 前回の「理事会だより」でお知らせ致しましたが,Fisheries Science誌刊行のために毎年申請し,長年交付を受けていた科学研究費補助金(研究成果公開促進費)が今年度は不採択になりました。理由は国際性の不足とありましたが,本当のところは不明です。その結果,総会でお認め頂いた平成19年度予算に1,500万円の不足が生じ,緊急の対応をせまられることになりました。このような不確定な補助金を経常収入に計上するのはおかしいとの意見もありますが,1947年以来徐々に増額されて交付を受けていたのです。
 うわさは以前からあり,會田会長は事態を予測して2月の平成18年度第7回理事会で財務検討委員会を立ち上げておりました。今回6月9日の平成19年度第4回理事会開催に先立って財務検討委員会が招集され,対応策の原案を作成し,本城財務理事から理事会に諮りました。理事会では多くの意見が噴出し,意外に様々なところにまで影響が及ぶことが明らかになってきました。
 まず,今年度に関しては抜本的な対策を導入することは無理であるため,補助対象であったFisheries Science誌を中心に節約を実施し,出費を抑えて凌ぐしかないと思われます。幸い今年度予算では1,150万円の予備費を計上していました。したがって,節約は最低350万円を目指せばいい訳です。ただし,これだけでは次年度への繰越金はなくなってしまいます。
 4月2日に不採択通知を受け取って以来,會田会長を中心に綿密な節約計画が検討されました。小宮山印刷工業(株)には英文誌および和文誌の印刷費の値下げをご提案頂きました。また,英文誌は偶数月の発行ですが,この会員への送付を1ヶ月遅らせ,和文誌と一緒に送付すると発送費の大幅な節約になります。この点に関しては,本来,会員の皆様のご了解を得る必要があるところですが,緊急のため8月発行の73巻4号から実施したいと考えております。この点は後述のようにアンケートで改めて賛否をお伺いする予定です。また,春季大会の開催費用として交付した100万円は東京大学から返還頂ける予定です。
 一方,総会でお認め頂きましたように,本年度は会員名簿を発行する予定ですが,この事業も変更を余儀なくされております。本年度予算案では学会から150万円ほどの持ち出しで発行する予定でしたが,この持ち出しを解消するよう努力する予定です。すなわち,これまで往復葉書で行っていた会員情報の更新は,情報保護シートの使用などの経費がかかるため,個人情報を紙に印刷して封書で送付し,更新して頂いた後,基本的にはファックスで事務局に返信して頂くことにしております。これは7月中には正会員全員に発送される予定です。また,1冊1,500円で販売予定だった名簿を2,000円に値上げせざるを得ないことになりました。これでも名簿が余り売れないと持ち出しになってしまいますので,会員の皆様にはできるだけ名簿を購入して頂くようお願い申し上げます。
 他に,支部交付金や秋季大会交付金の5%減額が決定されました。支部補助金に関しては特に関東支部にご協力をお願いしております。各懇話会委員会には来年度から交付金節減のご協力を頂く予定です。さらに,他の委員会にも旅費や会議費の節減が要請されます。
 このような節約努力により,今年度は何とかなりそうですが,問題は来年度以降の1500万円の経費削減です。会費を大幅に値上げすればこの問題は解消しますが,21年間据え置かれている1万円の会費は現在でも高いと感じられている会員も多く,理事会として今回は会費の値上げをしないで,経費の大幅削減と収入増で乗り切るつもりでおります。経費削減の一つは,他の学会で実施されているように,英文誌の正会員と学生会員,外国会員への無料配布をやめ,必要な会員には別途購入して頂くという方式への転換です。これだけで,1,000万円近い印刷費と発送費の削減が実現します。会員であれば予め登録することにより(http://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/online.htmlに登録方法の詳細があります),英文誌の論文は発行後すぐにBlackwell Publishing社のホームページから閲覧,ダウンロードが可能になっておりますので,実質的には影響は小さいと考えられます。
 正会員および賛助会員を増やすための努力を今後さらに強化し,収入増を図る必要もあります。そのためには会員のメリットを明確にし,情報誌としての和文誌の充実など今後の更なる努力が期待されます。
 これらの経費削減計画には会員の皆様のご理解が是非とも必要です。そのため,まず前記の会員名簿発行のための会員情報更新のお知らせの封筒に,財政状況の説明書を同封し,併せてアンケートをお願いする予定です。名簿の購入とともにアンケートへの回答も宜しくお願い申し上げます。さらに,函館における秋季大会開催時の9月26日に会員意見交換会「学会の財政について」を開催し,ご協力をお願いするとともに,皆様からのご意見を伺いたいと考えております。宜しくご協力のほどをお願い申し上げます。

総務理事 阿部宏喜(文責),東海 正



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